クロユリの花言葉が贈り物に向かない5つの理由


日本では美しい女性の形容を「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といいます。その百合ですが、花言葉は「威厳、純潔、無垢」。

まさに、凛としたエレガントな女性のイメージです。フランス国王の紋章や、ウェディングのブーケになるのも頷けます。百合はユリ目ユリ科ユリ属。

百合は白を基本に、赤、オレンジ、黄色など女性らしい華やかな色が咲き誇る中で、美しい漆黒の花を咲かせる黒百合は、ユリ目ユリ科バイモ属に属しています。黒百合は高山植物で、日本中部以北、高山地帯に咲いています。

また、石川県の「郷土の花」としても知られています。しかし、他の百合と違って、黒百合の花言葉は「愛、呪い、復讐」といった黒を象徴するかのような花言葉になっています。このクロユリは贈り物には向きません。その理由を5つ紹介します。

 

クロユリの花言葉が
贈り物に向かない5つの理由

 

蝦夷黒百合と深山黒百合の伝説から

日本では、クロユリは北海道と石川県の白山から青森にかけての山地に生息しています。北海道の低地に自生し、春に咲くエゾクロユリ(蝦夷黒百合)と、本州中部以北の高山に自生し、夏に咲くミヤマクロユリ(深山黒百合)の二つです。

場所により種類も分かれていて、その逸話も地方で違います。クロユリは贈り物に向かないと書きましたが、これからご紹介するのは贈り物にしていたという話で、そこにはハッピーエンドがあります。

が、小さな花一輪に大きな魔力のような力が込められている畏怖の念を覚える伝説この後の魔性の花でご紹介します。

 

魔性の花であるゆえに

アイヌ民族には、エゾクロユリにまつわる伝説があります。これは愛という花言葉に通ずるアイヌの伝説です。北海道の先住民族であるアイヌ族には愛しい人や恋する人のそばに、思いを込めたクロユリの花を名前も告げずにそっと置く習わしがありました。

相手がその花に気付いて手に取ってくれれば、たとえ贈り主が、誰だか分からないとしても思いが通じて、いつか必ずその二人は結ばれるのだとか。それほど、クロユリの花には、人を魅惑する魔性が秘められているのです。

黒はあまり良いイメージはありません、黒猫やカラスは不吉の象徴ですし、このクロユリは魔術のようです。贈り物にはもっと明るいイメージのほうが好まれるでしょう。

 

呪いの逸話から

呪いの発祥となった富山県の逸話をご紹介します。越中富山の武将、佐々成政は腰元である早百合を可愛がっていました。

他の腰元たちの妬みを買った早百合。腰元たちの早百合は従者と姦通しているという嘘により、成政に斬り殺されてしまいます。この時早百合は叫びます。

「立山に黒百合咲かば、佐々の家は滅しよう」その後、しばらくして佐々成政は、豊臣秀吉に取り入ろうと正室のねねにクロユリを贈ります。

けれども、ねねのライバルの淀君はそれより立派なクロユリを立山から取り寄せ。茶席でねねに恥をかかせます。ねねに恨まれた成政は秀吉に切腹を命じさせられ、佐々家はお家断絶してしまいます。

その後富山では不吉の花とされたのは有名ですし、贈られた方もお家断絶の花と知っていたら良い思いはしないでしょう。

 

魔物の歌より

アイヌ伝説をそのまま歌にしたのが昭和28年に発売された「黒百合の歌」。菊田一夫作詞、古関裕而作曲です、歌手は織井茂子。

菊田一夫原作の小説「君の名は」が映画化され、その第二部の映画の主題歌でもありました。第二部は北海道が舞台。そこでアイヌ伝説が主題歌となり登場します。この歌詞が呪術のようです。

黒百合は恋の花 愛する人に捧げれば二人はいつかは結びつく、この花彼にあげようか。私は彼がが大好き。黒百合は魔物 花の香りがしみついて 結んだ二人は はなれない 私が死んだら彼も死ぬ。黒百合は毒の花 アイヌの神もタブーだよ、やがて私も 死ぬんだよ。

というような歌詞です。特に年配の方はこの歌をご存知かもしれません、黒百合からすぐに歌を連想し、毒やタブーなど連想されては失礼に当たります。

 

荒涼とした映画から

映画君の名はの第二部は北海道を舞台にしています。東京大空襲下の数寄屋橋で出会った春樹と真知子が互いに名も明かさず、半年後の再会を約束して別れます。

春樹は別れ際「君の名は」と聞きましたが、真知子は名を言わず立ち去ります。真知子と春樹が再会しそうになる、会えそうで会えないところが「恋」という花言葉を感じさせはしますが、その中で様々な気持ちと男女に翻弄され、最後は、やっと再開するのですが。

雪模様の荒涼たる美幌駅で、真知子は春樹に別れを告げ。というシーンで幕を引き、ハッピーエンドにはなりません。このあたりがクロユリの呪いを感じさせる寂しい映画です。主題歌でも述べたように映画もアンハッピーなもの、贈り物にそういう連想はやめたほうが良いでしょう。

 

 

いかがでしたか。

黒が黒魔術や不吉の象徴とされるからというだけではなく、映画や言い伝え、花言葉でもあまり好まれない様子がお分かりいただけたかと思います。

クロユリは誕生花にもなってはいないのです。また、育てるのも難しく、本州型の栽培は難しいとされています。地上での活動期間が短いのも特長で、生育状況がよくわかりません。このことから言ってもクロユリはよほどのことがない限り贈り物には選ばないほうが良いでしょう。

 

まとめ

クロユリの花言葉が贈り物に向かない5つの理由

・蝦夷黒百合と深山黒百合の伝説から
・魔性の花であるゆえに
・呪いの逸話から
・魔物の歌より
・荒涼とした映画から


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