秋の七草は意外と広く知られていませんよね。春の七草は「七草粥」の風習から、1月になるとスーパーで春の七草をセットにした、パックなども販売されているなど、自然と興味を持ったり知っていくもの。
一方で秋の七草は誰にも教えられないと、知らないまま大人になる方々も少なくありません。確かに一般的に秋の七草は食べられるものではないので、「自然に」覚えて行くことは難しいもの…。
けれども最近、「秋の七草の覚え方が面白い!」とちょっとしたブームになっています。実は漢方薬には必須の植物である秋の七草、その面白さをちょっと知りたくなりますよね。
そこで今回は、子どもにも伝えたくなる秋の七草の覚え方と、その豆知識をいくつかお伝えします。ぜひ、近くの友達に子ども達に、広めてください。
秋の七草を覚える☆
子どもに伝えたい7つの豆知識
秋の七草の由来
七草粥を1月7日に食べる風習もあることから、春の七草は全国的にも広がっているのですが、こと秋の七草に関しては、今や「知らない…。」と言う方々も多いですよね。
この秋の七草、実は万葉集で山上憶良が詠んだ句から始まりました。
【 秋の七草の句 】
★ 山上憶良が詠んだ句は、「萩の花 尾花 葛花 撫子の花、女郎花 また藤袴 朝顔の花」と言うものです。
・ 尾花はススキのこと、朝顔は現在の朝顔と言う意味合いではなく、当時は桔梗の花だったと言われていますので、秋の七草である「萩、ススキ、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗」となるのです。
もちろん、覚えようとすればこれでも十分に覚えられますが、昔は秋の七草を覚えるための、たくさんの「覚え方」がありました。それがとても面白い!続いてはその、面白い秋の七草の覚え方をお伝えします。
面白い!秋の七草の覚え方
秋の七草をはじめとして、覚えるために頭文字を何らかの意味合いに当てはめることがあります。そんな「語呂合わせ」が、秋の七草にはいくつかあり、どれも面白いものばかりなのです!
【 面白い!秋の七草の語呂合わせ 】
★ 「ハスキーなおふくろ」
・ は=萩
・ す=すすき
・ き=桔梗
・ な=撫子
・ お=女郎花(おみなえし)
・ ふ=藤袴(ふじばかま)
・ く=葛(くず)
・ ろ(なし)…となります。
面白いですし、インパクト大!ですよね。その他にも、「おはぎすきなクズとバカ!」と言う強烈な語呂合わせや、「大きなハカマ履く」など、様々な語呂合わせがあるのが、秋の七草なのです。
秋の七草の語呂合わせ
秋の七草の語呂合わせ、もう一つ有名なものがあります。それが「おすきなふくは?」。秋の七草を知っている、割りと多くの人々が、この「おすきなふくは?」で覚えています。
【 秋の七草の語呂合わせ 】
★ 「おすきなふくは?」
・ お=女郎花(おみなえし)
・ す=すすき
・ き=桔梗
・ な=撫子
・ ふ=藤袴(ふじばかま)
・ く=葛(くず)
・ は=萩…です。
「ハスキーなおふくろ」とは違い、余分な頭文字もなくぴったりです。皆それぞれに歌に合わせた替え歌を作ったり、さまざまな頭文字を当てたりと、秋の七草の覚え方は広がっているのです。
短歌のリズムで覚える
ちょっと正統な覚え方に戻ると、春の七草同様、秋の七草も五・七・五・七・七の短歌のリズムで覚えることが多いです。昔ながらの覚え方では、この方法が主流かもしれません。
【 秋の七草を短歌のリズムで覚える 】
★ ハギ・キキョウ・クズ・フジバカマ・オミナエシ、オバナ(ススキ)・ナデシコ
・ このリズムで覚えると春の七草同様に覚えやすいかもしれません。
ちなみに春の七草は「セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ、スズナ・スズシロ」ですから、対で覚えるとしても、文字数的にも丁度良い並びです。
暮らしに役立つ、秋の七草
「春の七草は食べられるけれど、秋の七草は食べられないしなぁ~。」と言う声もあるかもしれません。確かに全て食べられるものではありませんが、秋の七草は季節の風物詩というだけではなく、暮らしにも密接しています。
【 暮らしに役立ってきた、秋の七草 】
★ 秋の七草は観賞用のものが多い印象がありますが、漢方薬としても、人々の暮らしに関わってきたのです。
・ 最も説明しやすいのは「葛(クズ)」。葛餅などにも使われますが、「葛根湯」と言えばピンくるのではないでしょうか。葛根湯は風邪の症状などに効く漢方薬です。
その他、漢方薬として使われているのはススキの根や撫子、萩や桔梗の根もよく使われてきました。
秋の七草、さまざまな効能
では秋の七草であるススキの根や撫子、萩や桔梗の根などは、どのような症状に効くのでしょうか。今でも漢方薬は未病を改善するとも言われ、多くの人々に信頼されています。そんな漢方薬のなかでも、特に活躍している主な生薬が秋の七草なのです。
【 秋の七草の効能 】
・ 萩 … 婦人科系の不調によるめまい、のぼせに効く。
・ ススキの根 … 尿の出を良くして、熱を下げる
・ 桔梗の根 … 痰の出る咳に用いられ、気管支炎や喉の痛みにも。
・ 藤袴 … 煮出してお風呂に入ると、皮膚のかゆみに効く。
・ 女郎花 … 月経不順時に用いる
などなど、他にも多くの効果・効能があります。
お彼岸に供えられる「おはぎ」
日本の風習として、お彼岸にお墓参りに行きますが、春のお彼岸にはぼたもちを、秋のお彼岸にはおはぎを供えます。この「おはぎ」も、秋の七草の萩(はぎ)が由来した名前なのです。
【 お彼岸に供える、おはぎとぼたもち 】
★ 春のお彼岸には春に咲く牡丹から、「ぼたもち」。一方、秋のお彼岸には秋の風物詩である萩から、「おはぎ」と名付けられました。
・ 実はどちらもお米に餡子を包んだ同じ料理。秋には収穫したばかりの小豆を包んだ、つぶあんを用いた「おはぎ」を用います。
ちなみに春には収穫から時間が経っているために、よく漉して食べやすくした、こしあんを用いるのが、「ぼたもち」の特徴。このように秋を代表する風物詩が、秋の七草なのです。
いかがでしたでしょうか、秋の七草は世間では現代、あまり知られる存在ではありませんが、子どもに伝えたら喜びそうな、面白い豆知識がたくさんあります。秋の夜長にちょっとした話題として、話してみてはいかがでしょうか。
すすきの他にも藤袴や桔梗、撫子と、秋の花々のなかでも特に日本らしさを感じさせる花々が多い秋の七草。海外の方への豆知識としても良さそうです。ちょっとした和風の贈り物に添えるのも、アイデア!
最近ではインターネットなどで検索すると、春の七草や秋の七草を覚えるための、さまざまな楽しい音楽が発見できます。世界の名曲に歌詞を当てたものなどもあり、ちょっとしたブームにも…。
本記事をきっかけに秋の七草に興味を持ち、より興味を広げながら、子どもや友達、海外の方々にも、その面白さや知識を教えてください。
まとめ
秋の七草の覚え方と豆知識
・万葉集で山上憶良が詠んだ句が由来
・「ハスキーなおふくろ」で覚える
・「おすきなふくは?」の覚え方も有名
・短歌のリズムで覚えるのが正統派
・葛(くず)は葛根湯の主な薬草
・秋の七草の多くが、漢方薬の主要な薬草
・お彼岸に供える「おはぎ」は、萩が由来