秋の花にはどんなイメージがあるでしょうか。多くの植物は春から夏にかけて茂り、花を次々と咲かせます。秋になると徐々に花の盛りを過ぎて、紅葉し、実をつけ、やがて枯れ色になっていきます。しかし、このような秋に見頃を迎える花たちもたくさんあります。
秋の訪れを感じさせてくれるのは、彼岸花やコスモスなどの花です。秋の花の中では華やかな彼岸花やコスモスは、秋の花めぐりの中でも人気が高く、各地に名所があります。また萩やススキといった秋の七草も味わい深く、日本人の心の琴線に触れる美しさがあります。
秋の深まりとともに秋バラやダリア、菊の花なども見ごろを迎えますし、辺りに芳香を漂わせる金木犀も多くの人に愛される秋の花です。
元気いっぱいの夏の花々とは違い、秋の花には独特の情緒があるものが多いですね。
今回は秋の花を楽しんでいただくための、おすすめの名所をご紹介します。全国にはたくさんの秋の花のスポットがありますが、その中から一度は行ってみたい場所を選んでみました。
秋の花を楽しもう!
絶対行っておきたい7つの名所
太陽の丘えんがる公園(北海道)でコスモスを見よう
コスモスは漢字で「秋桜」と書き、秋の訪れを告げてくれる代表的な花の一つです。キク科に属し、メキシコを原産とする花ですが、現在ではすっかり日本の風景に馴染んでいます。
北海道オホーツク西部にある遠軽町(えんがるちょう)には、太陽の丘えんがる公園コスモス園があります。園内は四季を通じて様々な草花を楽しむことができますが、秋はコスモスの花が咲き誇ります。10ヘクタールもの敷地に咲くコスモスは、日本最大級のコスモス畑です。赤、白、ピンクなど約1千万本のコスモスの平原は圧巻です。
巾着田(埼玉県)で彼岸花を見よう
日ごとに秋の気配が感じられる9月頃、赤い炎のような形の花がひときわ目を引く彼岸花。お彼岸の頃に咲くので彼岸花と言いますが、「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」とも呼ばれています。赤い花がよく知られていますが、白や黄色の彼岸花もあります。
都内から電車で1時間ほどの、埼玉県日高市には彼岸花の名所として知られる巾着田があります。近くの山から見下ろすと、荒川水系の高麗川が大きくカーブし、巾着のような形に見えたことから巾着田と呼ばれています。川沿いには9月頃、真っ赤な彼岸花が群生し妖艶な姿を見せています。日本で最大級の広さの群生地です。
松平郷園地(愛知県)で萩を見よう
萩は秋の七草の筆頭にも数えられ、万葉集にも詠まれるほど古くから親しまれてきた花です。落葉低木の萩は年ごとに茎が太くなるほかの植物と違って、根元から毎年新芽を出します。枝の先端に赤紫色の愛らしい小さな花を房状につけます。
各地に萩の名所はたくさんありますが、中でも愛知県豊田市の松平郷園地の萩は見事です。松平氏の始祖地である松平郷園地にはミヤギハギ約1,000株、ヤマハギ約500株、シロハギ約200株が植えられています。それぞれ赤紫・ピンク・白の花を咲かせます。見頃は9月下旬くらいまでです。
曽爾高原(奈良県)でススキを見よう
中秋の名月に欠かせないものと言えば、ススキとお団子です。秋の野に黄金色のススキがなびいている様子は、日本の原風景の一つと言っても過言ではないでしょう。秋の七草のひとつでもあり、古くは「尾花」とも呼ばれました。
ススキの名所として有名なのは、奈良県曽爾高原です。正確には奈良県と三重県の県境の倶留尊(くろそ)山の西側に広がる高原で、秋にはススキが辺り一面に広がります。約40ヘクタールものススキの平原は見事です。10月から11月頃に見頃を迎えます。
花フェスタ記念公園(岐阜県)で秋バラを見よう
バラは春の花という印象がありますが、秋も春と並んでバラの季節です。
秋バラの特徴として、昼夜の寒暖差があるこの季節はつぼみの生長がゆっくりになるため、花に多くの色素と香り成分が蓄積されている点が挙げられます。色鮮やかな秋バラや、香り豊かな秋バラをぜひ楽しんでみてください。
岐阜県可児市にある花フェスタ記念公園には、約7,000品種3万株のバラがありますが、このうち約5,000品種2万株を秋に見ることができます。10月頃には秋バラの魅力を堪能できるイベントやガイドツアーも行っています。
川西ダリヤ園(山形県)でダリアを見よう
ダリアはキク科の植物ですが、菊にはない様々な形や花色を持っています。大輪咲きやポンポン咲きのダリアが有名ですが、一重咲きでコスモスに似た形のものやフリル咲きのもの、スイレン咲きのものなどがあります。花色も赤、オレンジ、ピンク、黄、白、黒などカラフルです。
山形県の川西ダリヤ園には4ヘクタールの敷地に650品種、約10万本ものダリアが咲きます。8月から11月頃まで様々なダリアを見ることができ、ダリアのライトアップや秋まつりなどイベントも開催されています。
新宿御苑(東京都)で菊を見よう
日本には350種ほどの野菊が自生すると言われ、古来より人々に親しまれている植物です。
平安時代には観賞用としてだけでなく薬草としても、菊が用いられていたことが知られています。全国各地に菊栽培の愛好会があり、秋には品評会が行なわれています。丹精込めて育てた見事な菊の花を観賞することができます。
東京都の新宿御苑では、毎年11月1日~15日まで「菊花壇展」が開催されています。菊は皇室の紋章としても用いられている通り、皇室とゆかりの深い花です。新宿御苑の菊花壇展は皇室ゆかりの菊まつりとして有名です。菊の花の華麗な伝統美を楽しむことができます。
いかがでしたか。
日ごとに涼しくなり、どこかもの淋しい秋ですが、秋に咲く花々が次々にシーズンを迎えて私たちの目を楽しませてくれます。
『萩が花 尾花葛花なでしこの花 女郎花また藤袴 朝貌の花』で知られるのは秋の七草ですが、野山に咲くさりげない花にも情緒があります。
野山や公園を散策し、たくさんの秋を見つけましょう。秋の間も必ずどこかで花が見頃を迎えています。今回ご紹介した名所を参考に、ぜひ秋の花の名所に足を運んで、趣ある秋の風景を味わってみてください。
まとめ
秋の花を楽しもう!絶対行っておきたい7つの名所
・太陽の丘えんがる公園(北海道)でコスモスを見よう
・巾着田(埼玉県)で彼岸花を見よう
・松平郷園地(愛知県)で萩を見よう
・曽爾高原(奈良県)でススキを見よう
・花フェスタ記念公園(岐阜県)で秋バラを見よう
・川西ダリヤ園(山形県)でダリアを見よう
・新宿御苑(東京都)で菊を見よう