胡蝶蘭の育て方を知り長く楽しむ5つのコツ


白やピンクの蝶が宙に舞っているような胡蝶蘭、家で育てられたら素敵だけれど、胡蝶蘭は温室の中でないと育て方が難しいそうなイメージを持っている方も多いですよね。胡蝶蘭は、開店祝いなどで花が咲き揃っている姿のものが飾られているのを見ることが多いもの。

また、高さ30㎝~40㎝位の小さめでかわいらしいミニ胡蝶蘭の鉢植えもあり、いずれも花が長持ちすることもあって常にお祝い事を筆頭にフラワーギフトの大本命。鉢植え胡蝶蘭の育て方は、太陽の光に当てて土が乾いたら水をたっぷりあげて・・・という一般的な草花の育て方とは違います。

でも、室内で管理できる胡蝶蘭は、花を長持ちさせながら次の新しい花を咲かせることも可能なのです。そこで今回は胡蝶蘭の育て方を知り長く楽しむコツについてお伝えします

鉢植え胡蝶蘭を飾る場所

鉢植えの胡蝶蘭は、ラッピングされていたらまずはずしましょう。茎にリボンが巻かれていると茎の負担になり、ペーパーを残しておくと、水やりをした時にそこに水がたまって蒸れやすくなります。原種の胡蝶蘭は熱帯雨林で太い根を樹木に貼り付けるような形で固定させている着生植物(ちゃくしょうしょくぶつ)です。

木の間から差し込む光と空気中の水分を葉や根から吸収しながら生きているので、日当たりや水やりをそれほど必要としません。そのため置き場所は室内で、観葉植物と同じ感覚でレースのカーテン越しの光が当たるような場所が適しています

エアコンの風が当たらない場所に置き、一日一回は換気をして風通しを良くして下さい。また、胡蝶蘭は室温が最低15度は必要ですので、玄関先など夜間に冷え込みそうな場所だと、ついている蕾がなかなか開かないので夜だけ移動するなど工夫が必要。

 

胡蝶蘭の水やり

胡蝶蘭の育て方で誤解しやすいのが水やりです。胡蝶蘭の根は太く水苔からはみ出していることも多いのですが、これが自然の姿。観賞用の胡蝶蘭は水苔の中に根を押し込められている状態で、胡蝶蘭にとって決して良い環境ではないのです。

胡蝶蘭を大事に育てようとすればするほど水を定期的にあげてしまいがちですが、根の周囲がずっと湿っている状態は逆に根腐れを起こしてしまいます。水苔の中までカラカラに乾いている状態になったら霧吹きで水苔に水分を馴染ませ、それから鉢底から水が流れるまで水やりをします。

鉢底から出る水がおさまってから受け皿に乗せてあげるのも根腐れを防ぐポイント。また葉っぱの根元のくぼみに水が溜まらないようにし、溜まった水はティッシュなどで吸い出さないと病気の元になります。胡蝶蘭の育て方では根元への水やりは回数を少なめにし、葉の表と裏に葉水をして湿度を上げることで、胡蝶蘭の好む環境を作ることが大切。

 

蕾が咲かずに落ちてしまわないように

売られている鉢植えの胡蝶蘭の大半は開いている花が約9割、蕾が1割といった状態ですが、花が長持ちしているので室内では見た目に変化が感じられない時間が長くなりますよ。そこでまず、この蕾がきちんと開くかどうかが胡蝶蘭の育て方が正しいかを知るバロメーターに。

先に胡蝶蘭には室温が15度以上は必要だとお伝えしましたが、胡蝶蘭の置いてある場所がリビングなど室温が20度以上ある場所は温度は問題なくても、エアコンで除湿を行っていると乾きすぎて蕾が咲かずに黄色くなって落ちてしまいます

エアコンの風が直接当たるのはもちろん最悪ですが、そうでない場合も1日1回は霧吹きで葉や茎、蕾に水をかけて湿度が下がらないようにします。この葉水はカイガラムシなど虫の予防にもなり、葉水を行うことで健康状態をチェックできるので習慣にしたいもの。

 

