ハスの花には、とても興味深い不思議な性質がたくさんあることは、良く知られていますよね。ハスはぷっくりと丸く膨らんだ蕾が開花すると、幾重にも重なった花びらが美しく、夏の暑い時期にも涼やかな風景を楽しませてくれる花。
幾何学的なようにも感じるその花びらの付け方や、水面に美しく咲く姿、また、古くから仏教と関連深いことなどからも、ハスの花にはどこか神秘的なイメージがあるのではないでしょうか。
しかしハスの花はイメージだけではなく、その生態もとても不思議で本当に神秘的な花だと聞けば、どのような「不思議」があるのか、気になりますよね。そこで今回は、そんな思わず「へぇ~!」と驚いてしまうような、ハスの花の不思議をいくつかお伝えします。
ハスの花が古くから人々に愛され、また、なぜ仏教と関連深い存在なのか、その秘密が垣間見れるかもしれません。
ハスの花の不思議☆
仏陀との関係など、知りたい豆知識
ハスの花の生命力の不思議
ハスの花は植物の歴史や進化において非常に貴重な存在。
【 ハスの花の不思議:生命力 】
★ ハスの花の歴史は非常に古く、なんと、約1億年前には誕生していたと言われています。
・ 1億年というと、地球上に恐竜が存在していたような時代ですから、驚くほど長い歴史!
その後、恐竜が絶滅してしまった時でも、ハスは生き延びたわけですから、清らかではかなげな見た目とは裏腹に、ハスは大変たくましく、とんでもない生命力を持っている植物ですね。
太古から姿を変えないハスの花
ハスの花の歴史は大変長いものですが、さらに驚くのは、太古の時代から、ハスの花の形がほとんど変わっていないということ。日本には、太古のハスの姿を現代に伝える指定天然記念物のハスの花があります。
【 ハスの花の不思議:天然記念物 】
★ 「行田蓮」というハスの花は、遥か2000年も前のハスの種が、建設工事の現場から偶然出土し、自然発芽の末に開花して現代に蘇った、ハスの古の姿を伝える大変珍しい品種。
・ この行田蓮と、現代に普通に咲いていた他のハスを見比べてみても、姿形は全く変わりません。
私たちの遠い祖先のそのまた祖先が、長い歴史の中で愛でてきたハスと、全く同じ形のハスを私たちが現代で見ているなんて、なんだかとても神秘的に感じるのではないでしょうか。
ハスの花が咲く場所の不思議
ハスの花は水辺に浮かぶように咲く、大輪の花がとても美しくて印象的な花。水辺と言っても色々ありますが、ハスの花が咲く水辺が、人々を驚かせるのです。
【 ハスの花の不思議:場所 】
★ 清らかな花の印象と同じように、清く澄んだ水の池を思い浮かべた方も多いかもしれませんが、ハスは、水の汚い泥沼のような場所でも、美しい花を咲かせます。
・ それどころか、泥水が濃ければ濃いほど、大きな花を咲かせるとも!
植物にとっては過酷な環境のように思える場所で、美しい花を咲かせるハスの花。それだけに、神秘的な花となっているのかもしれません。
仏教との強いつながり
お釈迦様の台座や、古いお寺の蓮池…。仏教には何かにつけて、ハスの花がモチーフとして使われているように、ハスの花は、仏教において、智慧や慈悲の象徴とされ、極楽浄土の花として大切にされています。
【 ハスの花の不思議:仏教との関連 】
★ これは、先程お伝えしたように、ハスの花が泥沼の中でも泥に染まることなく、きれいな花を咲かせることから…。
・ 欲だらけの世の中でも、穢れることなく清く生きることを表すとされています。
ハスの花は、仏教だけではなくヒンドゥー教でも神聖な花として扱われ、インドやベトナムの国花にもなっているのです。
ハスの花の咲き方の不思議
ハスの花はたったの4日間しか咲きません。
そして、童謡「ひらいたひらいた」の歌詞にも「開いたと思ったらいつの間にかすぼんだ」とあるように、その4日間という短い寿命の中で、さらに短いサイクルで、ハスの花は咲いたり閉じたりを繰り返します。
【 ハスの花の不思議:開花 】
・ 開花の一日目
早朝5時~6時頃に花が咲きますが、この日は半開きの状態までしか開花せず、夜にまた花は閉じてしまいます。
・ 二日目
朝の8時頃までに大きく開花し、この時が見た目も香りも最も美しいハスの開花になるのですが、正午までにはまた元の蕾に戻ってしまうのです。
・ 三日目の朝
再び花を開く時には、最も大きく開花します。そしてこの日は、蕾に戻ることなく半分くらいだけ花を閉じる姿に…。
・ 四日目
それまでと同じように早朝に花を開くのですが、この日はとうとう9時頃から徐々に花が散り始め、午後には花びらは全部散ってしまうのです。
なんのためにここまで細かく、一日の時間を把握するかのように咲いたり閉じたりするのかは分かりませんが、これもまた、ハスの花の不思議のひとつではないでしょうか。
開花の時に発熱する不思議
なんとハスの花は、開花する時に熱を発するという、大変珍しい植物。なぜ発熱するのか、確かな理由はいまだはっきりとわかっていません。
【 ハスの花の不思議:発熱 】
★ ただ、ハスの蕾の中は私たち人間の体温と同じくらいの35~36℃程で、外の温度に合わせて温度調節を行っています。
・ このように、動物の体温調節のように温度調節を行う花は他にも類をみません。
太古から咲き続けるハスには、まだまだ私たちの知らない謎がたくさん秘められているのかもしれません。
水をはじくハスの葉の不思議
ロータス効果という言葉はご存知でしょうか?ナノテクノロジーの分野でも大変注目を浴びているこのロータス効果とは、ハスの葉が水や汚れをはじいて決して濡れることがない構造のことを指しています。
【 ハスの花の不思議:ロータス効果 】
★ ハスの葉についた水は、ハスの葉の表面の構造や特性によって、丸い水滴状にして弾き、ころころと滑らせていきます。
・ その際に虫や汚れも一緒に絡め取っていくため、ハスの葉は濡れたり汚れたりしないのです。
色んな分野でこのハスの葉の構造が研究・応用され商品化されているように、ハスの葉の自然の恵みは私たちの生活にとても役立っているのです。
いかがでしたでしょうか、太古の時代から姿を変えることなく、長い歴史の中を強く生き抜きながら、人々に親しまれ続けてきたハスの花。
泥の中でも美しい花を咲かせるハスの花の不思議な生態は、いつの時代もどこの国でも人々に神々しさを感じさせ、神聖なものとして扱われてきました。
ハスのモチーフは仏教だけではなく、古代エジプトの出土品の中の装飾品からも発見され、また、日本でも万葉集や和歌で謳われるなど、その歴史の深さが感じられます。
それだけ長い歴史を持つハスの花ですが、現代でも解明されていない不思議がまだあり、研究が続けられているのです。
そんな、私たち人間の知識の枠をはるかに超えた存在だからこそ、ハスの花は神聖でその存在に人々は魅了され続けているのかもしれません。
まとめ
ハスの花の不思議な豆知識
・ハスの花は約1億年前から存在している
・太古の時代から姿がほとんど変わっていない
・過酷な泥沼の中でもキレイに花を咲かせる
・仏教で極楽浄土の象徴
・短い寿命で、開いたり閉じたりを繰りかえす
・ハスの花の蕾は発熱し温度調整を行う
・ハスの葉は水を弾き決して濡れない