セージは育て方が簡単なハーブだと言われていますが、「○○セージ」という名前がついていても見た目がそれぞれ全く違うこともあって、どれを選んだらいいか迷いますよね。
セージはお茶や料理に葉を使うコモン(Common=一般的な)セージと、観賞用やヒーリング、アロマに利用するセージに分かれています。ただしそれはハーブの用途上での分類で、セージは広い意味ではシソ科サルビア属全体の植物を指しています。
中には姿がセージに似ているからセージを名乗っている植物もありますが、ハーブとして使用するセージは地中海沿岸が原産地。そのため、気候の違う日本ではセージの育て方で気をつけたいことがあります。そこで今回はセージの育て方で失敗しないポイントについてについてお伝えします。
用途に合ったセージを選ぶ
セージの育て方自体は変わらないものの、せっかくセージを植えるのなら用途によって種類を選びたいもの。肉料理の臭み消しやハーブティーと主に食用に使うならコモンセージで、ゴールデンセージ・トリコロールセージ・レッドセージ(パープルセージ)の名前のセージもコモンセージと同様に使えます。これらは葉を主に使う食用のセージ。
チェリーセージ、パイナップルセージ、メキシカンブッシュセージ(アメジストセージ)、メドーセージはサルビアのように穂が伸びて花をつけ、香りはありますが葉は硬く食用には適していません。花をエディブルフラワーとして添える程度で主に観賞用。
特殊なセージに葉を燃やしてスマッシングというお香のような使い方をするホワイトセージ、精油を採るためのクラリセージがありますが、これらのセージの育て方は日本の環境では難しく、あまり苗も流通してないためマニアックなセージだと言えます。またウッドセージ、ロシアンセージはセージの仲間ではなく別の植物です。
生育が旺盛なので植える場所を考える
セージの育て方で思っていたのと違った状態になりやすいのが、セージが大きくなること。特に地植えにするとセージは背が高くなり1m以上になります。片隅に植えたつもりが、周りを侵食してゆくくらい根が張り、さらに横に地下茎を伸ばして周りの植物を押しのけてしまうほど勢いがあります。
鉢やプランターなどでは根がすぐにいっぱいになるので、葉の先が黄色くなってきたら植え替えましょう。狭いスペースでのセージの育て方は、下葉を少し残した状態で葉を次々と刈り取ってゆくと株がそれほど大きくならないので、コンパクトな姿を保てます。
石灰分よりも水はけの良い土を重視
セージの原産地は地中海沿岸で、カルシウムなどを豊富に含む石灰質のアルカリ性土壌。そのためセージの育て方を調べると弱アルカリにするために土には石灰を混ぜるのはセージの育て方に大切なポイント。
しかしながら、土壌改良剤の石灰にも主にカキやホタテの貝殻から作られている有機石灰とアルカリ成分の高い苦土石灰があり、プロでも効果的なブレンドは試行錯誤ということが少なくありません。また、混ぜた石灰成分を実際にハーブがすべて吸収しているかというとそうでもなく、これは人間がサプリを飲んでもすべて吸収されないのと同じこと。
したがって、セージの育て方としてはいつでも石灰が絶対必要ではなく、なくても大丈夫です。それよりも鉢底石を使うなどで水はけを良くして、土がじめじめした状態を作らないように気を付けることのほうがポイント。
セージの最大の弱点は「蒸れ」
セージの育て方で悩む事のひとつに梅雨と真夏の高温多湿をどう乗り切るかが挙げられます。夏の猛暑や豪雨は、冬暖かく夏はカラッと涼しい気候の中で育ってきたセージには非常に苦しいもの。
セージが大きくなればなるほど、根元近くは葉や茎が密集してきます。それを放っておくと水やりや雨の後の水がその付近にたまってしまい、蒸れると株元の葉が黒ずんで枯れて根元がスカスカになってしまいます。そうならないように根元部分の葉が茎が込み入ってきたら、風通しが良くなるようにすいてあげましょう。
寄せ植えには性質の似たハーブを選ぶ
セージはハーブ料理で活躍する、生の葉を2~3種類束ねて煮込みなどに使うブーケガルニや、タイムなどと組み合わせても使えますが、良く使う他のハーブも一緒に植えてあると使いやすくて便利。
セージの寄せ植えには、同じような環境を好むローズマリー、タイム、オレガノがぴったりです。ただこの中ではローズマリーも木の一種で大きくなるので、大き目のコンテナやプランターなどに2種類程度にしておくほうが良いでしょう。
このようにセージの育て方では、日当たり・水はけ・蒸れさせないことにさえ注意すれば、放っておくと雑草のように伸びて困るほど。背が高いセージの長い花穂が揺れる様子は、ナチュラルガーデンの雰囲気が満載ですよね。
花のボリュームがあるメキシカンブッシュセージは、茎を長く切って活けたりドライフラワーにするととても綺麗ですよ。またコモンセージは葉を電子レンジなどで乾燥させ、葉をもんで粉々にするとスパイスとして使えるドライセージが作れるので、夏前には剪定と収穫を兼ねて思い切って切り取って下さい。
コモンセージは花が咲くと葉が硬くなるので、花芽が上がってきたら茎を切ると柔らかい葉を収穫出来ます。ぜひ用途の幅が広いセージを育てて、「長生きしたければ5月にセージを食べなさい」という西洋の教訓を実感してみてはいかがでしょうか。
まとめ
セージの育て方で失敗しないポイントとは
・料理やお茶、観賞用どちらに使用するかで苗を選ぶ
・地植えや大鉢で大きくするかコンパクトにするか植え場所を考える
・弱アルカリ性の土にこだわりすぎず水はけの良い土に植える
・夏に蒸れないように収穫を兼ねた剪定をする
・性質の近いローズマリー、タイム、オレガノを寄せ植えする