イチジクの育て方は、歴史ある果物のイメージとは違い、決して難しくありません。初めての果樹栽培にチャレンジする、園芸初心者向け植物。しかく地植えでなく鉢植えで立派に栽培できると聞けば、一度は自分の手で育てて収穫してみたくなりますよね。
コロンとした可愛い外見とプチプチした不思議な食感のイチジク、なんと紀元前2000年以上も前から栽培され愛されている果物!
イチジクは漢字では無花果と書きますが、その理由はイチジクの花が、実の中の見えない所に咲くことから付くため。まるで花を咲かせずに結実するかのような、変わった生態のイチジクの育て方、ますます興味が湧いてきますよね。
そこで今回は、鉢植えでのイチジクの育て方の基本と、おいしい実を収穫するためポイントをお伝えします。
イチジクの育て方☆
鉢植えでも収穫できる手順とは
まずは苗と鉢選びからスタート
イチジクの育て方の手順として、まず手を付けるのが苗選び。イチジクは実の収穫まで2年はかかりますので、早く収穫したい方はあらかじめ2年生の苗を購入して、1年だけ収穫まで待つという手もアリ。
【 イチジクの育て方☆苗選び 】
★ 自分は1年生の苗から2年かけてゆっくり育てたいのか、収穫時期優先で2年生の苗を買うのか、そこを決めてからお店に出向けば悩まずにすむはず。
そして次に決めるのがイチジクの品種。イチジクには夏果専用種と秋果専用種、夏秋兼用種というものがありますが、初心者の方には9月から10月に収穫できる秋果専用種がおすすめ。
確かに初めての果樹栽培にとって、夏の暑さの中での管理はハードルが高いもの、無理せず秋果専用種を選んでおけば安心!
【 イチジクの育て方☆鉢選び 】
★ イキイキした良い苗が見つかったら、鉢を決めます。大きさは8号、できれば10号以上の鉢にしておけば間違いありません。
・ 好きなデザインの鉢を購入すれば、イチジク栽培への気持ちも高まってきそうです。
植え付けに適した時期と場所
イチジクの苗を購入したら次は鉢への植え付け!植え付けは時期は12月から春までが目安ですが、寒い地域にお住いの場合は3月頃の植え付けがおすすめです。
その年によっても寒さの加減は違いますので、若い苗を植え付ける際には気温に気を配っておくことも、イチジクの育て方では大切。
【 イチジクの育て方☆土 】
★ 苗を植える際には市販の培養土でも大丈夫ですが、さらに赤玉土と腐葉土、ひとつかみの石灰を足して土づくりをすればOK。そして苗はなるべく鉢の浅めの位置に植えるようにします。
・ 鉢の置き場所は日当たりが良く、強い風にさらされない場所を選ぶのがベスト。大きさは1メートル程度に育つので、成長後の高さも含めて置き場所を決めれば安心です。
また鉢植えには台風・大雪などの荒れた天候時や、風の強い日にはその風向き次第で場所移動できるという利点があります。大きく育ってからの鉢移動は重くて大変なので、便利なキャスター付きの台に乗せておくのも、良いかもしれません。
水やりはこまめに
イチジクの育て方の中でも重要なのが水やり。特に夏場の水切れは禁物で、収穫の前に実が割れてしまうなど、大きなダメージを生み出しかねません。
【 イチジクの育て方☆夏の水やり 】
★ 夏から初秋の暑い時期には1日に1度ではなく、土の表面の乾き具合と葉の様子を見て水やりの回数を決めるようにします。
・ イチジクはその大きな葉からもどんどん水分が蒸発してしまうので、そういった事も考慮してマメに水を与えるのが収穫へのコツ!
しかし、あまりにも気温が高い日の日中にお水を与えると、苗を傷めてしまうことに…。そういう時間帯は水やりを避けてください。その間にも水分は蒸発してしまうので、真夏にはイチジクの根元を水苔でおおって、苗を守るようにするのが賢明です。
収穫のために大事な芽かき・剪定
おいしいイチジクの収穫の為には芽かき・剪定の作業が必要。その他にも根が張りすぎていないか、などもチェックしておくべき項目です。
鉢植えでのイチジクの育て方では、「一文字仕立て」という植え方が一般的ですが、これは植木鉢にイチジクの苗を1本植え、切り戻しなどをしつつコンパクトに仕上げるやり方。
【 イチジクの育て方☆切り戻し 】
★ 苗の植え付け時にイチジクの背丈が50cm以上あるようなら、30~50cmの高さに切り戻し、植え付け1年後も同じように伸びた枝をカット。
・ 2年後にはこれに加えて細い枝・弱い枝もバッサリ。これがイチジクの切り戻し作業です。
芽かきとは、主に伸びている枝の新芽以外の芽を摘み取る作業、そうして伸ばしたい枝にたっぷり栄養が届くよう、手助けをしてあげることがポイント。
そして、鉢底をチェックして根が回りすぎているようなら、余裕のある大きさの鉢に植え替えます。これもイチジクの育て方には欠かせない手間のひとつ、鉢に余裕が生まれればイチジクもノビノビと成長してくれます。
イチジクの追肥と収穫のタイミング
イチジクの育て方で結実のためにやっておきたいのが追肥。追肥のタイミングは12月~1月、与えるのは油かす・固形の配合肥料が扱いやすいのでおすすめです。そして9月頃にも肥料を与えますが、ここで与えるのは化成肥料などがベスト。
【 イチジクの育て方☆摘果 】
★ イチジク収穫に向けての実の管理では、ある程度の摘果も大切。
・ 傷んだ実や小さいままで成長しない実などは早めに摘果し、その分の栄養を大きなしっかりした実に回すようにお手入れをしてあげるのです。
この辺りはおいしいイチジクの育て方の中でも、収穫を想像できる作業!ここまでの作業を越えればあとは実が熟すのを待つだけ、実を触ってやわらかく感じたら美味しいイチジクの食べごろ!
また、イチジクは追熟しない果物なので、完熟した実をその都度採って食べるのが一番贅沢で、おいしい食べ方です。
いかがでしたでしょうか、イチジクの育て方は特に難しい作業をしなくてもいいのが嬉しいポイント。果実酒やジャムにしても良いし、そのまま食べても美味しいイチジク。食べ頃の完熟の状態で収穫することを考えたらワクワクしてきます。
イチジクは人工授粉しなくても結実する嬉しい果物なので、実がなるかどうかの心配もしなくて大丈夫。鉢植えでしっかり育ってくれて、好きなタイミングで獲れたてを味わえるとなると、栽培しないでいるのは勿体ない!
イチジクは冷凍できるので、完熟のタイミングを逃さずに収穫してフリーザーバッグに入れて保存するのがおいしく食べるコツ。食べやすい大きさにカットしておけば、好きな料理やデザートに活かすことができます。
解凍する時は全て溶かしてしまうと水っぽくなるので、シャーベット状の溶け加減の時にミキサーにかけて、ジュースやシェイクにすると最高に美味しいです。
スーパーで見られない品種を味わえるのも、自宅栽培の魅力。好きな品種、食べてみたい品種を探してみるのも楽しそう…。初心者にも易しいイチジクの育て方、いくつかのコツを押さえて、収穫を成功させちゃいましょう!
まとめ
イチジクの育て方のポイント
・園芸初心者なら、秋果専用種がおすすめ
・苗は、鉢の浅めの位置に植える
・夏の水やりでは、水切れは大敵
・タイミングを見て、大きな鉢に植え替え
・美味しい果実収穫には、摘果も必要