パンジーは花に詳しくなくても知っている人の多い花ですが、パンジーの花言葉は余り知られていませんよね。花の少ない寒い冬から暖かな春が終わるまで、長く沿道や家庭の花壇に彩りをもたらしてくれる春を代表する花の一つで、花色も定番の3色のパンジーの他に単色のパンジーも存在します。
パンジーの花言葉も、パンジーそのものの花言葉とパンジーの花の色別に付けられた花言葉、西洋での花言葉があり、花色同様にバリエーションが豊かで特にパンジーの花言葉は面白い由来や素敵な逸話があります。
身近な花のようでまだまだ多くの人が知らない事がパンジーには隠されていますから、パンジーの花言葉が気になるなら是非その由来や別名、豆知識も知って下さい。そこで今回はパンジーの花言葉に隠された意味についてお伝えします。
春の終わり頃の花姿から付けられた花言葉
北ヨーロッパが原産のパンジーはスミレ科の花で、江戸時代の末期にオランダから運ばれてきました。似た花にビオラという花があり、違いがわかりにくいと良く言われますが花の直径が約5cm以上あればパンジー、花の直径が約4cm以下ならビオラと見分ける事が出来ます。
そんなパンジーの花言葉は「物思い」と「私を思って」の2つが一般的に知られています。花壇を明るくしてくれる花にも関わらず、少し物憂げな花言葉が付けられているのはパンジーの花名が「思想」という意味を持つフランス語「パンセ」から付けられたからです。
「パンセ」と言う言葉がイメージされたのは、段々と気温が高くなり開花時期が終わりに近づくと人の顔に似た模様を持つパンジーが花首を前に傾ける姿が物思いに耽っているように見えた為であり「物思い」と言う花言葉の由来にもなっています。
パンジーの模様と別名、花言葉の関係性
パンジーの別名には花の姿を蝶が遊んでいる姿に例えた「遊蝶花(ゆうちょうか)」や「胡蝶菫(こちょうすみれ)」、一つの花に紫色・黄色・青色など三つの色を持つ事から付けられた「三色菫(さんしきすみれ)」の別名がありますが、注目したいのは「人面草(じんめんそう)」と言う別名です。
少し不気味な名前ですが、実際に「パンジーの花が人の顔のように見えて怖い」と言う人や「パンジーの模様が自分をじっと見ているようで何となく苦手」と言う人も少なくありません。このような声がある通り、パンジーの花の模様は「人面草」という別名の由来であり、花言葉の由来になった「パンセ」と言う言葉がイメージされた理由でもあります。
パンジーの花色別の花言葉
品種改良により現在は単色のパンジーも存在しますが、昔からある定番のパンジーと言えば色の濃い中心部分から色の薄い外側部分にかけてのグラデーションや色の対比が美しいのが特徴。
一株あるだけでパッと周りの雰囲気を明るくしてくれます。今では寒さに強い品種に改良されて花には厳しい冬の寒さにも耐える事が出来るようになった為、明るい雰囲気の花が少ない冬の花壇に欠かせない花の一つになりました。
花色の多さもパンジーの魅力であり、花言葉もそれぞれの色に違ったものが付けられていて、紫のパンジーの花言葉は「思慮深い」や「誠実」、白のパンジーの花言葉は「温順」、黄色のパンジーの花言葉は「つつましい幸せ」と「田舎の喜び」、オレンジのパンジーの花言葉は「天真爛漫」と、花色によってはパンジー全体の花言葉と違った明るいイメージの花言葉も付けられています。
西洋のパンジーの花言葉は
日本でもすっかり親しまれているパンジーは西洋でも多くの花壇を彩っています。西洋でのパンジーの花言葉は「think of me=私を思って」と「memories=思い出」、「merriment=陽気さ」の3つで、日本のパンジーの花言葉にはない「陽気さ」を意味する「merriment」と言う花言葉がある所が注目ポイント。
花色別には紫色は「You occupy my thoughts=あなたのことで頭がいっぱい」、黄色は「remembrance=記憶」、白色は「thoughts of love=愛の思い」と愛情に関する花言葉も見られます。
パンジーは愛の花
余り知られていない日本のパンジーの花言葉に「一人にしないで」といった言葉があります。「一人にしないで」の花言葉が付けられたのは、パンジーが一つの花茎に複数の花を付ける多花性の植物である為です。
「物思い」、「私を思って」や「一人にしないで」の花言葉はまるで片思いをしているような言葉にも思えますよね。実はパンジーはヨーロッパでは愛の花や恋の花と呼ばれていて、バレンタインの日に恋人に贈る定番の花とされていたり、「パンジーを身に着けていると異性からの愛情が得られる」なんて言い伝えのある恋のお守りとしても知られています。
これはパンジーに多くの恋愛にまつわる逸話や神話があるからです。その中の一つに、パンジーがバレンタインデーの定番の花となった由来であるバレンティヌス司祭の逸話があります。
「ローマ帝国の時代、若者たちは戦争に赴く為、心を揺るがす「家庭」や「家族」を作る結婚は禁じられていました。結婚したくても出来ない若者たちを哀れんだキリスト教の司祭であるバレンティヌスは国に禁止されていた結婚式を密かに行っていたのですが、やがて皇帝に知られ処刑されることになります。
投獄されたバレンティヌスは、牢屋の窓辺に咲いていた菫のハートの形をした葉に「私を忘れないで下さい」と言うメッセージを添えて鳩に託して飛ばしました。」と言うもので、バレンティヌスが投獄された牢屋の窓辺に咲いていた菫はヨーロッパに多く自生している三色菫=パンジーだったとして伝えられています。
その為、ヨーロッパではバレンティヌス司祭が処刑された2月14日のバレンタインデーにパンジーを恋人に贈るのです。もう一つはギリシャ神話の愛と美の女神ヴィーナスの子であり、ローマ神話ではキューピッドと呼ばれているエロスと言う愛の神が野原に咲いた純白の菫に「人々に愛の心を伝えておくれ」
と3回口付けると純白の菫は3色に分かれてパンジーになった。と言う話で西洋のパンジーの花言葉に日本での花言葉に無い愛情や恋愛に関わる言葉が付けられているのも、西洋ではこれらの伝説が広く知られている為だと言えます。
さて、パンジーの花言葉は切ない言葉が多かったものの愛の花らしい花言葉や由来も隠されていました。「私を思って」の花言葉が付けられた背景にはバレンティヌス司祭の逸話があり、西洋での紫色のパンジーの「You occupy my thoughts=あなたのことで頭がいっぱい」、白色のパンジーの「thoughts of love=愛の思い」は身に着けていると異性からの愛情が得られると言う恋のお守りのジンクスが関係していると考えられます。
また、一つの花茎に複数の花を咲かせる性質から「一人にしないで」の花言葉が付けられていたり、花の模様から「物思い」と言う花言葉が付けられているように見た目から付けられた花言葉もあります。
特に「物思い」の花言葉の由来は特徴で、「物思い」と言う花言葉が付けられている植物はパンジー以外にもありますが「花の模様や花の終わり頃の姿が人の顔や物思いに耽る人の姿に見えた」なんてユニークな由来があるのは独特な模様があるパンジーだけです。
人の顔のようで怖いと言われる事もあるパンジーですが、花言葉にはロマンティックな意味も隠されている愛の花ですから、パンジーの花言葉や逸話を誰かに伝えてみてはいかがでしょうか。