桜の種類と名前で選ぶ、関東にある桜の名所おすすめ7選!

桜は日本の美の象徴として、万葉の時代から人々に愛され歌にも詠まれてきました。和歌で「花」と出てくれば、それは桜を意味すると言われるほどです。待ちわびた春の到来を告げる花でもあり、はらはらと美しく散る様子にはかなさや散り際の美学を見る人も多いでしょう。

桜はバラ科に属し、10種の野生種と300種あまりの栽培品種があります。最も有名な桜の品種はソメイヨシノ(染井吉野)で、桜の名所とされるほとんどすべての場所で見ることができます。

江戸時代頃までは桜といえば山桜を指していましたが、明治以降はソメイヨシノが主流となりました。学校や公園の多くに植えられている桜でもあります。しかし、美しい桜はソメイヨシノだけではありません。たくさんのきれいな品種が存在しています。

今回は知っておきたい桜の品種と名前をご紹介し、その桜が見られる関東の名所をおすすめしたいと思います。春は桜前線の北上のニュースとともに、うきうきした気分になるものです。ぜひ次の桜の季節には、いつもと少し違う様々な種類の桜に心を留めてみてください。

 

桜の種類と名前で選ぶ、
関東にある桜の名所おすすめ7選!

 

 

ヤマザクラ(山桜)・磯部桜川公園

ソメイヨシノが普及する以前の日本では、ヤマザクラが主流でした。日本の桜の野生種は10種類で、ヤマザクラもそのうちの一つです。

低山地や平地に自生し、寿命が長く、20メートルにもなる高木です。特徴としては白い花と同時に若芽が展開することで知られています。白い花を付けるヤマザクラのほかに、ピンク色の上品な花を付けるオオヤマザクラなどがあります。

関東でも比較的多くの山や平地でヤマザクラを見ることができます。おすすめなのは茨城県の磯部桜川公園のヤマザクラで、4月上旬~中旬が見頃です。

 

マメザクラ(豆桜)・箱根仙石原

マメザクラも桜の野生種の一つです。富士山の周辺や箱根近辺にだけ自生する品種であることから、「富士桜」「箱根桜」などの別名を持っています。

名前は木も花も小ぶりなことに由来し、ソメイヨシノと比べても一回り小ぶりの花をつけます。小さな花をいくつも下向きに咲かせている姿が、たいへん愛らしい桜です。

箱根の仙石原湖尻自然探勝歩道から眺めるマメザクラは見事です。4月半ばごろの晴れた日、青空を背景にしたマメザクラもきれいですし、霧の中のひっそりした佇まいも趣があります。

 

シダレザクラ(枝垂桜)・奥秩父清雲寺 

シダレザクラは奈良や平安の時代から、優美な姿で人々に愛されてきました。ソメイヨシノには寿命が短いという短所があるのに対して、シダレザクラは寿命が長いという特徴があります。

天然記念物の桜や、名木と言われる桜の多くはエドヒガン系のシダレザクラです。ハクシダレ、ウスベニシダレ、ベニシダレなどの種類があります。別名を「糸桜」とも言い、ソメイヨシノより一足早く春を告げてくれます。

埼玉県奥秩父の清雲寺では、4月上旬ごろに30本ほどのシダレザクラが咲きます。中でも県の天然記念物に指定されたシダレザクラは、樹齢600年を誇っています。

 

カンザン(関山)・静峰ふるさと公園

園芸品種の総称を「里桜」と呼びますが、里桜の代表的な品種にカンザンがあります花弁が20~50枚の八重咲きで、紅紫色の花をつけます。関東でよく見られる八重桜はカンザンであることが多いです。

桜らしい色合いが好まれ、婚礼に用いられる桜湯や、あんパンの真ん中に置かれる塩漬けの桜に使われたりします。

八重桜の名所として知られている茨城県の静峰ふるさと公園には、カンザンをはじめとした約2100本の八重桜が植えられています。4月下旬の満開の頃の八重桜は圧巻です。

 

スルガダイニオイ(駿河台匂)・駿河台3丁目

桜の花はあまり匂いのしないことが多いですが、中にはいくつか香り高い種類の桜もあります。オオシマザクラ系の桜の花には、クマリンという香り成分を含むものがあり、桜独特の芳香を放ちます。匂桜の中でもクマリンを最も多く含むのがスルガダイニオイです。

江戸駿河台の一庭園にあったことから、この名前が付いています。白い一重咲きの花を咲かせます。

東京都千代田区駿河台3丁目の道灌通りには、街路樹としてスルガダイニオイの木が植えられており、4月下旬ごろに良い香りを放つ花が咲きます。

 

ウコン(鬱金)・新宿御苑

栽培品種の中には、白やピンク色以外の珍しい色のものがあります。変わった桜の花の探求は、江戸時代から始まったと言われています。ウコンは10~15弁の八重咲きの桜で、淡い黄色の花をつけます。もともとは東京の荒川堤で栽培されていました。

ショウガ科のウコンを使った染め物の色に似ているので、この名前が付けられました。

ウコンの花が見られる場所の一つに、東京都の新宿御苑があります。新宿御苑では2月のカンザクラに始まり、4月のウコンやカンザンまで約75種類もの桜を楽しむことができます。

 

ギョイコウ(御衣黄)・多摩森林科学園

ギョイコウもまた、東京の荒川堤で栽培されていた品種です。10~20弁の八重咲きで、花全体が淡い緑色をしており、ウコンよりもやや小ぶりでより緑色が濃いのが特徴です。

花弁には紅色のすじが入っており、開花時にはあまり目立ちませんが徐々に中心部から赤みが挿してきます。散る間際になると花はかなり紅色へと変わります。貴族の衣裳の萌黄色に近いところから、ギョイコウと名付けられました。

東京都八王子市の多摩森林科学園サクラ保存林では、4月中旬頃に見ることができます。サクラ保存林では約600系統、1300本の桜を収集しています。

 

いかがでしたか。

桜の種類はご紹介した品種以外にもたくさんあり、それぞれに魅力があります。ご紹介した7種類をきっかけに、様々な桜に接し、奥深い桜の美を探究していただきたいものです。

春の花の印象が強い桜ですが、秋から冬にかけて咲く品種もあり、1年中どこかで桜が咲いていると言えるほどです。

関東だけでもあちこちに桜の名所や、桜の名木があります。私たちの心を魅了してやまない桜の花をもっともっと知って、親しんでみてください。似たように見えていた桜の微妙な違いを見つけられると、きっと嬉しく感じられるはずです。

 

まとめ

桜の種類と名前で選ぶ、関東にある桜の名所おすすめ7選!

 

・ヤマザクラ(山桜)・磯部桜川公園
・マメザクラ(豆桜)・箱根仙石原
・シダレザクラ(枝垂桜)・奥秩父清雲寺
・カンザン(関山)・静峰ふるさと公園
・スルガダイニオイ(駿河台匂)・駿河台3丁目
・ウコン(鬱金)・新宿御苑
・ギョイコウ(御衣黄)・多摩森林科学園


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