ハイビスカスは一輪咲いているだけで周りの雰囲気がぱあっと明るくなり南国にいるような気分にさせられますよね。ハイビスカスの花言葉は「繊細な美」「新しい恋」「常に新しい美」咲いたその日の夕方にはしぼんでしまうけれど、次々とつぼみをつけて新しい花を咲かせ続けるハイビスカスだからこそ、このような花言葉が生まれたのです。
ハイビスカスという名は実は特定の花を指しているのではなく、アオイ科フヨウ属の植物が交配を繰り返し園芸植物となったもの総称。それを学名の「Hibiscos(ヒビスクス)」にちなんでハイビスカスと呼んでいます。
ハワイや南洋の島にあった野生のハイビスカスと、インドや中国のアオイ科の花が交易によって各地を移動していくうちに、3000種を超える数の現在の園芸品種が生まれました。
南国の象徴のようなハイビスカスですが、温暖な気候であればどこでも花を咲かせるため、ハイビスカスを鉢植えにしてギフトに使うなど、ハイビスカスは私たちの身近にある花となりました。そこで今回はハイビスカスの花言葉、意味と役立つ知識についてお伝えします。
ハイビスカスの花言葉、
意味と役立つ5つの知識
ハイビスカスの仲間は身近なところにたくさん
ハイビスカスの花言葉には「繊細な美」がありますが、照り付ける太陽の下で咲き誇る大輪のハイビスカスとはちょっとイメージが違うと感じるかもしれません。でも、ハイビスカスの仲間の多くは私たちの身近なところにいて、控えめな美しさを発揮しています。
元々ハイビスカスの名前はアオイ科の「ibiscos(イビスクス)=タチアオイ」に似ているところからつけられました。タチアオイは2m以上にもなる背の高い草で初夏に下から順々に赤やピンクの花が咲いていく花。日本でも花壇などでよく見られます。
他にも、韓国の国花であるムクゲ、酔芙蓉(スイフヨウ)に代表されるフヨウ、コットンの元になる綿花(ワタ)やカカオ、繊維が取れるケナフ、ねばねば野菜でおなじみのオクラもハイビスカスの仲間。つつましやかでハイビスカスの花言葉「繊細な美」を思わせるこれらの花も、機会があったらぜひ見てくださいね。
めったに見られないハワイ州の州花
ハワイでは野生のハイビスカスを昔から装飾、儀式、染料や薬などに利用してきました。ハワイアンジュエリーやアロハなどの布地のモチーフにもハイビスカスが多く使われていることからも、ハイビスカスの花言葉でもある「繊細な美」を人々が深く愛していたことがうかがえます。
その中で、ハワイ州の花として1923年に小さく可憐なハイビスカス、コキオ・ウラ(赤いハイビスカス)が選ばれました。やがてハワイの近代化や外来種によって見ることが難しくなり知らない人も増えたため、1988年に新しくマオ・ハウ・ヘレ (黄色いハイビスカス)が州花に変更されました。
マオ・ハウ・ヘレも数が減ってしまい今は植物園にごくわずか。もしかしたら今後また違うハイビスカスがハワイ州の花に選ばれるのかもしれません。赤いハイビスカスの花言葉は「常に新しい美」「勇敢」、黄色いハイビスカスの花言葉は「輝き」。どちらも生まれ変わり続けるハイビスカスの姿を現しているようです。
沖縄のハイビスカス
日本の沖縄にも固有のハイビスカス、「あかばなぁ」がありました。その歴史は古く、1600年代の江戸時代に薩摩藩が琉球を支配していた頃、徳川家康への献上品の筆頭が「佛草花(ブッソウゲ=ハイビスカス)」だったという記録が残っています。
琉球はインドやベトナムなどとも交易があったので、運ばれてきたハイビスカスが沖縄の気候とぴったり合って次々と花を咲かせ、中国から訪れた使者も驚かせる異国の花として根付いていきました。
そして今度は1899年(明治32年)には沖縄からハワイへ多くの移民があり、その時に沖縄のハイビスカスもハワイへ持ち込まれました。現代のハイビスカスの多くは沖縄とハワイのハイビスカスから生まれたものです。
