紫色の花と優しいフローラルの香りが特徴のラベンダーは育て方が簡単で誰でも簡単に素晴らしい香りを楽しめるのが魅力ですよね。ラベンダーはシソ科のハーブの一種であり、基本的に丈夫でラベンダーの栽培が初めてでも失敗し難く、たくさん収穫出来る植物です。
ラベンダーと一口に言えど種類が豊富で、富良野ラベンダーで有名な香りも良い「イングリッシュラベンダー」と呼ばれている品種をはじめ、穂の先に蝶々が止まっているような姿の「レースラベンダー」やパイナップルのような穂の「フレンチラベンダー」などそれぞれ見た目や香りに違いがあります。
どのラベンダーも育て方はほとんど変わりませんから基本的なラベンダーの育て方を覚えて気に入ったラベンダーを栽培してみて下さい。そこで今回はラベンダーの育て方に必要な知識についてお伝えします。
ラベンダーの品種と気候について
ラベンダーは品種によって見た目や香り、耐寒性と耐暑性の強さが違います。ラベンダーと言われて多くの人が想像するラベンダーは「イングリッシュラベンダー」や「コモンラベンダー」と呼ばれる「アングスティフォリア系」のラベンダーです。
ラベンダーの中でも香りが強くアロマクラフトや料理・ハーブティーに使える「アングスティフォリア系」のラベンダーは耐暑性は弱く耐寒性はとても強い寒冷地向きの品種。
次にアングスティフォリア系のラベンダーとスパイクラベンダーを交配して生まれたハーブらしい香りがする「ラバンディン系」のラベンダーは種を作らない品種の為、増やしたい時は挿し木をする必要があります。
耐寒性・耐暑性のどちらも強く寒冷地でなくても育てやすいラベンダーを初めて栽培する人に最もおすすめの品種。ラバンディン系のラベンダーは花穂も大きいのでリースやラベンダーバンドルズ、スワッグのように見た目と香りを楽しむアロマクラフトにぴったり。
また、ラベンダーには花穂の先に蝶やうさぎの耳のような花を咲かせる品種もあり四季咲きの品種が多く、気候や管理状態が良ければ通年花を楽しめるのが「レースラベンダー」と呼ばれる穂の先に蝶のような花を咲かせる「プテロストエカス系」のラベンダーは耐寒性・耐暑性のどちらも弱いので夏と冬は室内に取り込んで育てます。
パイナップルのような穂の「フレンチラベンダー」や「イタリアンラベンダー」と呼ばれる「ストエカス系」ラベンダーやフリンジのような花を穂の先に咲かせる「フリンジラベンダー」は「アングスティフォリア系」や「ラバンディン系」のラベンダーに比べると香りが弱い鑑賞向きのラベンダーです。
直射日光や強い日差しを避ければ比較的夏越ししやすい一方、耐寒性はやや弱いので冬場は霜や凍結に気をつけて下さい。
同じ系統のラベンダーでも販売されている品種によって耐寒性・耐暑性が違うので確認してから購入すると夏と冬の管理で失敗し難いです。
また、ラベンダーは草丈が1mにもなる品種もあるので、栽培スペースが広く取れない場合は最終的な株の高さも確認しておくと安心。どのラベンダーも育て方に違いはありませんから、栽培する環境や香りや見た目の好みで選ぶと良いですよ。
ラベンダーの植え付けと植え替え
ラベンダーは日当たりの良い場所を好みますが、高温多湿に弱いので風通しが良く西日の当たらない場所を栽培場所にして下さい。植え付ける容器はプランターと鉢植えのどちらを選んでも良く育つので、好きなものを選びましょう。
土は市販されているラベンダー用の土か、赤玉土と腐葉土を5:3で混ぜた土にパーライトや川砂を2割程加えて水はけを良くした土で育てます。花や野菜の土を使いたい場合は小粒の赤玉土を加えればラベンダーの好む土に近づける事が可能。
ラベンダーは育て方のポイントを押さえておけば肥料を与えなくても花を咲かせてくれる植物ですが、養分が足りないと徒長してしまう可能性もあるので植え付けの際に緩効性化成肥料を施します。ラベンダーは植え付けも植え替えも3〜4月、10月上旬〜10月中旬の間に行って下さい。植え替えに関しては耐暑性の弱い品種は秋に植え替えた方が夏越ししやすくなります。
