出産をひかえた親にとって、新しく生まれてくる赤ちゃんに名前をつけるのは重要な役目です。
その子が一生呼ばれる名をつけるのですから、考え抜いた意味のある名前にしたいもの。特に女の子であれば、愛らしさや美しさを感じさせる名前が好まれます。花の名前はいつの時代にも、女の子と名前として人気があります。
花の名前を女の子につけると、それぞれの花から具体的なイメージが浮かびやすく、人に説明する時にも伝わりやすいというメリットがあります。物心ついてきたわが子に名前の由来を説明してあげる時にも、きれいな花のイメージとともに伝えることができるでしょう。この頃は読みにくいキラキラネームが話題になることがありますが、花の名前ならば読めないという心配もありません。
花は時代を問わず、可憐できれいなイメージを与えます。言葉の響きも愛らしいものが多いので、女の子の名前にはぴったりです。
今回は花の名前を使った女の子の名前をご紹介していきます。女の子の名づけの参考にしてみてください。
「桜」という名前をつけよう
日本の春を代表する花である桜は、女の子の名前としてもたいへん人気があります。
桜の花がほころぶ様子を見て、春の訪れを実感する人は多いことでしょう。淡い紅色の桜の美しさは、古くから多くの和歌に詠まれてきました。和歌の世界では「花」という語が出てくると、桜のことを意味するとも言われるほどです。
日本情緒の溢れる桜の花を、ぜひ女の子の名前としてつけてあげましょう。桜の花のようにたくさんの人に愛され、優しくて美しい人に育ってほしいという願いが込められています。
「桃」という名前をつけよう
桃の花もまた、日本の春の訪れを感じさせてくれる愛らしい花です。
女の子の節句である3月3日には、雛人形とともに桃の花が飾られます。女の子にとってゆかりの深い花です。「桃の節句」の由来は、桃の花が咲く季節であるとともに、桃がたいへん縁起のよい植物であるからです。桃には古来から魔よけの力があり、邪気を払うと信じられていました。
愛らしいだけでなく厄払いや長寿を意味する、生命力の豊かな植物と考えられています。女の子の名前としてもかわいらしくて好まれています。
「すみれ」という名前をつけよう
女の子の名前として「すみれ」も人気があります。
漢字で「菫」と表記すると古風な趣になりますし、平仮名表記にするとかわいらしい印象になります。春の野に可憐な紫色の花を咲かせるすみれは、細い茎の先に小さなラッパ状の花をつけます。松尾芭蕉の有名な句に、「山路来てなにやらゆかしすみれ草」があります。
山道にひっそり咲くすみれの花の、何とも言えない佇まいに心ひかれる様子が良く描かれている句です。すみれの美しさには、私たちの心を清らかにするような美しさがあります。
「あやめ」という名前をつけよう
あやめの仲間は世界に200種類もあるそうです。
日本に咲くあやめの仲間で代表的なものは、アヤメ、ハナショウブ、カキツバタなどです。どちらも優れていて迷ってしまうような時に、「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」と表現することがあります。
両方とも美しさに甲乙つけがたいということです。初夏を彩るあやめの美しさは、凛としたすがすがしさを感じます。女の子の名前に「あやめ」とつけてみませんか。凛としたイメージとともに「優しい心」という花言葉も持っています。
「葵」という名前をつけよう
葵はアオイ科の花の総称で、日本の花でタチアオイやフヨウ、ムクゲなどが含まれます。また南国を代表する花であるハイビスカスも、葵の仲間です。
夏に5枚の花弁を持った美しい花をつけるのが特徴です。「あおい」という名前は、葉が太陽の方に向かう性質から「仰日(あうひ)」となり、後に「あおい」に変化したのだそうです。
女の子の名前に「葵」とつけることで、美しい花のイメージだけでなく、いつも太陽の方を向く前向きな人になってほしいという願いを込めることができます。
「百合」という名前をつけよう
「百合」という名前も、女の子の名前としてきれいで好まれます。
昔から美しい女性のたとえとして「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」などと言います。百合は最も美しい花の一つとして考えられてきました。
歴史も古く、『古事記』や『日本書紀』にも記述があるほどです。茎の先端でうつむくように咲く百合の花は、たいへん優美な印象を与えます。また百合の花と言えば甘い芳香を放つことでも知られています。
すっきりした花の姿や清楚な雰囲気から、日本人好みの上品な女性を連想させる名前です。
「椿」という名前をつけよう
冬の厳しい寒さの中で真っ赤な花を咲かせる椿には、はっとするような美しさがあります。
寒い季節に咲く椿の花にけなげさを感じとる方も多いのではないでしょうか。日本が原産国の一つになっている椿には古風な趣があって、控えめな美徳を感じさせます。
また匂い椿のほのかな甘い香りも人気があります。椿は万葉集の頃から愛されており、室町時代には茶花として親しまれた花です。
女の子の名前に「椿」とつけることで、芯の強いひたむきな美しさを持った人に育ってほしいという願いを込めることができます。
花の名前を女の子の名づけに使うことで、愛らしくて清楚なイメージを持たせることができます。今回は花の名前をそのまま使う例をご紹介しましたが、名前の一部に花を用いたり、読みを花の名前にして他のイメージの良い漢字を当てたりすることもできます。
花は枯れるからとお子さんに花の名前をつけることを避ける方もいますが、むしろ美しくて縁起が良いとされる花もたくさんあります。何より、誰にでも意味がわかりやすく、花のイメージそのものがダイレクトに伝わるのでオススメです。
ぜひ、お好きな花の名前を、愛するお子さんへの最初のプレゼントにしてあげてください。