夏に咲く花は目にも色鮮やかで、汗が止まらなくなるような私たちの不快な気分を一瞬でも忘れさせてくれますよね。常にガーデニングの主役格であるペチュニアやカリブラコアは5月頃には売場に並び、秋まで花を咲かせ続けます。
それに加えてアサガオやマンデビラなど垣根や行灯のように立体的に楽しめる姿にできるもの、ケイトウやコリウスのように葉の色が美しいものなど、初夏から夏に咲く花はバラエティ豊か。一方では夏はレジャーなどで家を空けたり、暑さのあまり動きたくなくなったりと、花の世話がしたくてもできないことも起こりがち。
世話をする時の熱中症や虫刺されなども気になります。できるだけ作業時間は短く、手間のかからない方法で夏の花をたくさん楽しみたいものです。そこで今回は夏に咲く花を上手に育てる方法についてお伝えします。
暑さや直射日光に強い花を選ぶ
ホームセンターなどで「夏のガーデニングに最適」として売場に並んでいる夏に咲く花の品種は、熱帯か亜熱帯原産なのがほとんどで基本的に暑さに強く丈夫です。しかし、連日35度を超えるような猛暑が珍しくない気候では、さすがにすべての種類がいつも元気いっぱいというわけにはいきません。
そこで参考にしたいのが、周りに日差しを遮るものがなく、コンクリート製のコンテナで日中の土の温度がかなり高くなることの多い、駅前の花壇に植えられているような品種。ジニア(百日草)・サルビア・インパチェンス・マリーゴールド・ケイトウ・ペンタスは良い例です。これらは日光が大好きで、日当たりが悪いと花つきが悪くなります。
他にはポーチュラカやヒマワリも日光を好むのでおすすめです。また、手毬のような花のランタナは東南アジアで雑草扱いされるほど毎年勝手に大きくなる丈夫な花で、途中で花色が変わるので1株で違う色の花が楽しめますよ。
涼しい時間帯の水やりが理想的とはいうものの
夏に咲く花を育てる場合涼しい午前中に水をあげるのがお約束です。でも庭ならば夜間に気温が下がれば地面の温度も下がりますが、コンクリートのベランダの上は、アスファルトの道路が熱帯夜には全く冷めないのと同じく、涼しい時間帯などほとんどない状態です。
そんな中で、日なたに置かれて熱くなったじょうろにぬるま湯のような水を入れて水やりをしたら、それは根をお湯でゆがくようなもの。気温の上がりきっていない早朝に水をあげられればベストですが、無理なら水道を少し流してから水を汲むなどして水の温度を下げてからたっぷりとあげましょう。
プランターの場合はスノコなどを敷いてコンクリートから直接伝わる熱を防ぎ、朝に水やりできなかった時は外側に水をかけて冷やしてから、根元に水を注ぎましょう。通常の水やりの際、よく言われているように葉っぱに水がかかると確かに葉焼けが起こりがち。
ただし、夏に咲く花は生育が旺盛なので傷んだ葉は切ってもすぐに伸びてきますので、元気な時は花がびしょびしょにならないように注意すれば、あまり神経質にならなくても大丈夫。
手軽な日よけは植物のためにも有効
最近は夏の冷房効率を上げるためにベランダにおしゃれなオーニングやよしずなどで日陰を作ったり、エアコンの室外機にカバーをかけたりする家庭も多いですよね。ゴーヤをはじめ、夏に咲く花の代表格のアサガオなどでグリーンカーテンを作り、適度な日陰を作る方法もすっかり定着しました。
緑色で小さくふくらんだかわいらしい実をつけるフウセンカズラや、毎年青紫の大きな花が咲く宿根草の琉球アサガオなども、グリーンカーテンの素材として人気を集めています。
夏に咲く花にとってベランダが辛い環境なのは強い陽射しと室外機の熱風が最大の原因。これらを少しでも防ぐことで、時間帯によって鉢やプランターを日陰に動かしてあげれば土の温度の上昇もかなり防ぐことができます。グリーンカーテンならば緑に映えて花がきれいに見えるので一石二鳥。
虫や病気を避けるためには
夏は生活空間でも様々な虫やカビが発生しやすく困りものですが、ガーデニングの場合も風通しが悪く蒸れることが原因で虫や病気が発生しやすくなります。夜に気温や湿度が下がらない時は、夕方水やりをした時にしおれた花や枯れ葉にかかった水が原因で夜中に蒸れやすく、ナメクジやいろいろな害虫の住処になり病気を招く原因にも。
こまめに取り除き、風通しを少しでも良くしたいものです。また、病気の葉はすぐに取り除きそばに置かないこと、そして病気が広がらないように市販の防虫・病気予防のスプレーなどを使い、状態をこまめにチェックしましょう。
植え替えや挿し木などは秋までお休み
真夏のガーデニング売り場には、夏に咲く花もまだまだ売られていますが、ある程度大きくなった5号(直径15cm)サイズの大苗で3号(直径9cm)ポットの苗はあまり並んでいません。
これは、高温続きの時には幼い苗が植え替えによって細かな根が切れ、それが回復するのには適していないので、すでに大きく育った状態でそのまま飾って楽しめるようにと配慮されているからです。
真夏に植え替えをすると、傷んだ根がうまく水分を吸い上げられず乾燥して枯れるか、逆に乾燥させないように水をやりすぎて根を腐らせて枯れる可能性が高くなります。同じ理由で、挿し芽も真夏は成功しにくいため避け、植物の体力を温存することを優先。
さて、。夏に咲く花は1本でもパッと人目を引く花が多く、また、ぐったりしたとしても水を吸うことで数時間で回復できるような生命力に溢れています。ですから、できるだけのびのびとした状態でいる花を楽しみたいもの。
終わった花や虫や病気にやられて傷んだところは潔く切って、次の芽が出てくるのを待つくらいの気持ちで風通しを良くすることを心がければ、きれいな状態をより長く保つことができます。
日本の真夏は熱帯よりも厳しくなりつつあるので、植物も夏の終わり頃にはいささか疲れ気味。9月に入ってから植え替えや切り戻しをすることで生き返って、10月いっぱい頃までは花が咲くことも珍しくありません。上手に手抜きをしながら夏に咲く花を楽しんで下さいね。
まとめ
夏に咲く花を上手に育てるために気をつけたいこと
・直射日光を好む植物を選んで植え付ける
・水やりは早朝の涼しい時間帯か無理なら水の温度が上がらないよう注意する
・ベランダの日よけは植物にも効果がある
・枯れた花や葉を残して水やりすると病気や虫の原因に
・真夏の植え替えや挿し芽は根がうまく育ちにくいため避ける