赤いハイビスカスの花言葉は「常に新しい美」「新しい恋」「勇敢」、白いハイビスカスの花言葉は「艶美」、ピンクのハイビスカスの花言葉は「華やか」、黄色いハイビスカスの花言葉は「輝き」・・・どれを見ても鮮やかなハイビスカスの姿が浮かんできます。
花のお茶ではなかった?ハイビスカスティー
澄んだ赤い色と爽やかな酸味が特徴のハイビスカスティー。庭にハイビスカスが咲いていたら自家製で作ってみたくなるかもしれません。でも園芸品種のハイビスカスでは、ハイビスカスティーを作れないのが残念なところ。
ハイビスカスティーのハイビスカスは「ローゼル」という種類で、ピンク色の花がしぼむと真っ赤な萼(がく)が実を包み込んでいくため、実を取り出してその萼を干して作られています。
運動による疲労物質を排出する働きを持っているハイビスカスティーはアスリートがスポーツドリンクにするほどで、ビタミンCやポリフェノール、アントシアニン、クエン酸、鉄、カリウム、マグネシウムなどを豊富に含んでいます。
特に、ハイビスカス酸という名前までついている植物酸にはコレステロールを下げる効果もあるのです!赤いハイビスカスの花言葉は「常に新しい美」ですが、疲労回復に美容に、ハイビスカスティーは「常に新しい美」を追求したい女性なら積極的に飲みたいハーブティーですね。
健康食品として可能性を秘めたハイビスカスの花
ハイビスカスは枝がとても丈夫で5m以上にもなるため、沖縄では防風林の代わりになるほどですが、古くからあるハイビスカス「あかばなぁ」を沖縄のイメージを表す花として、花からエキスを取って作った特産品を全国に広める試みが続けられています。
琉球大学の研究によって、あかばなぁには100g中3.6g(ブルーベリーの15倍以上)のポリフェノールが含まれていることが明らかになり、βカロテンやビタミンA,E、ミネラル成分も豊富に含まれた健康食品として非常に大きな可能性があることがわかりました。
萼を使ったハイビスカスティーよりも、あかばなぁエキスは花びらから直に抽出して瓶詰めしているため色がより鮮やかで、爽やかな味わい。ルビー色のあかばなぁエキスからは、ハイビスカスの花言葉「新しい恋」「信頼」から連想してつけられた名前の「運命の赤い糸」という商品も生まれました。泡盛と合わせたカクテルも人気で、新しい恋もきっと叶うハイビスカスのパワーをもらえそうです。
いかがでしたでしょうか。ハイビスカスはその独特の花の形の美しさからか、間違った俗説も伝わっています。エジプトの女神「ヒビス」にちなんでいるとか、ハイビスカスティーはクレオパトラが飲んでいたとか。
でも、ヒビスという名前の女神はエジプトの記録になく、ハイビスカスティーがエジプトに伝わったのはクレオパトラの時代よりもずっと後。ハイビスカスは世界中に広まるのが早く、似た花が各地にあったのでこのような説が生まれたようです。話としては夢がありますね。
ハイビスカスは意外と猛暑に弱く高温多湿の本州では初夏の花付きが良いので、母の日向けのギフトとしての需要が高まっています。1日ではしおれない「ロングライフ」という新たな品種も作られたほど。
でもやはり、ハイビスカスは「一日花」の儚さと新しい花が次々に咲くたくましさの対比が神秘的。ハイビスカスの花言葉「繊細な美」「常に新しい美」が示す通り、その美しさはこれからも私たちを魅了し続けるに違いありません。
まとめ
ハイビスカスの花言葉とそれにまつわる知識
・ハイビスカスの仲間は「繊細な美」の通り1日でしぼむ美しい花が多い
・ハワイ州の花であるハイビスカスは、赤から黄色に変更された
・沖縄とハワイのハイビスカスから園芸種のハイビスカスが生まれた
・ハイビスカスティーは花びらではなく萼(がく)のお茶
・沖縄のハイビスカス「あかばなぁ」は健康食品としての可能性を秘めている