牡丹の花言葉、意味と役立つ知識


芍薬や百合と同様に美しい女性を表す花として知られている牡丹ですが、名前には「牡(オス)」が付き、牡丹の花言葉にも「王者の風格」を始めとした富や身分が高いことを意味する言葉が付けられていますから不思議に感じますよね。

実際に牡丹は原産地である中国でも身分の高い人に愛された花で「百花王」の別名もあり、美しい女性を表す花としては少し不似合いと言えます。男性的と言える牡丹の花言葉や別名には由来があるので牡丹の花が気になるなら知っておくと牡丹の新しい魅力に気付くことができますよ。

また、牡丹は「百花王」に限らず両手では数えられない程の別名を持つ花でもあり、中には牡丹の花言葉と関連のある別名もありますから併せて知っておくとより深く牡丹の花と花言葉を楽しむことができます。更に、気になる牡丹と芍薬の簡単な見分け方も覚えておきましょう。そこで今回は牡丹の花言葉、意味と役立つ知識についてお伝えします。

牡丹の花言葉とルーツとは

牡丹の花は中国が原産で、特に洛陽の牡丹は「花開花落二十日、一城之人皆若狂(花が咲いてから散るまで二十日、一城の人は皆狂うが如し)」という詩もあるほど花が大きく、艶やかだったため牡丹の季節には身分の高い人々がこぞって牡丹の花見に押し寄せたそうで、今でも洛陽では牡丹の開花時期である4月になると牡丹祭りが開催されます。

牡丹の花に「百花王(百花の王)」「花王」「花神」「富貴草」といった地位や富を感じさせる別名が数多く付けられているのは、絹のように薄い花びらが何枚も重なった牡丹の花が他の花に比べ気品があり豪華であったからで、原産地の中国で唐の時代に大流行したのも、牡丹の花言葉に「風格」や「王者の風格」という言葉が付けられたのも同様の理由。

大きさが直径10cm〜20cm以上にもなる花を咲かせる牡丹は昔、種から育てると違う色になってしまい、同じ色の花を咲かせるには接ぎ木でしか増やせなかったため同じ種を作ることが難しい「牡(オス)」の花とされ、中でも赤色である「丹(たん)」の花が美しかったため「牡丹(ムーダン)」という名が付けられ、日本に渡来してからは「ぼうたん」「ぼたん」と読み方が変化して段々と「ぼたん」の読み方が定着していきました。

赤の牡丹は日本でも好まれ、別名の「深見草」は牡丹の深い赤色の美しさを表した「深丹草(ふかにくさ)」が変化した名です。観賞用の花として高い評価を持つ牡丹ですが、元々中国では根皮を漢方薬として利用していたため、日本でも奈良時代に遣唐使である空海が持ち帰った当初は薬用植物として扱われていました。しかし花が美しい為に観賞用として栽培されるようになり現代では品種改良によって生み出されたたくさんの種類の牡丹が多くの人々に栽培されています。

 

牡丹は地位の高い人々に愛された花

牡丹の別名は数多く存在しますが、中でも有名な別名に「富貴草」や「富貴花」があり「富貴」という言葉は牡丹の花言葉の一つでもあります。「富貴」とは「裕福であり、身分や地位が高いこと」で、その昔中国で上流階級の人々に珍重された花であったことや、日本でも天皇を表す菊の御紋、豊臣秀吉の家紋であった桐紋、徳川家康の葵紋に次いで権威のある紋として用いられていたことから付けられました。

牡丹は花言葉のように「富貴」の象徴であったため身分の高い人の着物の柄に使われていた歴史もあり、現代でも牡丹の花言葉のよう富をもたらすようにと願いを込めて婚礼衣装や振り袖の柄として描かれ、縁起が良いとされる人気の柄の一つです。

 

