チューリップは多くの人に愛されているポピュラーな花ですが、その原産地や言い伝えに関しては意外と知られていないのではないでしょうか。
チューリップと言えばオランダというイメージがありますが、生まれ故郷は中央アジアから地中海沿岸地方と言われています。オスマン朝トルコでは、宮殿やハーレムにたくさんのチューリップが植えられていたそうです。
ヨーロッパへとチューリップが渡ったのは16世紀後半です。
その愛らしい姿からオランダの人々をたちまち魅了したチューリップは、またたく間に広まってゆきます。歴史的によく知られた「チューリップ狂時代」がやって来るのです。やがて、投機の対象になったチューリップを政府が取り締まるほどの事態になっていきました。
チューリップが広まる中で、世界のあちこちにチューリップにまつわる伝説も誕生します。今回はチューリップの花言葉とともに、恋にまつわる伝説をご紹介したいと思います。ドラマチックな物語を見ていきましょう。
チューリップの花言葉が素敵☆
恋にまつわる7つの伝説
「博愛」……オランダの伝説を知ろう
オランダに語り継がれるチューリップの言い伝えです。
ある美しい娘に、3人の騎士がプロポーズします。騎士たちは娘に贈り物をして、魅力をアピールしました。一人は名声を表わす「王冠」を、一人は強さを表わす「剣」を、一人は資産を表わす「黄金」を差し出します。
心優しい娘は誰か一人を選ぶことができずに、花の女王に願い出ます。「私を花に変えてください」と。こうして娘はチューリップになりました。王冠は花に、剣は葉に、黄金は球根になったと言われています。
チューリップには「博愛」という花言葉があります。誰か一人を選べなかった娘のエピソードが思い出されます。
「魅惑」……ギリシャ神話のエピソードを知ろう
ギリシャ神話にもチューリップにまつわる話があります。
昔、ギリシャにチューリップという名前のとても美しい娘がいました。ある日、秋の神ヴェルツゥヌがチューリップに一目ぼれしてしまいます。幾度となくアタックしますが、全く受け入れてもらえませんでした。
しばらくしてヴェルツゥヌは花を摘んでいるチューリップを見つけ、再びアタックします。困り果てた娘は貞操の神アルテミスに懇願し、チューリップの花に変えてもらったのでした。
チューリップの花言葉である「魅惑」は、この神話に由来すると言われています。
「真実の愛」……トルコの伝説を知ろう
チューリップの原産地の一つとされている、トルコにまつわる物語です。
ある村にファルハドとシリンという男女がいました。ファルハドはシリンをたいへん愛していました。しかし村の井戸が枯れてしまい、井戸掘りに尽力しているうちにシリンは亡き人となっていたのです。
水を得ることはできたものの、愛する人を失ってしまったファルハドは、崖から身を投げてしまいます。ファルハドの体から散った血から、真っ赤なチューリップが咲いたと言われています。
赤いチューリップの花言葉は「真実の愛」です。赤い花色に、ファルハドの熱い想いが感じられるような気がします。
「永遠の愛」……ペルシャの伝説を知ろう
ペルシャの伝説もトルコの悲恋の物語ととてもよく似ています。
ペルシャに伝わる物語では、青年ファルハッドは美しい恋人シャーリンの死の知らせを聞きます。悲しみに打ちひしがれたファルハッドは、岩山から飛び降りて命を落としてしまいます。
ところが本当はシャーリンは生きていたのです。ファルハッドは嘘にだまされて亡くなってしまいました。その時、ファルハッドが流した血からチューリップが咲きはじめたという言い伝えがあります。
赤いチューリップには「永遠の愛」という花言葉もあります。ペルシャでは赤いチューリップをプロポーズの時に手渡すそうです。
「不滅の愛」……旧約聖書の雅歌を知ろう
旧約聖書の『雅歌』に謳われている「シャロンのばら」は、一説ではチューリップの原種のことだと言われています。
旧約聖書の中に、『わたしはシャロンのばら、野のゆり』と書かれています。『雅歌』とは聖書の中では珍しく、男女の恋が歌われています。
これはキリスト教会との関係を男女の恋愛にたとえたものと考えられています。シャロンのばらは、恋人を前に気分が高揚している恋する娘が、自分のことを花にたとえたものです。
紫色のチューリップには「不滅の愛」という花言葉があります。大人っぽい紫のチューリップで真剣な想いを届けてみてはいかがですか。
「愛の芽生え」……アンデルセン童話を知ろう
アンデルセン童話の『親指姫』は、チューリップの花から生まれた小さな少女の物語です。
あるところにチューリップの花から生まれた親指ほどの小さな女の子がいました。女の子はヒキガエルやコガネムシ、モグラなどに次々に誘拐され、結婚を迫られます。
モグラの家にいた瀕死のツバメを助け、親指姫はツバメと共に花の国に行きます。親指姫は花の国の王子様と結婚し、幸せに暮らしたと言われています。
ピンクのチューリップの花言葉は「愛の芽生え」です。ピンクのチューリップはかわいらしい親指姫を思わせる花です。
「劇的な再会」……小説『黒いチューリップ』を知ろう
フランスの小説家、アレクサンドル・デュマの小説に『黒いチューリップ』があります。
チューリップ栽培に情熱をかけるコルネリウスは、莫大な懸賞金のかかった黒いチューリップの栽培に成功します。しかし、彼の隣人ボクステルに妬まれ、陰謀によって逮捕されてしまいます。コルネリウスは牢番の娘ローザに大切な球根を託します。コルネリウスとローザが愛を深める一方、球根の行方にはらはらさせられる物語です。
黒いチューリップには「劇的な再会」という花言葉があります。ドラマティックな物語を想像させる花言葉です。
いかがでしたか。
チューリップには様々な伝説や物語があるので、花言葉とともに覚えておくと素敵です。恋にまつわるものを中心にご紹介してきましたが、それぞれにドラマチックなお話です。チューリップの花をさらに愛するきっかけにしていただければと思います。
チューリップには豊富な園芸品種があり、色や形のバリエーションが多くあります。
お好みの色のチューリップを選びあなたらしいアレンジをして、花言葉を添えて大切な人に贈ってみてください。恋心を伝えるのにぴったりの花言葉がたくさんあって、迷ってしまいそうです。
まとめ
チューリップの花言葉が素敵☆恋にまつわる7つの伝説
・「博愛」……オランダの伝説を知ろう
・「魅惑」……ギリシャ神話のエピソードを知ろう
・「真実の愛」……トルコの伝説を知ろう
・「永遠の愛」……ペルシャの伝説を知ろう
・「不滅の愛」……旧約聖書の雅歌を知ろう
・「愛の芽生え」……アンデルセン童話を知ろう
・「劇的な再会」……小説『黒いチューリップ』を知ろう