アセビの育て方は日陰に強いため、シェードガーデンにうってつけです。日陰に強いだけでなく、育てるのが簡単という長所も持っているだけに、日陰を有効活用するのに、お庭に迎えたくなっちゃいますよね。
小さな鈴のような花の形がかわいらしいアセビは、花の少ない早春から庭を彩ってくれるありがたい花なのですが、同時期に花を咲かせる椿や梅などと比べると、名前を知っている人は少ないかもしれません。
けれども日陰に強いアセビは、ガーデナーにとっては何かと助けられる花です。
例えば、隣家との距離が近い住宅では、お庭も狭かったり日陰になってしまったりして園芸が楽しみづらかったりもしますが、アセビの育て方を知れば、その日陰を逆に活かした庭ができます。
そんな「シェードガーデン」という庭づくりは、今特に注目を集めているんです。そこで今回は、アセビの育て方と、アセビを活かして楽しむシェードガーデンのポイントについてお伝えします。
アセビの育て方☆
シェードガーデンを楽しむポイントとは
アセビについて
アセビは、もともと日本の本州から九州までの広い地域に自生する常緑の低木です。
漢字では「馬酔木」と書きますが、その由来は葉に毒があって、馬が食べると酔っぱらったようにふらつくからだと言われています。
早春に咲く花は白や赤など種類があるので、選ぶ楽しみもある他、年間通してお庭に緑を提供してくれることでも、愛されてきました。
【 アセビの育て方☆基礎知識 】
★ 園芸用としては、日陰に強く育てやすい種類なので、初心者の方にもとっつきやすいのが嬉しいところです。
・ もともと日本に自生していた種類とあって、日本の暑さや寒さにも強く、病気にもあまりなりません。
また、あまり大きくなり過ぎないので、スペースの小さな庭でもお手入れが簡単です。
アセビの育て方のポイント①土
アセビの育て方のポイントの1つ目は、土壌です。
【 アセビの育て方☆土壌 】
★ アセビは、水はけがよく腐植質の豊富な土壌を好みます。
・ 鉢植えで育てる場合の用土は、小粒の赤玉土、鹿沼土、腐葉土を等量ずつ配合した土を使ってみてください。庭植えの場合は、深めに掘った穴に腐葉土や元肥をよく混ぜてあげます。
植え付けたり鉢を置いたりする場所は、日当たりは少なくて大丈夫ですが、風が当たりすぎない場所を選んであげると、冬の乾いた風で葉が傷むのを防ぐことができて、おすすめです。
アセビの育て方のポイント②植え付け時期と水やり
土を用意できたら、次は植え付けです。アセビの植え付けに適した時期は、3月から4月上旬の新芽が伸び始めるころと、10月から11月終わりごろまでの年2回あります。
【 アセビの育て方☆水やり 】
★ 鉢植えの場合は、用意した用土に苗を植え付けてからたっぷり水をやってください。
・ 庭植えの場合は、植え付ける穴自体は深く掘りますが、苗は深植えになりすぎないようにするのがポイントです。
植え付けた直後は水をしっかりやる必要がありますが、基本的には水やりの必要はありません。ただし、夏の特に暑い時期には朝晩の涼しい時間帯に水をやってあげると元気が保たれます。
シェードガーデンとは
アセビの育てかたの基本をお伝えしたところで、次はシェードガーデンについてお伝えします。
元々は大きな木を植え、その木陰に植物を植えて楽しむ庭の形式のことを表した言葉でした。欧米の大きな土地のある庭作りで楽しまれるガーデニングの手法です。
【 アセビの育て方☆シェードガーデンとは 】
★ ただ広いスペースが必要になるので、日本ではそんな大きな庭はなかなかありません。
・ そこで、このシェードガーデンに利用されるような半日陰を好む植物や、日陰にも耐えられる植物を活かして庭作りしているのが、日本における「シェードガーデン」の楽しみ方なんです。
シェードガーデンでアセビを楽しむ
アセビは日なたや半日陰を基本的には好みますが、日陰でも丈夫に育ってくれる植物なので、そんなアセビを活かしたシェードガーデンを作るためには、まず自分のお庭がどんな場所なのかを知ることが大切です。
【 アセビの育て方☆庭によって違う育て方 】
① 半日陰(木陰)のお庭
・ 大きな木によって優しい木陰が生まれている、本来の意味の「シェードガーデン」に適したお庭が、このパターン。
… アセビは濃い緑の葉が印象的な常緑樹なので、木陰を生む中心となるシンボルツリーには、雰囲気の違う落葉樹を合わせてあげるとバランスが取りやすいです。
例えば、イロハモミジやイヌシデのように、葉の色が明るい木がシンボルツリーなのであれば、葉のコントラストを楽しめます。
また、エゴノキやヤマボウシのように、初夏に花を咲かせる木をシンボルツリーにすれば、アセビの花が終わるころに連続して花を楽しむことができるので、季節感のあるお庭が魅力です。
② 半日陰(東向き・西向き)のお庭
・ 「半日陰」という言葉のもう一つの意味として、1日のうちの限られた数時間だけ日が当たる状態を差しています。
… 植物の説明に「半日陰に向く」と書かれていても、木陰だけを指している場合もあるので、アセビに合わせる植物には注意してください。
おすすめなのは「フウチソウ」、半日陰や寒さに強く、丈夫なので初心者にも育てやすい草です。葉が密生してボリューム感があり、葉の色も明るいので、日陰のもの寂しさを軽減してくれます。
花を楽しみたい場合、クリスマスローズやシュウメイギクなどがおすすめですが、これらの植物は暑さに弱い場合が多いので、西向きのお庭では注意が必要です。
③ 日陰のお庭
・ 日陰とは、建物の北側など、1日中直射日光の当たらない場所、アセビはこのような環境でも育ってくれる貴重な植物ですが、花数は少なくなってしまいます。
・ そのため、日陰でも花を咲かせてくれる丈夫な植物とあわせることで、もの寂しさをカバーしてあげてください。
おすすめなのは、スズランやヤブラン、ギボウシなどで、特にスズランは、花の形がアセビとよく似ていることもあり好相性です。
また、ヤブランは葉の色が深い緑から明るい斑入りのものまで様々なので、種類をそろえて庭を彩ることもできちゃいます。
また、ギボウシは葉の色が豊富なカラーリーフでありながら、花も楽しむことが出来る万能植物、初心者にも育てやすい花の代表的な存在なので、ガーデニング初心者さんには特に育てやすいので、試してみてください。
いかがでしたでしょうか、「アセビなんて耳馴染みもないし、あまり興味がないな…。」と感じていた方も、アセビの魅力を発見できたのではないでしょうか。
初心者に育てやすく、どんな庭にも適応してくれるアセビ、元々日本の植物だというだけあり、日本のお庭事情にもぴったりなんです。
また、シェードガーデンなんて聞くと、初心者には難しいものに聞こえてしまいますが、丈夫なアセビならどんなお庭でも対応してくれます。
今回お伝えした、アセビに合わせるのにおすすめの植物は、いずれも和モダンな雰囲気が魅力的なものばかりです。
日陰で狭い庭にガーデニングを楽しむことを諦めていた方も、アセビのもつ和の雰囲気をお洒落に活かして、ぜひ自分だけのすてきなお庭を作ってみてください。
まとめ
シェードガーデンの基礎知識とアセビの育て方
・土は水はけのよい赤玉土と腐葉土の混合土
・水やりは基本的にやりすぎない
・植える場所は風が当たりすぎない場所
・「日陰」「半日陰」「半日陰(木陰)」に分ける