花が終わった後にするべきこと

胡蝶蘭の花がしおれてきたら順々に花を取っていきますが、最後の花が終わって曲がった茎と葉だけになった胡蝶蘭をどうするでしょうか。そのまま水だけをあげ続ければ良いの?と思うかもしれませんね。実は茎が残っていると栄養を茎に運ぼうとして株の栄養を取られてしまうので花が咲きにくくなります

胡蝶蘭の育て方では、花が全部終わったら茎を短くすることが次の花を咲かすコツ。支柱はそのままにしておくとバランスを崩して倒れたりするので引き抜きますが、引っ張った時に抵抗がある場合は根が支柱にからみついているかもしれないので支柱をカットしてはずし、茎は節を下から数えて4節ほど残してその上をハサミでカットします。

胡蝶蘭は18度の環境で20日から40日ほど置かれることで花芽を作ります。10~11月頃の1ヶ月間は屋外に出し、株の根元に黒っぽい芽が出てきたら室内に入れて管理します。その後は温室でないと温度が足らずすぐには茎が伸びてきませんが、明るい場所に置いておくことで5月頃になると茎が徐々に伸びてきて、また花をつけるようになります。

 

花を付けさせるためには植え替えも効果的

胡蝶蘭は、元気の良い株の鉢植えだと下に花芽が隠れていて、4月~5月の暖かい時期には咲いている花が終わる前にすでに新しい茎が伸びてきて、花が咲くことがあります。この時は、支柱に沿わせて止めることでしばらく花が延長して楽しめます

ただ、鉢植えの胡蝶蘭は1本ずつをビニールポットに入れて水苔で包み、鉢に入れているので2ケ月以上は花を保てたとしても実際には中が蒸れてくることで徐々に元気をなくしてきます

水苔も黒ずんできたり一部が腐ってくると水分をきちんと保つことができなくなってくるので、1本ずつに分けて植え替えすることで根の生育が良くなり次の花が咲きやすくなります。また、胡蝶蘭の植え替えは暖かい時期に行うのも長く楽しむコツのひとつ。

黒く変色した根や腐った葉っぱがあれば切り、長すぎる根は消毒したハサミでカットして1株ずつを新しい水苔で包んで別々の鉢に入れるだけ。土は使いません。また、蘭をからませる専用のヘゴの木やウッドチップの鉢などに入れた後アミで包んで吊るしてしまうやり方も、支柱も必要なく胡蝶蘭の生態にマッチしています

葉っぱに葉水をしながら日陰で2週間程度株を落ち着かせます。植え替えてからは軽く専用の肥料をやり、湿度と温度と風通しを保ちながら気長に管理していれば翌年の春には新しい茎が出てきてまた花が咲くでしょう

 

さて、縦にお行儀良くこちらを向いてずらりと連なっている胡蝶蘭の花達は、プロが胡蝶蘭の育て方を考えに考え抜いて作られた、努力の結晶。胡蝶蘭の生産者は、選挙や会社の大きな人事異動のある時は特にそれに合わせるため、開花の調整作業にものすごく神経を使うそうです。

出荷の時も花を一列ずつ専用の薄紙でふんわり包み、箱も胡蝶蘭専用の箱を使います。3本、4本立ての立派な胡蝶蘭の値段は決して安くはありませんが、これだけ手間がかかっているとそれもうなずけますね。

私たちには胡蝶蘭を次々と咲かせる技はかなりハードルが高く、簡単には真似はできません。でも胡蝶蘭の育て方のコツをつかめば、新たに茎が伸びて花を一輪、二輪つける胡蝶蘭の姿を見ることができるはず

でも、胡蝶蘭の育て方なんてろくに調べたこともなく、たまに霧吹きで水をかけていたら花がまた咲いた、なんていうことが起こるのも胡蝶蘭の面白いところなのです。『幸せが飛んでくる』と言われている胡蝶蘭。きっとその時には新たな幸せが飛んで来るのかもしれませんよ。

まとめ

胡蝶蘭の育て方を知り長く楽しむコツ

・室温15度以上で風通し良く明るい日陰に置く
・根元に水をやるのは水苔が乾ききってから、葉水は頻繁に行う
・湿度不足だと蕾が咲かないので霧吹きで湿度をキープする
・花が終わったら支柱をはずし4節残して茎をカットする
・1株ずつ新しい水苔で植え替えると生育が良くなり花芽を作りやすくなる


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