ベルガモットは、アロマテラピーを知らない人にもアールグレイティーの香りとしてお馴染みですよね。ベルガモットはリキュールなどにも使われていますしディオールやシャネルなどの香水にも使われているほどポピュラーな香り。
ベルガモットという名前のハーブ(別名モナルダ)もありますが、香料として有名なベルガモットはミカン科の常緑低木で、ハーブのベルガモットはこの香りに似ているところからついた名前なので、2つはまったくの別物。
ベルガモットはダイダイ(ビターオレンジ)とマンダリンオレンジの交雑種だという説が有力ですが、原種についてははっきりとしたことはわかっていません。果実は苦くて生食することはせず、もっぱら皮を香料として利用しています。
柑橘類の香りの中では甘さの中にも少し青っぽいフレッシュさがあり、フローラルで芳醇な香りを持つベルガモットは、アロマテラピーの精油としても様々な使い道があります。そこで今回はベルガモットの効能が見逃せない特徴についてお伝えします。
ベルガモットが心に与えてくれる効能
ベルガモットの芳香成分であるリモネン、γ-テルピネン、酢酸リナリル、リナロールなどは心を落ち着かせて穏やかにさせる鎮静作用と、リフレッシュさせて明るく前向きな気持ちへと導く高揚作用の両方を持っています。
心にたまったイライラや不満がある時には、ベルガモットをディフューザーで焚く芳香浴をしたり、精油を2~3摘垂らしたアロマバスにゆっくりとつかって深く深呼吸することで、滞ったエネルギーをスムーズに流し緊張をほぐしてくれます。勉強や仕事の疲れには、オレンジスイートやグレープフルーツ、レモンなど同じ柑橘系の香りを加えてバリエーションを付けてみるのも良い方法で集中力も高まります。
消化器・神経系に働きかけるベルガモットの香り
レモンやライムのように、口の中を爽やかにして香りと果汁が食欲を刺激したり脂っぽさを押さえてくれる柑橘類とは違って、ベルガモットを果汁や皮で直接口に入れることは味の点からおすすめできません。その代わり、抽出した香り成分の主成分のリモネンには胃や腸の動きを促進させる働きがちゃんとあるため消化不良や食欲増進に効果があります。
さらに神経系を整える作用もあるため、抗うつ作用、鎮静作用などもあります。鎮静作用で知られているラベンダーと同じく酢酸リナリル、リナロールを含み、さらに気分を高揚させリフレッシュさせる働きを持つリモネンを併せて持っているのは、柑橘系の精油の中ではベルガモットだけ。
そこから、うつ病にベルガモットが効くという説も。もちろんすべての人に当てはまるわけではないものの、香りのもたらす作用は侮ることはできないので、ベルガモットの香りが好みの場合、効果を感じられるかもしれません。
親しみのあるベルガモットの香りは妊婦さんにも有効
気分が落ち込みやすくなりがちな妊婦さんにはレモンやグレープフルーツと並んでベルガモットの香りを嗅ぐことで吐き気を抑えたり、疲れた心をほぐして不安を和らげてくれることで知られています。最近は分娩室でアロマを香らせてリラックスして出産を迎えさせてくれるところもあり、そんな時にベルガモットのブレンドを選ぶ人もいるほど。
元々柑橘系の香りが苦手だとか香りに特に敏感になっている時には注意する必要がありますが、ベルガモットで芳香浴をしたり一杯のアールグレイティーなどでリラックスする方法は試してみる価値があると言えます。
殺菌作用・抗炎症作用でスキンケアにも利用
ベルガモットの精油をキャリアオイルや精製水で0.5%濃度に希釈してローションやトリートメントオイルを作ってスキンケアに使うと、抗菌作用によりニキビ肌のケアに役立ちます。また、ひっかき傷のような小さな切り傷の回復にも使えます。
ただ、ベルガモットには肌に付いた状態で紫外線に当たると皮膚にダメージを与える、光毒性という性質があります。ベルガモットをスキンケアに用いる場合は、夜のみにするのが安心。光毒性のあるフロクマリンという成分を取除いた、ベルガモットFCF(フロクマリンフリー)という精油もあるので、そちらを使うのも良い方法。
緊張から来る痛みの緩和
ベルガモットの芳香成分である酢酸リナリルやリナロールには鎮静のほか鎮痛作用もあり、緊張やストレスなどが原因の頭痛や、筋肉痛・坐骨神経痛・胃痛などの様々な痛みを和らげてくれる効果があります。
疲れとストレスなどから肩や首が痛い時には、ベルガモットを垂らしたお湯でタオルを絞り、首筋に当てて温めることで、筋肉の緊張を和らげ痛みを軽くしてくれるでしょう。更にベルガモットの香りが持つ高い鎮静作用が神経の興奮を鎮めることで安眠の効果も期待できます。
さて、ベルガモットはラベンダー、ネロリ、レモングラス、クラリーセージ、ゼラニウムなどと相性が良く、また嫌う人が少ない香りのため色々な場面で使うことができます。
男性用のコロンなどにも含まれている香りなので、性別を問わず取り入れられるのも大きな特徴。ベルガモットは日本でも国内で需要が落ち込んでいるみかんに代わる新しい需要が期待されていて、高知県で栽培され良質な精油の抽出にも成功しています。
また緑茶の生産に押されて一時は絶滅寸前だった国産の紅茶も「べにほまれ」など質の高い紅茶が復活してきています。日本の気候に合ったベルガモットで作られた、純国産のアールグレイティーが国内に普及する日もそう遠くはありません。リラックスとリフレッシュを同時に叶えてくれるベルガモットを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ベルガモットの効能が見逃せない特徴とは
・穏やかにさせてくれる鎮静作用と明るい気持ちへ導く高揚作用がある
・消化不良や食欲増進に効果がある
・リラックス効果は妊婦の方へピッタリ
・抗菌作用はニキビケアに役立つ
・痛みを和らげる鎮静・鎮痛作用がある