セージは肉料理に欠かせないハーブとしてお馴染みですよね。また甘い香りのチェリーセージ、紫色のアメジストセージといった観賞用セージの花もハーブガーデンの人気者。
セージは地中海沿岸原産のシソ科のハーブで、学名のSalviaはラテン語で健康・治療・救いを意味します。このことを裏づけるように、ヨーロッパにとどまらず中国やペルシャなどでも「長生きしたければ庭にセージを植えなさい」という意味のことわざが広まりました。
肉の臭み消しに役立つハーブというだけでなく、セージには古代ギリシャ・ローマ時代から薬草としての長い歴史があり民間療法に使われてきましたが、現代では抗酸化作用を持つ多機能なハーブであるということがわかっています。そこで今回はセージの効能に秘められたパワーについてお伝えします。
セージの効能に秘められた
5つのパワー
肉料理に欠かせないハーブ
ソーセージの語源がセージから来ているという話には正確な記述はないそうですが、肉料理にセージが欠かせないのは本当です。特にラム肉(羊肉)や内臓系、豚肉との相性が抜群。
下ごしらえとして生のセージの葉かドライセージを刻んで肉にすりこんでも良いし、ハンバーグや手作りソーセージなどひき肉を使った料理にも大活躍です。またセージは香りの強い野菜や、意外にも豆類との相性も良いのでスープなどに入れても美味しいもの。セージは香りがかなり強く出るので、煮込み料理などに使う場合はドライなら少量か葉を直接入れて途中取り出すなど、使いすぎないように注意しましょう。
ほてりや汗にも効果的な健康茶セージティー
セージティーは17世紀の中国からお茶が伝わるまでヨーロッパで盛んに飲まれていました。カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄を含むセージティーには血行を良くし、胃のもたれや喉の痛みなどにも効果があり、免疫力を高める働きがあります。
また、更年期のホットフラッシュをはじめとした汗の異常な分泌を抑えるのにも効果的。ただ、セージ単体のお茶は健康茶を飲みなれている人でないとちょっと薬臭くて飲みにくいかもしれません。
その場合はミントやカモミールとブレンドするか、ほうじ茶のようになじみのある日本茶に小さじ2杯程度セージティーを混ぜてみるのも良いですよ。分泌液を抑える働きがあるということは母乳の分泌も抑えてしまうので、授乳中は飲むのを避けて下さい。
強いパワーを持つクラリセージの精油
チェリーセージやアメジストセージに比べると、クラリセージの花はとっても地味。でもクラリセージの花の先端部分と葉から抽出される精油には女性なら見逃せない成分が入っています。
それは女性ホルモンのエストロゲンと科学的な構造や作用がよく似ている「スクラレオール」という、一種の植物ホルモン。女性ホルモンに似ている植物ホルモンといえばイソフラボンが有名ですが、このスクラレオールには鎮静・鎮痛作用があり、生理痛や更年期障害といった女性特有のトラブルにとても効果的です。
生理痛にはクラリセージをホホバオイルなどで薄めて腰や背中をマッサージすると、子宮を支える筋肉の緊張がほぐれ深いリラックスが得られます。精油を2、3摘垂らしたぬるいお湯での入浴も効果的。
またクラリセージの語源が「明るい」を表すラテン語の「クラルス」に由来することからもわかるように、気分の落ち込みや不安感などといったモヤモヤを解消してくれる働きもあります。
ホワイトセージの浄化作用
ホワイトセージはアメリカ・カリフォルニア州からメキシコの西海岸にかけての乾燥が激しい地域に自生していて、ネイティブアメリカンの間で儀式や祈りを捧げる時に使われていました。
その方法は乾燥させたホワイトセージに火をつけ、その煙で邪気を払い人や物、空間を浄化する「スマッシング」、つまり西洋のお香といった感じ。現代でもスマッシングはよどんだ空気を浄化して運気を上げたり、瞑想する時の集中力を高めたりするのに利用されています。
何となく気分が上がらない時など、乾燥させたホワイトセージを耐熱性の皿の上で火をつけ、炎が出てきたら消してお皿に置きます。煙に触れるすべてのものを浄化すると言われているので、パワーストーンを持っている場合はそれも煙にくぐらせるとパワーがアップするかも。
セージの効能の科学的な証明
16世紀には多くのハーブ研究家がセージが薬草として確かな効能があることを次々と発表していき、セージティーのうがいは喉の痛みや口内炎、歯肉炎などの炎症を鎮める、更年期のほてりや汗を抑えるなどさまざまな効能が認められました。
セージの成分が細かく分析されるにつれ、ロズマリン酸、タンニン、フラボノイドという多くの抗酸化物質が多く含まれていることがわかっています。現代では研究がさらに進み、セージの強い抗酸化作用はアルツハイマーをはじめとする脳の老化現象に効果を発揮する可能性も。セージの強力な抗酸化作用・抗菌作用はこれからの時代にますます注目されるに違いありません。
さて、西洋の暮らしの中では「肉を長持ちさせることができる」ハーブはとにかく神秘的で、その成分や効能が科学的に証明されるずっと昔から強大なパワーがあると信じられてきました。
セージは肉の保存料として、薬草として、親しまれてきたハーブの中でも歴史が古いため「聖母マリアがイエスを抱えてヘロデ王の追っ手から逃げていた時に、セージの花の陰に隠してくれた」などの伝説が多く伝わっています。
古代の人々の経験と知恵からヨーロッパだけでなくアジアやアメリカでも暮らしに深く結びついていた神秘のハーブ、セージ。その割には栽培も簡単だし、手に入りやすく親しみやすいハーブでもあります。生活にもっともっと取り入れたいですよね。
まとめ
セージの効能に秘められた見逃せないパワー
・豚肉をはじめ肉料理にセージは欠かせない
・セージティーには血行を良くし異常な汗を抑える働きがある
・女性ホルモンに似た植物ホルモンを持つクラリセージ
・ホワイトセージの煙には空気だけでなく人や物も浄化する力がある
・様々な抗酸化物質を含み抗菌作用と共に将来への期待が持てる