西洋での牡丹の花言葉とは

牡丹は大きく分けて中国牡丹、日本牡丹、西洋牡丹と3つの種類があり、西洋では牡丹のことを「tree peony」と呼びます。 「tree peony」は牡丹の別名の「木芍薬」と同じ「芍薬のような木」という意味で、芍薬が枝分かれのない真っ直ぐ伸びた茎に蕾を付ける草花であることに対して枝分かれする樹木である牡丹の性質を表した名。

ですから、牡丹と芍薬の違いがわからない時は木本(樹木)性であるか草本(草花)性であるかを確認すればすぐにわかるのでぜひ性質の違いを覚えておいて下さい。この他に、牡丹はツヤのない切れ込みやギザギザのある葉で先が尖った蕾を付け、芍薬は切れ込みのないツヤのある丸い葉と丸い蕾を付けるというように、似ている花でありながらも正反対の特徴を持っています。

また、peonyと言えば芍薬を連想しますが、芍薬の英名は正しくは「chinese peony」で、西洋では牡丹と芍薬をまとめてpeonyと呼び区別されない場合があり、西洋での牡丹の花言葉も芍薬と同じ「bashfulness(恥じらい・はにかみ)」や「compassion(思いやり)」とされていて、「恥じらい」は日本でも牡丹の花言葉として付けられています。

 

牡丹の花の女性的な一面とは

牡丹は花言葉の「風格」から受ける印象や花名の由来からは男性的な花に感じられますが、ふくよかで華々しい牡丹は「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」の言葉のように美しい女性の例えとされていたり、「天下で一番の香りと国で一番美しい色」という意味と「最も美しい女性」という意味を持つ「天香国色」という別名があるため女性的な花と言えますし、実際に女性にも人気の花。

他にも、「風格」や「富貴」に次いでよく知られている「恥じらい」や「人見知り」といった牡丹の花言葉にも女性らしさが隠されていて特に西洋の牡丹の花言葉と共通の花言葉である「恥じらい」の花言葉は牡丹の花言葉の中でも女性の奥ゆかしさを感じます。何重にも柔らかな花びらが重なり閉じている蕾が少しずつ花開いていく姿は牡丹の花言葉のように花開くのを恥じらっているように見えますよね。

 

牡丹の別名と種類いろいろ

牡丹の別名は「百花王」「花王」「花神」といった中国でもよく知られている名や「富貴草」「富貴花」といった牡丹の花言葉と関係があるもの、 「深見草」「木芍薬」 「天香国色」 のように見た目から付けられたものなど色々とお伝えしましたが、この他にも牡丹の花が20日で終わってしまうことから付けられた「二十日草」や、「鎧草」「名取草」「ぼうたん草」や「忘れ草」など数多くの別名があります。

また、「富貴草」や「鎧草」「ワスレグサ」を花名とする植物が存在しますが、牡丹の別名の由来ではありません。別名ごとに印象もまるで違いますから、実際に牡丹を眺めながら別名を思い出してみるのも一つの楽しみ方ですよ。

 

さて、中国の洛陽で牡丹祭りが開催されているように日本でもお寺や公園など牡丹の名所がたくさんありますから一度訪れてみてはいかがでしょうか。丁寧に育てられた牡丹は百花王と呼ばれるに相応しい圧倒的な美しさを誇り、咲き方も様々、赤や黄色、白や紫など色とりどりの牡丹の花が咲き乱れる様は正に圧巻の一言。

食器や織物にもよく描かれる牡丹ですが、一度は百花の王と呼ばれる牡丹が花を咲かせた美しい姿そのものを観賞してみて下さいね。牡丹の栽培は難しいと言われていますが、庭植えにすると随分管理が楽になります。

庭に植え付けるスペースがあるのであれば牡丹の花言葉のように「富貴」を願ってシンボルツリーにするのもおすすめ。華やかな牡丹は昔ながらの家はもちろん、洋風な外観の家にも似合いますから、牡丹を育てるのであれば種類の豊富な牡丹の中から家にあった種類を探してみて下さい。


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