ラナンキュラスは、またの名前をハナキンポウゲ(花金鳳花)と言います。春になると花びらが幾重にも重なる、ボリュームのある花を咲かせます。
色も赤・黄・白・橙・桃・紫などのカラフルなものから、緑や褐色まで豊富ですし、花の形も八重~万重咲きやカーネーション様に咲く花、花びらがカールしたものなど、非常に多様性に富んでいます。そのため、フラワーアレンジメントにおいてはとても人気のある花です。
そんなラナンキュラスには、人生においての「成功した姿」を表した花言葉がいくつかあります。そのイメージはどこから来るのでしょうか。ここでは7つの花言葉をご紹介しながら、その背景にある様々なエピソードについて、お話ししたいと思います。
ラナンキュラスの花言葉に
成功のイメージが漂う7つの理由
お姫様のドレスのような「晴れやかな魅力」
この花言葉は、ラナンキュラスの花びらの様子から来ていると言われています。その花びらは紙のように薄く、幾重にもこんもりと重なります。その形から、英語名では「バターカップ(Buttercup)」と呼ばれます。
また、花びらはシルクのドレスのような、繊細な肌触りを感じさせるものです。言われてみれば、まるでパニエでふんわりと膨らませた、お姫様のドレスのスカート部分のようにも見えますね。
このような想像が、きっとこの「晴れやかな魅力」という花言葉を生んだのでしょう。
鮮やかな色が輝く「光輝を放つ」
ラナンキュラスの花は、どれも美しい花色を帯びています。特に赤や黄、オレンジなどの暖色系の花色は、人目をひく鮮やかさを持っています。その理由はやはり重なる花びらにあるかもしれません。
先に挙げたように、ラナンキュラスはいくつもの花びらが重なって咲く花です。小学校などで、何かの行事のために薄い色紙を使って「くす玉用の花」を作られた方もいらっしゃると思いますが、あの紙の花も、1枚の「ただの紙」の時よりも折り重なることで、色が鮮やかになったり陰影がついたりするものです。
そしてラナンキュラスが咲くのは3~4月にかけて。春の陽の光を浴びて、一層輝くように見えるのでしょうね。
王様にも愛された「名声・名誉」
ここで、ひとつのエピソードをご紹介します。ラナンキュラスは、西アジア~ヨーロッパ東南部及び地中海沿岸の原産です。もともとは湿地に生える花でしたが、これをヨーロッパにもたらしたのが、フランス王ルイ9世(1214~1270)と言われています。
ルイ9世は、十字軍に加わっていましたが、帰国の際に花好きな母のため、ラナンキュラスを持ち帰りました。この母とはブランシュ・ド・カスティーユ(1188~1252)。
1226年にルイ9世が12歳で即位してから、摂政として長きに渡り、フランスの政治に影響を与えた人物です。その後、ラナンキュラスは改良を加えられ、様々な園芸品種が作られるようになりました。
王に見出され、その母に捧げられたというエピソードを持つラナンキュラス。花にとっても、とても名誉なことだったでしょう。
ある青年の物語から「美しい人格」
多くの花言葉は伝説に基づくことが多いものですが、ラナンキュラスにも伝説があります。
青年ラナンキュラスと美青年ピグマリオンは、固い友情で結ばれていました。ある時二人は山で道に迷い、山の村娘・コリンヌに出会います。帰れなくなった二人は、コリンヌに一夜の宿を乞いました。
コリンヌはとても美しい娘で、ラナンキュラスもピグマリオンも、たちまち彼女に恋をしてしまいました。そしてコリンヌは、ピグマリオンに魅かれたのです。ラナンキュラスは何も言うことなく、心からコリンヌとピグマリオンを祝福しました。
その後、ラナンキュラスは失意のままシシリー島に渡り、短い一生を終えてしまいます。ピグマリオンが彼を探し、ようやく島に彼を訪ねた時は、彼がこの世を去った後でした。そのラナンキュラスの墓のそばに一輪咲いていたのが、後に「ラナンキュラス」と呼ばれるようになった花でした。
このお話は「成功」のイメージからは少し離れるかもしれません。しかしラナンキュラスの悲しくも美しい物語は、このお話と共に人々の心を打ち続けます。何よりもその名がそのまま花の名前になったのは、永遠の命を与えられたことにも等しいのではないでしょうか。
花の咲き誇る風貌そのもの「お祝い」
この花言葉も、おそらく花の咲き誇る様子に由来するのではないかと思われます。
お祝いの花として、まず最初にイメージされる花はバラが多いのではないかと思われますが、ラナンキュラスはバラに負けないくらい、花にボリュームを持っています。大輪の種では、なん花の直径が15cmになるものもあるのです!
また、ラナンキュラスの「花色別の花言葉」も、お祝いに向いているものばかりです。
例えば、赤は「あなたは魅力に満ちる」、白は「純潔」、紫は「幸福」です。特に白は、花のもつ魅力も花言葉も、結婚式にまつわるフラワーアレンジにぴったりですね!最近、花嫁のブーケやテーブルフラワーとして人気なのも頷けます。
花の咲き方に由来する「大家族」
この花言葉は、ちょっとユニークですね。おそらくこの言葉は、ラナンキュラスの「花の付け方」に由来するのではないかと思われます。
ラナンキュラスは種ではなく、球根から育つ花です。1個の球根からは少ないもので5本程度、多いものでは20本以上の花茎をつけ、1本の花茎からは数輪の花が咲きます。つまり、1個の球根から多くの華やかな花が咲くのです。
大家族→多産は、古来から幸福やおめでたいことの象徴でもあります。ラナンキュラスのような目をひく花でしたら、そのおめでたい雰囲気もますます高まると言うものでしょう。
人々の憧れを体現「魅力ある金持ち」
この言葉こそ、人間にとって最もわかりやすい「成功例」ではないでしょうか。
「魅力ある金持ち」は、ラナンキュラスのもつ様々な側面を語っているように思います。幾重にも重なる花びらは「豊かさ」を想像させ、春の光のもとで花を咲かせる様子はとても「魅力的」です。
ひとつの球根からたくさんの花をつける様も「富」を連想させるものですね。
何より「魅力ある金持ち」は、人々がどこか憧れるような要素が必要です。それは「名誉」だったり「美しい人格」なのかもしれませんね。
ラナンキュラスの花言葉のお話はいかがでしたか。
ちなみに「ラナンキュラス」は、葉の形がカエルの足に似ているので、ラテン語でカエルを指す「ラナ(rana)」が語源になっていると言われます(一説には、もともとカエルが住むような湿地に自生していたから、というお話もあります)。
カエルは子どもをたくさん産むので「子孫繁栄」の象徴、そして「福帰る」という語呂に通じることから、とても縁起のいい生き物なのです…と言ったら出来すぎなお話になってしまうでしょうか。
本当の成功は富に恵まれながらも家族にも囲まれた、魅力ある人格の持ち主のことを言うのかもしれません。ラナンキュラスの花言葉そのものですね。様々な「成功」に繋がる要素を持つラナンキュラスの花に、もっと注目してみませんか?
まとめ
ラナンキュラスの花言葉に成功のイメージが漂う7つの理由
・お姫様のドレスのような「晴れやかな魅力」
・鮮やかな色が輝く「光輝を放つ」
・王様にも愛された「名声・名誉」
・ある青年の物語から「美しい人格」
・花の咲き誇る風貌そのもの「お祝い」
・花の咲き方に由来する「大家族」
・人々の憧れを体現「魅力ある金持ち」