フェンネルの効能が見逃せない5つの特徴


フェンネルは魚料理で使われるハーブとして、イタリア料理などでよく見かけますよね。イワシやサバなどの魚にフェンネルをのせてマリネやソテーなどにすると、臭みが取れて爽やかな風味が加わるだけでなく、ふわふわで繊細なフェンネルの葉っぱの緑色が美しくて食欲をそそります。

そしてさらにフェンネルは種子(正確には果実)の使い道もたくさんあって、インド料理をはじめ料理に欠かせないスパイスとして世界中で重宝されています。家庭で育てるハーブの中では、フェンネルは1mを越えるほどになるので鉢植えでは難しいためか、それほど多く苗が売られていることはありません。

その為、バジルやローズマリーといった定番中の定番のハーブと違って「フェンネルを育てています」と言うと、ちょっとハーブの上級者のような感じ。ハーブでもありスパイスでもありさらに野菜でもあるフェンネル。そこで今回はフェンネルの効能が見逃せない特徴についてお伝えします

 

フェンネルの効能が

見逃せない5つの特徴

 

古代からの天然の胃腸薬

フェンネルはセリ科ウイキョウ属の多年草で古代ローマや古代エジプト、ギリシヤ、インドでも食用や薬用として利用されていました。フェンネルという名は、ラテン語で「小さな干し草」の意味で、アングロサクソンの9つの神聖なハーブの一つになっているほど古くから親しまれている薬草です

種子は確かにピリッとした中にも甘さのある干し草のような香りがします。中国へは4~5世紀、日本へは平安時代になって中国から伝来しました。和名は「茴香(ウイキョウ)で、完熟寸前の種子を干したものが多くの漢方胃腸薬に使われている程です

フェンネルの独特の香りはアネトールという成分ですが、アネトールには消化を促進する効果があるため胃もたれや消化不良を改善し、またお腹のガスを出し腸内の蠕動運動が促進されるので便秘の解消にも役立ちます

 

魚料理をはじめとした幅広い利用法

ヨーロッパでは「魚のハーブ」と呼ばれているフェンネルですが、フランス料理のブイヤベースなど魚のスープを作る時、臭み消しとして数種類のハーブを束ねて入れる「ブーケガルニ」にフェンネルは欠かせません。

またパンを焼く時にフェンネルの葉をパン種の下に敷いて風味をつけたりもしますし、柔らかい若い葉を刻んでオリーブオイルに漬けて調味料としても使います。他にも育ってやや硬くなった葉や茎もスープやソースに使うなど、利用法は様々

なお、同じような魚の臭み消しに効果を持つハーブにディルがありますが、香りの繊細なディルはサーモンと組み合わされることが多く、それに比べてより強い香りのフェンネルはイワシやアジ、サバなどの青魚の脂っぽさや臭みを取るのに大いに役立っています

 

広い地域で利用されている重要なスパイス

古代ローマの兵士が進軍しながらフェンネルを撒いて、各地にフェンネルを自生させていったため、ヨーロッパではフェンネルシードとその精油もふんだんに使われていきました。パンやケーキ、パイ、ソース、ビネガー、ソーセージ等の風味づけやリキュール、化粧品に入浴剤と例をあげたらきりがありません

フェンネルシードのお茶も利尿、健胃、肝臓障害を改善するお茶としてとても身近なものです。中国に渡ったフェンネルは、同じセリ科のスターアニスが大茴香、フェンネルが小茴香として干したフェンネルシードが多くの料理に利用されました。

その中で有名なのが五香粉(ウーシャンフェン)で、ミカンの皮の陳皮や肉桂(シナモン)などと組み合わせたミックススパイスは振りかけるだけで一気に本格中華の味が出せる便利なものです

インドでもカレーのスパイスの中でフェンネルが重要な存在なのはもちろんですが、口直し兼消化剤代わりに砂糖でコーティングしてカラフルに色付けしたフェンネルシードが市販されていています

極端なのは食後にフェンネルひとつまみをそのまま、氷砂糖と一緒に口に放り込んでポリポリ。食後にフェンネルシードを食べるのは、口臭予防と消化促進で一石二鳥なのですね

 

ダイエット効果への期待

ハーブの香りでストレスからくる過食を抑え、消化を促進してむくみを取る働きのあるお茶はダイエットを行う上でとても重要なお助けアイテムです。胃腸の働きを助けるハーブティーとして、フェンネルティーは古くからダイエットに利用されてきました

特に、ガスでお腹が張って苦しい時やむくんで身体がだるくなっている時にそれらを解消してくれます。フェンネルティーは単独では飲みにくい場合も多いので、柑橘系のハーブとブレンドすると飲みやすくなります

最近では海外セレブなどがフェンネルシードを水につけただけのフェンネル・ウォーターを飲んでダイエットしている話が話題ですが、この水出しフェンネルティーは杜仲茶や薬草茶が平気な人には手軽で良いかもしれません。

 

注目のイタリア野菜

ルッコラ、スイスチャードといった新顔の西洋野菜もお馴染みになってきましたが、その中で「フィノッキオ」という名前で、株の根元が白菜のように重なり合っている巨大球根のような野菜があります。実はフィノッキオはフェンネルのイタリア語読みで、「フローレンス・フェンネル」という名前でも売られている香味野菜です。

味の濃いセロリのようなフィノッキオは、食べる部分は主に鱗茎(りんけい)という太った根元の部分で日本だと1個500円以上する高級野菜ですが、イタリアでは、新タマネギのような歯ごたえのある食感のフィノッキオがサラダやスープにと大活躍。

健胃作用のある野菜として、オイルたっぷりの料理の胃もたれ防止に薬代わりの感覚で食べられています。その栄養価は、まずカリウムがバナナやメロンよりも多く含まれていて疲労やむくみを取り、高血圧の予防に役立ちます。

ビタミンA、C、B1、Kも多く、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類、代謝に不可欠なナイアシン、細胞の生まれ変わりに不可欠で妊娠・授乳中には特に必要な葉酸なども含まれている優れた野菜です

鱗茎以外にも葉や茎全体を食べられるフェンネルは、火を通すと甘くなりクセも消えるので、今後はルッコラと同じようにイタリア野菜としてポピュラーになっていくに違いありません

 

いかがでしたでしょうか。フェンネルは宿根草なので植えっぱなしでもぐんぐん大きくなるし、たくさんの利用法があるので庭に余裕があったらぜひ植えてみたいハーブです

もし植えられるなら、フェンネルをディルの近くに植えると2つはとても良く似ている外見と香りなのでお互いを間違えやすく、また同じセリ科のため交雑(こうざつ=自然に交配してしまうこと)して香り自体が変わってしまうこともあるので離して植えましょう。茂りすぎたフェンネルは葉を木綿の袋に詰めてお風呂に入れると、立派な入浴剤にもなります

たとえフェンネルを家で育てられないとしても、フェンネルシードをスパイス棚に常備しておくと料理の幅が広がりますよ。そして何より食べすぎて苦しい時や身体の内側からすっきり、デトックスしたいという時にはフェンネルがあればとっても心強いですね

まとめ

種子から茎・葉・根元まで食べられるフェンネルの効能

・香り成分「アネトール」に健胃・整腸作用があり漢方にも利用されている
・魚のハーブとして葉や茎を魚の臭み取りや料理の風味づけに
・フェンネルシードはカレーやお菓子などから化粧品まで利用法が多彩
・食べ過ぎを抑えお腹のガスを取るフェンネルティーがダイエットに効果的
・鱗茎(りんけい)という白く太った根元は野菜としての栄養価が高い


連記事
タイトルとURLをコピーしました