藤の花言葉…意外に怖い、知っておきたい7つの事


藤の花といえば、古くから日本の歴史とは深く関わった花で、古典や絵画にも、たくさん描かれています。松や梅などと並んで、花札にも、ホトトギスと藤の花の絵柄がありますよね。

藤の花の慎ましやかな美しさと控えめな色合いが、多くの芸術家にインスピレーションを与えてきたのも納得できます。まるで静かに雨が降り注ぐように、連なる花を垂れる藤の花ですが、着物姿の女性を連想させるようです。

藤の花房を、振袖姿の女性に例える、古い俳句などもあります。そんな女性的な優しさを表す藤の花ですが、ちょっと恐い意味合いを持つ花言葉などもあります。

そこで今日は、歴史と奥深い魅力を放つ、藤の花言葉、知っておきたい7つの事についてお伝えします。ではご覧ください。

藤の花の花言葉

女性的な藤の花ですが、花言葉にもそのような女性を浮かび上がらせる言葉が並びます。

「優しさ」「決して離れない」「恋に酔う」

とても従順な優しさの中には、情熱的な面も隠していることをうかがわせます。

「歓迎」「佳客」

佳客(かかく)という言葉は、あまり普段は使いませんが、「良いお客様」という意味になります。家の前に藤の花が垂れて咲いている様子は、まるでお客様を歓迎しているように見えます。

藤の花のお出迎えなんて、ちょっと嬉しいですよね。また、日本的な花ですので、海外のお客様を歓迎するという意味にもとれますね。

 

藤は女性 松は男性

日本では古くから、藤を女性、松を男性にたとえていたようです。その二つを対で植えることで、男女の愛を詠った、清少納言の枕草子の中にこんな句があります。

「色あひふかく、花房長く咲きたる藤の花松にかかりたる」

男性である松に、着物を着た女性がしなだれかかる様子を思って詠んだのでしょうか。とても情緒があって、しっとりとした歌です。

平安時代には、藤の花を詠んだ句がたくさん残されています。古くは万葉集の中にも詠まれており、「藤浪」という名前で呼ばれていますが、これは藤の花房のことです。

平安時代には、紫色が位の高い人が着る、高貴な色として人気だったようです。藤の花が愛されたのは、その色のせいかもしれません。

 

樹齢がなんと1000年以上

藤は、樹齢がとても長く、日本各地に何百年の樹齢の藤があります。中でも埼玉県春日部市の藤花園にある「牛島の藤」は、有名です。樹齢はなんと、1200年あまり!特別天然記念物に指定されています。

日本では最古の藤になり、根まわりは十平方メートルの大きさになります。見頃は毎年 4月下旬~ 5月上旬ですが、たくさんの花房が、壮大な紫のカーテンとなるそうです。是非一度見にいってみたいものです。

樹齢の長いところも、たくましく長生きでタフな、女性のようですね。

 

代表的な藤の花の種類

藤は日本原産のつる性の落葉低木です。藤には色々な種類がありますが、代表的なものは、ノダフジ(野田藤)とヤマフジ(山藤)があります。

ノダフジはつるが左巻きとなり、ヤマフジは右巻きになります。花が長く垂れ下がるのがノダフジで、長いものは60センチにもなります。

花は短めですが、大きな花をさかせるのがヤマフジです。花の長さは10-20センチとなります。

藤という花の名前は、花が風に吹かれるというものが変化して「藤」になったという説。茎に節(ふし)があるので、それが「藤」になったとも言われています。

 

花言葉「決して離れない」

ヤマフジのつるは太くて長く、巻きつく力がとても強いです。そばにある木やフェンスなどにしっかりと巻きついて、花のたくさんついた房を垂らします。

つるは、丈夫で20メートルもの長さになるものもあり、古くは繊維として使われ、衣料にもなっていました。

一度絡みついたら、がっちりと話さないところから、花言葉の「決して離れない」がついたのでしょう。これが、男性への想いだとしたら・・・ちょっと恐いですよね。

がっちりと掴んで、死ぬまで離しませんと言われているような気がする、花言葉です。藤の花を贈られたら、ちょっと覚悟が必要ですね。

 

藤を詠んだ歌の数々

藤の花を詠んだ俳句や短歌は、とても多く残されています。万葉集、金槐和歌集など、藤の花と当時の人々の生活の様子が鮮やかに浮かび上がってくるようです。

ある時代には、藤の色である薄紫色が、とても高貴だと言われ、位の高い人が着る色とされた時代もあります。

またその逆に、喪服の色と呼ばれ、麻布で作った喪服は「藤衣(ふじごろも)」と呼ばれ忌み嫌われた時代もありました。このことから、紫色を縁起の悪い色と今でも思う人がいるようです。

 

藤壺女御と光源氏の道ならぬ恋

藤と聞いて思い浮かんだのが、光源氏の義理の母親である「藤壺女御(ふじつぼのにょうご)」という女性です。光源氏の父親である帝の後妻である、藤壺女御ですが、光源氏との年の差は5歳ほどだったようです。亡くなった母親の面影をもつ藤壺女御に、光源氏は恋心を抱くようになります。

ですが、義母を愛してしまうなど、それは道ならぬ恋。光源氏は、藤壺女御の姪である、紫の上を自分好みの女性に育て上げて妻にします。

ですが、紫の上がいくら似ているからといえ、光源氏が本当に好きな女性は、やはり藤壺女御なのです。光源氏は、藤壺女御と密通をしてしまい、男の子が生まれます。

という、ドロドロとした三角関係の話。(本当は光源氏の父や、藤壺の姪女三宮もでてくるので、五角関係ぐらいです)藤には、こういうドロドロとした、道ならぬ恋の話もあるのです。

 

日本を代表する花ということもあって、歴史や書物も豊富にある藤の花。情緒にあふれた姿だからこそ、これだけたくさんの記述が今も残っているのでしょう。藤についての話を拾っていくと、静かで情緒溢れる優しい話もあれば、恐い話も出てきます。

古事記にも藤の話が出てくるというのですから、これだけ古くから人々が感心を寄せる花というのも、他にはないのではないでしょうか。お時間があれば、また藤についての俳句なども、じっくり読んでみてください。

まとめ

藤の花言葉いろいろ

・藤は女性 松は男性
・樹齢がなんと1000年以上
・代表的な藤の花の種類
・花言葉「決して離れない」
・藤を詠んだ歌の数々
・藤壺女御と光源氏の道ならぬ恋


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