9月の誕生花と花言葉に関する5つのこと


9月になると、日に日に空が高く感じられますよね。9月の代表的な誕生花も、キク、コスモス、キキョウ、リンドウ、フヨウ・・・と、夏の名残がありながらもどこかに愁いを含んだ、日本の秋の気配を感じさせる花です

9月の別名は長月(ながつき)です。夜がだんだん長くなることから「夜長月(よながつき)」が変化して長月になったという説が有力ですが、確かに9月に入ると日の入りが早くなります。そしてくっきりとした月の形や、草の間から聞こえてくる秋の虫の声が一層夜を長く感じさせます。

花屋さんにもススキなどのお月見用の花、お彼岸用の花などが並び始め一気に秋のムードが漂うのも9月ならでは。そこで今回は9月の誕生花と花言葉に関することについてお伝えします

古くから日本人に寄り添ってきたキクの花

キクの花のイメージには「菊のご紋章」に代表されるような、高貴で近寄りがたいところがないでしょうか。花言葉は「高貴」「高潔」「高尚」など、やはり品格の象徴のようなちょっとお堅いもの。

また、「誠実」「真実」の花言葉を持つ、仏花として身近な白菊を思い出すかもしれませんね。菊人形、菊の品評会といったキクを芸術として愛でる文化も日本人の心に深く根付いています

でも、キクは毎年新しい品種が生まれているほど品種が多く、もっとモダンで現代的なキクもたくさんあります。幕末の日本からイギリス人がいくつかの品種を持ち帰り、それが改良されて「マム(キクの英語名)」としてスプレー咲きやピンポンマムといった明るくカラフルで親しみやすいキクが生まれました。

でもポップなデザインになっても上品さを失わないのがキクの特徴です。キクを9月の誕生花として大切な人に贈ったら、「え?これもキクなの!?」と驚かれること間違いなしですよ。

 

星形の花が縁起を引き寄せるキキョウ

つぼみが五角形の風船のような形をしているため英語ではballoon flowerと呼ばれているキキョウは、実はもっと早くから咲いていますが、秋の七草に数えられているので9月の誕生花にはふさわしい花です

桔梗という若い娘が恋人のために一生涯待ち続けたという物語にちなんで、花言葉の「永遠の愛」「誠実」がつけられました。花の色が高貴な色の紫であることから「気品」という花言葉も

はっきりした星形で五角形のキキョウの花は、武士の世界で各家の末永い存続を願うモチーフとしても使われていました。鎌倉幕府の御家人だった土岐光衝が、戦場の野に咲くキキョウの花を兜に挿して戦に勝利したことで、縁起の良い花だと他の武士もこぞって家紋にキキョウを使い始めたという話もあります。

風水でも、仕事運をアップする花でもあるキキョウ。9月は会社も夏休みを終えて決算期を迎えるため忙しくなることも多いでしょう。仕事をバリバリ頑張っている人に充実した仕事生活を願う気持ちを込めて9月の誕生花のキキョウを贈ってみてはいかがでしょうか。

 

風に揺れる姿が見たくなるコスモス

9月の誕生花で、風に揺れる魅力的な花の代表はコスモス。9月に入るとコスモスを求めて高原やコスモス畑を訪れる人が多くなります。コスモスは漢字でも秋桜と書くほど、秋にコスモスを求めたくなる気持ちは春に桜を見たいという情熱にも決して負けません。歌にも山口百恵さんの「秋桜」やMr.Childrenの「花言葉」にコスモスが出てくるように、情景の広がりが想像しやすい花でもあります。

コスモスの花言葉は繊細で清潔感のある花の姿がそう思わせてくれる「乙女の真心」。また、名前の由来となったのがギリシア語の「kosmos」で、「調和」「秩序」「宇宙」の意味を持つため「調和」の花言葉もあります。

 

秋の花束に欠かせない青い花リンドウ

9月の誕生花で印象的なのは青や紫の花が増えてくること。中でも、空の青色よりもさらに青い釣り鐘型のきれいなリンドウの花は、もともと漢方薬として日本にやってきました。その根が有名な漢方薬の熊の胆(くまのい)よりもさらに苦いことから漢字では竜胆と書きます。

現在でも漢方薬としてのリンドウは健在。解熱作用、消炎作用、抗アレルギー作用などがあります。花が咲くのは晴天の時だけで、上を向いて咲くことから花言葉は「誠実」「正義」。変わったところでは、野性のリンドウは群生せずに一本ずつぽつんと生えて花を咲かせる姿から、「淋しい愛情」「悲しんでいるあなたを愛する」というちょっと寂し気な花言葉も。

でも、青い色には鎮静作用がありますが、リンドウの深い青紫にも心を癒してくれる効果があるに違いありません。リンドウは、9月の誕生花の中でも花の時期が短く1ケ月もすると見かけなくなってしまいます。9月の誕生花としてリンドウを贈りたい時には見かけたらすぐに手に入れないとなくなってしまうのでご注意を。

 

儚い美しさが憧れを集めるフヨウ

9月の誕生花の中で、美人の例えに使われる花がフヨウです。優しいピンク色や白のフヨウはハイビスカスやムクゲと同じ仲間。花の形も良く似ています。枝分かれしてこんもりと横に広がっている姿と中心から伸びている雌しべの先がちょっと曲がっているのがフヨウの特徴。またつぼみが大きくてふっくらとしています。

フヨウの花言葉は「繊細な美」 「しとやかな恋人」。フヨウは朝に咲いて夕方にはしぼむ1日花であることから、その儚い美しさを憂いたような花言葉がつけられています。フヨウの花のように美しいしとやかな顔立ちのことを「芙蓉の顔」と呼び、昔から美しい女性の例えとして使われている花です。

フヨウの多くは一重咲きですが、「酔芙蓉」という名の八重咲のフヨウは、咲き始めは白、昼間は淡紅色、夕方には紅色へと変化することから「まるで美人がお酒を飲んでほんのりと赤くなっていくよう」とその名がつきました。楚々としたしとやかな日本女性を思わせるフヨウは、世の男性の憧れなのかもしれません。

 

以上、9月の代表的な誕生花についてお伝えしてきましたが、この中では特にキク、リンドウ、キキョウは古くは枕草子にも、草花として清少納言の好みに合っていると書かれています

他にも多くの和歌や俳句、随筆などのテーマに多く使われていたほど日本に深く根付いている花です。コスモス、フヨウも風流人や芸術家のイマジネーションをかきたてられるような情緒にあふれた花だと言えます。古典もいいけれどもっと今っぽい花が良いなという人には、ダリアもおすすめ

「華麗」「威厳」「優美」の花言葉を持つダリアはあでやかな大輪のダリアや可愛らしいポンポンダリアまで、色も形もとても豊富です。ただし、ダリアは「不安定」「裏切り」というネガティブな花言葉も持っているので、敏感な人には注意が必要かもしれません。凛としたイメージの9月の誕生花、深まってゆく秋の入口である9月生まれの人にはふさわしい誕生花ばかりですね

まとめ

9月の誕生花と花言葉のエピソード

・「高貴」「誠実」に代表される日本人の心を表すキク
・「永遠の愛」「誠実」と星形の花が縁起が良いキキョウ
・「乙女の真心」「調和」の花言葉を持つ秋の桜コスモス
・晴れた日だけ上を向いて咲くリンドウの花言葉は「誠実」「正義」
・美人に例えられるフヨウの花言葉は「繊細な美」


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