秋になるとどこからか懐かしい香りが漂ってくることがあります。金木犀です。小さなオレンジ色の花をたくさん咲かせる金木犀は秋の代表的な「香る花」です。
金木犀の香りに気が付くと、それまで香らなかったのに、急に街中が金木犀の香りに包まれているような気がするから不思議です。それからこんなに強い香りなのに、嫌いだという人に会わないのも本当に不思議です。
私が子どもの頃に住んでいた家には金木犀を植えていませんでした。だから、近所の金木犀が植えてあるおうちに遊びに行っていました。その頃は金木犀にも花言葉があることを知らずに、ただ金木犀を見ていましたが、今、改めて花言葉を知って金木犀を見るとまた、違った印象を受けます。
春の沈丁花と並ぶ香る花、金木犀はどんな花なのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
金木犀ってどんな花?
花言葉~食用方法まで詳しくご紹介♪
金木犀ってどんな花?花言葉~食用方法まで詳しくご紹介♪
金木犀の花言葉である「謙虚」。これにはとても納得できます。どこで咲いているかも分からないのに、香りだけを届ける。こんなことができるのは、金木犀くらいですね。
そもそも、「謙虚」の花言葉は、遠くまで香らせることができる素晴らしい香りに対して、金木犀の花が小さくて目立たない花をつけることから来ているそうです。
中国では千里の先まで届くと例えられているそうです。さすがに千里先までは難しいですが、秋になると香りを頼りに金木犀を探すのも楽しみの一つですね。
儚く、そして「謙遜」している花です
秋になると、オレンジ色の小さな花をつける金木犀。その甘い香りは、私たちに忘れていた季節を知らせてくれます。花言葉の「謙遜」は「謙虚」の花言葉と同じく、小さな地味な花と印象的な甘い香りのコントラストからきています。
ただ、花の期間はとても短くて、その香りを長い間楽しむことはできません。花の開花期間は、たったの5日間。本当に儚いことです。
こんな儚い小さな花から、どうしてこんなにも力強い香りが漂うのか本当に不思議ですね。
「気高い人」のような花の香りです
「気高い人」の花言葉は、金木犀の花が雨が降ると惜しみなくその花を散らせる潔さからきているといわれます。本当に、金木犀の花は咲いたかと思うとあっという間に散ってしまいます。もう少し、金木犀の花の香りを楽しませてほしいと思うのですが。
まっさきに、金木犀の香りを楽しむためには庭に植えるのが一番でしょう。金木犀を植えるときは、植える場所をよく吟味して選びましょう。金木犀は成木になってからの移植を好みません。移植すると数年間の間花が咲かないことがあります。
なので、植えるときが大切です。道行く人まで楽しませることができる場所にぜひどうぞ。
「真実」とは一つではありません
金木犀の香りはあまりにも強すぎてその存在を隠すことができません。「真実」の花言葉はその金木犀の様子からきているようです。
金木犀の香りが好きな人が多いのに、店先に金木犀の芳香剤が売られていないことを不思議に思ったことはありませんか。
実は、金木犀は和式便所が主流のとき、汲み取り時の悪臭を隠すため、トイレの近くに植えられることが多かったそうです。そのため、金木犀の香りは、1970年の始めから20年近くの間、トイレの芳香剤として利用されていました。
そのためか、年齢によっては金木犀の芳香剤は、トイレを連想させるのでメーカーが生産を中止したとのこと。人によって香りに対する感じ方はそれぞれですね。
「真実の愛」を捧げるように
金木犀の甘い香りは、虫を寄せ付けて受粉するため。ではありません。実は、金木犀の香りには忌避効果があるため、逆に害虫を寄せ付けないのだそう。
金木犀の香り成分のひとつに「γ-Decalactone(ガンマデカラクトン)」があり、これが、アブラムシ、ダニ類、コナジラミ、モンシロチョウを寄せ付けない効果があるそうです。ただ、不思議とハナアブだけには効かないそう。花言葉の「真実の愛」のように、ただ一人だけに愛を捧げているようですね。
「陶酔」に酔ってみますか
「陶酔」という花言葉のとおり、金木犀の甘く官能的な香りを嗅ぐと、現実から離れてどこか違うところに一瞬で行ってしまいそうになります。金木犀の香りが届かなくなってしまっても、印象が深いため、金木犀のことをしばらくは忘れることができません。
中国では、桂花茶や、「桂花糖」という、金木犀の花に砂糖に付け込んだ菓子があります。「桂花陳酒」は金木犀3年ほど白ワインに漬け込んだお酒ですが、女性に人気のあるお酒ですね。かの楊貴妃も愛飲していたとか。今晩は「桂花陳酒」で楊貴妃に浸ってみましょうか。
「初恋」を思い出しました
金木犀の香りは不思議です。金木犀が咲いている時期は、いつも金木犀の香りが側にあり、ふとした時に思い出すのに、金木犀が散って、どこに金木犀の木があるかさえ分からなくなると、もう金木犀のことは忘れてしまいます。
なんだか「初恋」と似ています。日常の生活の中ではすっかり忘れてしまっているのに、ふとした時に思い出してしまう。今更どうかしたいわけではないですが、多分一生忘れない大切な「初恋」です。
アロマセラピーでは金木犀の精油はストレスを軽減し、リラックス効果を期待できる効果があるそうです。だから金木犀の香りを嗅ぐと幸せな気持ちになるのかもしれませんね。「初恋」を思い出した時のように。
いかがでしたでしょうか。
金木犀の甘い香りは中国でも好まれ、お酒や、花茶をはじめ、「桂花醤」と呼ばれる蜜煮にした香味料にして、季節を超えて金木犀の香りを楽しんできました。
また、お正月には金木犀の花の砂糖漬けを飾る習慣があります。これは、金木犀の花の由来からきています。中国では金木犀の花の黄色を金色と表現し、「金木犀」と名付けました。
中国では赤と金が縁起のよい色ですよね。それに金木犀の別名「桂花」は中国語で「雅な花」という意味でますますお正月にぴったりです。
今年のお正月は金木犀の原産国中国にならって、金木犀を楽しんでみましょうか。
まとめ
金木犀ってどんな花?花言葉~食用方法まで詳しくご紹介♪
・「謙虚」に咲いています
・ 儚く、そして「謙遜」している花です
・「気高い人」のような花の香りです
・「真実」とは一つではありません
・「真実の愛」を捧げるように
・「陶酔」に酔ってみますか
・「初恋」を思い出しました