12月になると花屋さんの店先が一斉に赤い花で埋まる印象がありますよね。シクラメン、ポインセチアなどはその代表で12月の誕生花としてもよく知られています。特にポインセチアの緑と赤はクリスマスカラーで、その色を見るとワクワクする人も多いはず。
一方では、12月の誕生日の人はクリスマスと一緒にされてしまって、他の月の誕生日の人に比べると何となく特別感が薄れてしまっていると不満を感じる人がいるのも事実です。しかし、12月の誕生花にはバラやカトレアなどゴージャスな花や、クリスマスローズのように花の色も様々で寂しくなりがちな庭を彩る色も形も個性的な花があります。
凍てつく寒さの中で暖かさや情熱を感じられる12月の誕生花は、他の月にはない強い魅力を持っています。そこで今回は12月の誕生花と花言葉についてお伝えします。
クリスマスに欠かせない鮮烈な赤い花ポインセチア
中心部にある黄色く小さな固まりが花で、葉脈のはっきりした葉と同じ形をした真っ赤な苞葉が花弁のように見えるポインセチア。花言葉は「私の心は燃えています」「聖なる願い」「幸運を祈る」「祝福」赤い苞葉がキリストの血の色を、緑の葉が永遠の命と神の永遠の愛を表わしています。
12月4日の誕生花でもあります。19世紀のアメリカの医師で植物学者、政治家でもあったポインセットがメキシコにアメリカ大使として駐在している時にポインセチアを発見しアメリカに持ち帰ったことで世界中に広まりました。彼の名にちなんでポインセチアの名前がついています。
原産地であるメキシコには、両親を失った貧しい少女マリアが心をこめて捧げた道の草が、上の葉が花弁のように美しい赤色に変わりキリスト降誕の花になったという、ポインセチアにまつわる伝説があります。捧げるものが何もなくてもキリストはその真心を何よりも喜ばれたのです。
「イエス・キリストの誕生日の頃に花を咲かせる」クリスマスローズ
うつむいたように咲く姿が印象的なクリスマスローズは、花の少なくなる12月から1月にかけて咲きますが、中でも「ニゲル」という品種はいかにもキリストにふさわしい真っ白で清楚な花を咲かせます。花言葉は「私の心配をやわらげて」
50年も花を咲かせ続けた例があるほどに強い生命力と効能があり、薬草としても使われてきたクリスマスローズには聖なる力があると考えられていて、ヨーロッパでは悪霊を追い出したり、家を清めたりするために古くから庭に植えられていました。
クリスマスローズは他の花にはない緑がかった色や、セピア調や黒に近い濃い紫などどれも個性な姿で、一重咲き八重咲きなどたくさんのバリエーションを持っている、素敵な12月の誕生花です。
葉の数だけ花が咲くシクラメン
面白い模様のハート形をした葉の間から茎を伸ばして上向きに反り返った形の花をつけるシクラメンは12月8日の誕生花です。葉が1枚できると内側に花芽を一つ作るため、葉と同じ数の花が咲きます。花言葉「はにかみ」「内気」は、恥ずかしそうに下を向いて咲くところから付けられました。
その昔栄華を極めたソロモン王が花の形を王冠に使おうとしたところ花たちに断られ、その時に「私の形を使ってください」と、おずおずと申し出たのがシクラメンだったという話があります。
日本名は花弁が反り返って上向きになっている花の姿が闇夜を照らすかがり火に似ていることから篝火花という名前がつけられています。赤やピンク、白の他にオレンジや紫のシクラメンもあり、また香りの良い品種もあることからギフト用にも大人気。
華やかな場所でコサージュに使われる洋蘭の女王カトレア
パーティーや発表会などでドレスを彩るコサージュや髪飾りとして使われたり、ウエディングや新築などのお祝いの花としても人気があるゴージャスな洋蘭のカトレアは12月20日の誕生花。カトレアの花言葉は「優美な貴婦人」「成熟した大人の魅力」「魔力」「魅惑的」。優雅で美しいその姿から来ていますが、一輪だけでもすごい存在感ですよね。
カトレアが注目されるようになったきっかけは、イギリスの自然科学者がブラジルで苔などを採集して本国に持ち帰る時に厚い葉がパッキング材として使われたこと。採集した植物が王立植物園に持ち込まれた時にたまたま葉も育ててみたら見たこともない大きい花が咲いたのがカトレアだったそうです。
その栽培を委託された園芸家のウィリアム・カトレイにちなんでこの名が付けられました。色、花の大きさ、香りなどが品種によって違うカトレアはお祝いの花としてもとても喜ばれる12月の誕生花です。
花の中で別格のバラの花も12月の誕生花
バラは言わずと知れた花の中の女王。中でも赤いバラは愛の象徴として特別な存在で12月25日の誕生花とされていますから、クリスマス生まれの人にとっては、花の女王であるバラが誕生花であることは自慢しても良いでしょう。
1本のバラの花言葉は「あなたしかいない」「一目惚れ」、2本のバラの花言葉は「この世界は2人だけ」、3本のバラの花言葉は「愛しています」、4本のバラの花言葉は「死ぬまで愛の気持ちは変わらない」など本数によって花言葉がそれぞれ付けられている花もバラだけです。
さて、12月の誕生花はどれをとっても花の色や形のバリエーションがたくさんあり、たった1つだけでも抜群な存在感があって豪華に見えるのが大きな特徴。
また、好き嫌いが少なく万人に好まれる花が多いことも、他の月の誕生花にはあまり見られない点です。お祝いをクリスマスと一緒にされても、個性にあふれていながら誰からも好かれる誕生花ばかりな点は、12月生まれ以外の人にとってはうらやましい限りです。
ギフトに使われる機会が断然多いので、これらの花を全く知らない人があまりいないのもすごいところ。暗くなりがちな冬を鮮やかに彩る12月の誕生花は見ているだけで暖かく幸せな気分にさせられることは間違いないですね。
まとめ
12月の誕生花と花言葉に関する話
・キリストにまつわる話から生まれたポインセチア「幸運を祈る」「祝福」
・「私の心配をやわらげて」を叶える強い生命力を持つクリスマスローズ
・うつむいて咲くシクラメン「はにかみ」「内気」でありながら色鮮やかな花
・姿は「優美な貴婦人」そのものの洋蘭の女王カトレア
・バラは本数の数と色の数だけ花言葉のある万能な花