さて、ラベンダーは植え替えを嫌いますが、根も詰まりやすい植物です。根が詰まると排水が悪くなり、排水されずに溜まった水で根腐れしやすくなるので植え替え時期に鉢底や排水具合をチェックして、鉢底穴から根が出ていたり排水に時間がかかるようであれば植え替えをします。
植え替えで株を弱らせない為に一回り大きな鉢に根鉢を触らないように丸ごと植え替えるのがベスト。株を大きくしたくない場合は太くしっかりした根以外の傷んで黒ずんだ根や細かい根を切り植え替えます。
梅雨〜夏場は置き場所に注意
ラベンダーの育て方で最も気をつけなければいけない時期は梅雨から夏にかけて。ラベンダーは高温多湿に弱いので、梅雨の時期から管理に注意が必要。元々ラベンダーは乾いた土地に育つ植物で、梅雨の時期の長く続く雨に晒しておくとすぐに弱ってしまいます。
ですから、雨除けを施したり置き場所を軒下に移動して長い期間雨に直接当たらないようにしましょう。梅雨の時期が終われば常時雨除けをする必要は無くなりますが、段々気温が上がってきますので、強い日差しが当たらないように明るい日陰か半日陰になる場所に置きます。
ほとんどのラベンダーは暑さ対策をしっかりして夏越し出来れば翌年まで枯れる心配はありませんが、レースラベンダーはラベンダーの中でも特に寒さに弱く凍結や霜で枯れてしまいますから、レースラベンダーを育てる時は冬場も霜や凍結の心配のない室内に移動しましょう。
水と肥料は与え過ぎない
乾燥地で育つラベンダーに水や肥料の与え過ぎは禁物です。水の与え過ぎは根腐れの元、肥料の与え過ぎは葉が茂り花が咲かなくなったり、害虫発生の原因になります。基本的にラベンダーの水やりは土の表面がしっかり乾いてから、葉の元気が少し無くなってきた頃に鉢底から水が流れ出るぐらいたっぷり水やりをします。
ラベンダーは多湿を嫌うので、鉢の中が蒸れないように水やりは必ず涼しい時間に行って下さい。ただし、冬場は凍結を避けるために気温が上がってから与えましょう。肥料は元肥の他に3月頃〜7月上旬頃の間は月に一度、緩効性化成肥料を与えます。
ラベンダーの育て方ではラベンダーが最も苦手な夏場の水と肥料の与え方が重要。ラベンダーを無事に夏越しさせる為には気温の高い夏場は水切れしないように土の乾き具合によって朝の水やりだけでなく夕方にも水やりをします。
また、暑さでラベンダーがバテてしまっている時は決して肥料は与えないように気をつけて。バテて元気が無くなっている時に肥料を与えると株が余計に弱ってしまいます。生育が止まる冬場も肥料は不要です。
花の収穫と剪定で長持ちさせよう
ラベンダーの育て方で株を長持ちさせるために必要な作業が収穫と剪定です。鉢植えやプランターに花が咲いている姿を楽しみたい場合でも定期的に花を収穫や剪定を行います。特に満開になった穂は長く放置しないように注意。
ラベンダーが蒸れやすく弱りやすい時期になる梅雨前や開花時期の期間中に行う剪定は二分咲きから満開になるまでの花穂を、4枚〜5枚程度の葉を残して消毒した鋏で刈取ります。花後には株の半分程度の高さになるよう全体をバランス良く半球状に刈りましょう。
株が大きくなりすぎた時は株の中程の茎と、地面に付くように垂れ下がっている茎を刈り取って風通しを良くします。花を摘み取ると見た目が少し寂しくなりますが、ラベンダーは放置するとどんどん株が大きくなり蒸れてしまいます。病害虫を防ぐ為にも剪定はラベンダーの育て方の中でも重要な作業なのです。
このように、ラベンダーには色々な品種がありますが育て方は同じですから注意点と品種による耐寒性・耐暑性の違いを把握していればどの品種でも容易に収穫まで育てる事が出来ます。ラベンダーの育て方で特に注意したいのが夏と冬の管理です。
夏と冬は肥料を与えるのを中断して、必要であれば室内で管理しましょう。特に夏は蒸れないように剪定を行い、水切れにも注意しなければいけません。アブラムシやハダニなどの害虫を見つけたら薬剤を使うか水やりの時に株を良く洗って流します。
ラベンダーは品種が多いため育て方も難しいように感じますが栽培する土地の気候に合ったラベンダーの品種を選ぶのも失敗しない方法の一つ。自分の好みや住んでいる土地に合ったラベンダーを選んで栽培や収穫を楽しんでみてはいかがでしょうか。