ハスの花の育て方に必要な5つの知識


ハスの花というと、大きな池で早朝に花を咲かせている姿をニュースなどで見ることが多いですよね。そういうのを見ていると、ハスの花を育てるには広い場所でないと無理かなと考えている方も。

確かにハスは花が大きいばかりか葉も大きく広がっているのでその分スペースが必要ですし、水面から茎を伸ばしている部分が長いので草花用の鉢やプランターでは狭すぎます。しかし、ハスの花は大きなバケツでも栽培が可能。ハスはレンコンと呼ばれる地下茎から水面に茎を伸ばして花を咲かせます。

スーパーで売っているレンコンは食用品種で芽もカットされているので、植えて花を咲かせるのはさすがに無理ですが、種や専用の地下茎を植えることで神秘的なハスの花を家庭でも楽しめますよ。そこで今回はハスの花の育て方に必要な知識についてお伝えします

容器は大きくて安定したものを使用

ハスの花を育てるのには円か楕円形の大きくて深さのある容器が必要。地下茎が角にぶつかると成長が悪くなるので四角い容器は避け、最低でも直径30cm、深さ20cmは欲しいところ。水が漏れない構造ならば材質は何でも大丈夫。

バケツでは味気ない、と選びがちなのが器の下の部分がすぼまったスイレン鉢。スイレン鉢には素敵なデザインのものが多くありますが、スイレンに比べてハスは茎を水面からかなり長く伸ばすので、あまり底が狭いと不安定になりがちです。また大型の品種を栽培したり花を多く咲かせるには広いスペースがあるのに越したことはありません。レンコンの節が多くできればその分そこから多くの芽が出せます。

 

粘土質の土に植える

悪い境遇にあっても清らかさを保っている例え「泥中(でいちゅう)の蓮」の通り、ハスの花は泥の中から茎を伸ばして花を咲かせます。ですので、一番都合の良い土は田んぼの土。

水生植物向きとして売られている、田んぼの土と同じような性質の「荒木田土(あらきだつち)」を使うのがベストなのですが、通常の赤玉土より高価でやや上級者向けです。

通信販売や水生植物を多く扱っている専門店などではハスの栽培セットや水生植物用の土が手に入りますが、要は水を加えると粘土状になれば良いので普通の赤玉土で十分。水を入れてからすぐにこねないで水と赤玉土をなじませ、泥にしてから植え付けます。

 

日当たりの良い場所で管理

ハスの花を咲かせるのには日当たりが不可欠。日当たりが悪いといくら肥料をあげても極端に成長が遅くなります。花がなかなか咲かない原因はほとんどが日照不足と言ってもいいくらいです。

少なくとも4~5時間以上は直射日光が当たる場所で管理するのが理想ですので、その場合は鉢を動かす必要があります。また葉が茂りすぎていたら古い葉や小さい葉を切ると株の中心部に日光が入るようになり、より花が咲きやすくなります。

 

花を定期的に咲かせるには

ハスの花は肥料食いと言われます。植え付ける時に専用の元肥を入れますが、生長してからは葉が茂り出すのが早いので追肥を10日に一度ほどの割合であげましょう。

固形の肥料のほうが水の濁りが少ないですが、やりすぎると藻が茂るので加減が難しい。少なめに何度もあげるのがベスト。もし藻が茂ったら取り除き、水を3~4分の1程度入れ替えます。春から夏は水の減りも早くなるので、水を補給する時にホースなどで溢れさせてから補給すると水面にできる油膜のような汚れも取れ、水中に新鮮な空気が入ります。

また、ハスは水中で地下茎を器に沿うように丸く伸ばしていくので1年もすると鉢の中が混んで来ます。植え替えを行わないと株が混み合い、葉ばかり茂って花が咲かなくなる原因に。毎年、春の彼岸から桜が散る頃までにレンコンを取り出して2~3節ごとに切り、芽を確認しながら大きめの鉢で植え直すことを「鉢増し」と呼びます

 

ハスの花とメダカの相性

屋外でメダカを飼うついでにハスを入れている人が、ハスには気を使っていないのに早く花が咲くということがよくあります。メダカを飼っている人は水に気を使います。水が濁って藻が茂らないように注意しますし新鮮な空気を送るために水をポンプやホースで入れるのが普通。

ハスを植えるのも水温が高くなりすぎないようにする日除け用なので当然ハスには日光が良く当たります。池に湧くボウフラやハスにつくアブラムシをメダカが食べ、フンが多少の肥料にもなるというおまけもあるので、結果的にハスのためにも良い環境になっているのです

 

さて、ハスはその化石が見つかっていることからも約7000万年前から1万年前にすでに日本に自生していて、もともと日本の気候に合った植物です。ハスには花弁の数、花の形、色も実に様々な品種がたくさんあり、一度ハスの花を育て始めると虜になってします人が多いのも特徴

ハスの花を育てるには地下茎や芽の出ている苗を植えるのが手っ取り早いのですが、もし種が手に入ったらぜひ種からも育ててみて下さい。奈良県五條市の生蓮寺では、種を分けてくれて花が咲いて種ができたらそれを生蓮寺に返してもらう、という方法で全国にハスの花を広めています。

春、暖かくなった頃に種を少し傷つけてから水の入ったコップなどに入れると1~2週間で発芽し、細い茎に赤ちゃんのような小さい葉をつけながら成長します。芽を壊さないように気を付けながら同じように土に植え込めば、翌年には花を咲かせる可能性が高いです

1日目は控えめに開いて閉じ、2日目は全開してふんわりと閉じ、3日目には開いてほとんどそのまま、4日目には散るといったとても不思議なサイクルを持つハスの花。ぜひ一度、育ててみてはいかがでしょうか。

まとめ

ハスの花を育てるのに覚えておきたいポイント

・直径30cm、深さ20cm以上の角ばっていない容器を選ぶ
・土は粘土質の土が良いが赤玉土を水でこねたものでOK
・毎日の日当たりがとにかく重要
・水を新鮮に保ち定期的に植え替えを行う
・屋外でメダカを入れて育てるのも良い方法


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