盆栽の育て方と聞くと、少しだけ難しいイメージがありますよね。盆栽の育て方は、昔から様々な工夫が凝らさせてきました。盆栽とはもともと、陶磁器などの鉢に植物を栽培し、樹の姿を整えて自然の雅趣を表し、鑑賞するものです。
盆栽の文化は平安時代に唐からもたらされ、その後日本全国に浸透しました。江戸時代には多くの園芸品種とともに盆栽も人気を博しますが、明治維新以降、日々の手間がかかることから、時間的に余裕のある高齢者が嗜む趣味として認知されるようになりました。
しかし近年、国際的に盆栽が注目されるようになり、多くの盆栽が輸出されるなど、その人気が高まっています。
盆栽は日々のこまめな手間がかかります。
だからこそ、手塩にかけた盆栽が美しく樹形をしならせる姿に成長すると、喜びもひとしおです。日本で長く培ってきた園芸文化のひとつである盆栽を、あなたもお家で育ててみませんか。そこで今回は、盆栽の育て方に必要な5つのコツをお伝えします。
盆栽の育て方に
必要な5つのコツ
素材の選び方
鉢に植えてただ楽しむだけでなく、将来しっかりとした盆栽へと仕立てるなら、少しでも良い素材の樹木を選ぶのがおすすめです。
・根張りの良いもの
盆栽の育て方のうち、形の修正し易さは部位によって異なります。地上部は後からでも修正ができますが、根は柔らかく弱いので、出来上がった盆栽の根張りを直すには、素人では難しいところです。ですから初めに良い根張りの樹木を選んでください。主根をできるだけ短く切り詰めても、幹の周りに3本以上の根が四方に広がっているものが理想です。根張りの素晴らしい盆栽は、重量感と安定感のバランスのみでなく、神秘的な生命の力強さを感じさせます。
・幹の立ち上がりの良いもの
盆栽の育て方のうち幹の矯正について、幹の細い樹木ならば比較的思うように矯正できますが、親指以上の太さになると、矯正は容易には望めません。ですから樹木の立ち上がりが、素直にすっと真直に伸びているものが、手入れしやすく理想の形を表現できます。・花物、実物盆栽について
花物、実物の盆栽の育て方は、とても味わい深く楽しいものです。選び方は、必ずその花の咲いている時期に求めてください。育てたいその花が咲くのは何月頃か、また花が枝のどの位置に咲いているのかを的確に知っておかないと、花の蕾のできる時期に肥料を与えてしまうことや、花芽ができるのに枝を切ってしまう場合もあります。そうなると育て方に躓いてしまう、という残念な事態を招きますので注意してください。
水やり
盆栽の育て方のうち、一日として欠かせないものが、水やりです。水やりの仕方には、葉水といって単に葉や幹を湿らせれば良いやり方と、鉢の隅々まで水を十分に浸透させ、余った水が鉢底から流れでる程のかけ方があります。
植えこんで年数を経るにつれて、根も多くなり、用土も締まって水の浸透は遅くなります。また葉が多く茂っている場合、雨が降っても十分浸透していないことや、表面だけで水が流れてしまっていることもあります。
ですから、常に油断することなく、鉢の状態をよく観察しながら水をかけてあげることが大切です。葉水をする時期は。植え替えのあと、葉を切って樹木の呼吸が弱まった時、芽生えの時期に行います。その後は水かけを毎日、場合によっては一日に何回も行ってください。
用土と肥料
盆栽の育て方のうち、一日の水かけ量と深い関係にあるのが用土です。用土は水はけの良いものが一番大切ですが、その反面水含みも大切です。ですから盆栽では、水はけのよい砂を主体に、水含みの良い赤玉土や腐葉土などを、樹木に応じて割合を変えて使います。初めて盆栽を育てる方には、水かけが思う通りにできない場合もありますよね。
その場合には、育ちに多少の影響はでますが、用土を細かいものに変える、あるいは混ぜ込んでいる赤玉土の割合を増やすなど、工夫をすると水かけがより良くなります。また、盆栽の肥料を与える時期について、以下の3つの時期は最低必要です。
・4月になって新芽新葉の出始める時
・入梅後の根が充実する時
・9月初め〜11月頃までの幹の成長が盛んな時
肥料は油粕などの固形を主に使用しますが、花物、実物盆栽にはリン酸やカリ肥料を併用します。花の咲き終わったお礼肥えを主として与えます。花芽のできる前後1ヶ月くらいは、全く肥料が残らぬよう取り除いておかないと、花が咲かない時がありますので、注意してください。
植え替え
盆栽の育て方の中で、春に鉢の底穴から根が出ている、また盆栽が水を吸わなくなってきたら、植え替えのサインです。植え替えをしないと鉢の中に根が充満して、水の浸透ばかりでなく土中の成分の吸収も阻害されます。広葉樹や松柏などの常緑樹は、秋から早春にかけて、休眠期に入ります。
この時期に植え替えをすると、樹木の成長を阻害せずに済みます。古い鉢から抜いた盆栽は、新しい鉢の中へ細い根を、大切に四方に広げて植えてください。また竹箸を使って、土を根の間に揺すり込むように入れてゆくと、根を傷めずに植え替えができます。
針金巻
盆栽の育て方のうち、もっとも特徴的なものとして針金巻があります。針金巻とは、望み通りの樹形に整えるために、枝を針金で引っ張り固定することです。針金巻の時期は、植え替えの時と同じく、樹木の休眠期に行うとスムーズに固定できます。
例えば、樹形にもっと傾斜をつけたい、という場合、植え替えの時点で土を片側へ多めに敷いて、根の傾斜を高めにつけて植え、基点をしっかりとぐらつかないように固定し、その後垂らしたい枝を、針金で引き固定します。順序としては太い幹から細い枝へと針金を変えてください。
それによって、樹形が次第に斜めにしなってゆきます。理想の盆栽のイメージを頭に描いて、それに形を近づけてゆくのが理想です。針金外しは約半年後を目安と考えますが、幹に針金が食い込むようであれば、適時外さないと、幹に傷跡が残ってしまうので注意してください。
いかがでしたでしょうか。盆栽の育て方は、日当たりや温度湿度などといった様々な自然現象の影響を受けています。去年はこれで良かったから今年も同じで良いだろう、とは全く言い切れない所も、盆栽の育て方の大きな魅力です。
植物に対する深い理解と長い年月にわたる限りない愛情によって、盆栽は一層素晴らしいものになります。愛されて受け継がれてきた銘盆栽は、まさに盆栽に触れてきた多くの人々の愛情が形となって表れたものに等しいのです。
樹木は本当に正直で、愛情をかければ素直に成長して応えてくれます。盆栽が身近にあることで、盆栽はあなたの生活に潤いを与えてくれます。盆栽は、あなたとともに季節を渡り長い年月を過ごしてくれる、物言わぬ良きパートナーです。あなたもぜひ、世界にひとつだけの盆栽と、日本らしい風情ある暮らしを始めてみてください。
まとめ
盆栽の育て方で覚えておきたいポイントは
・盆栽を選ぶときには、根張りのよい素直に伸びた樹木を選ぶ
・水やりは日に数回、樹木のコンディションをみて丁寧に行う
・土は、水はけと水含みのバランスを考えて調合し、肥料は時期に注意して年に3回ほどあげる
・盆栽の植え替えは休眠期に、根を痛めないよう慎重に行う
・針金巻は植え替えと同時期に、ぐらつかないよう丁寧に行う