ポインセチアと言えばクリスマスをイメージする方が多いですよね。ポインセチアの育て方はちょっと特殊で、手間をかければかけただけ美しくなる植物なのですがデリケートな面もあり、植物を育てたことがある方でもポインセチアの育て方は難しいと考える方も多くいらっしゃいます。
ポインセチアは冬に出回るため冬の植物をイメージする方も多いですが、実はメキシコ原産の温暖地域に自生する植物。和名を「猩々木(しょうじょうぼく)」と言います。猩々とは能の世界で「赤いもの」を指す言葉ですので、ポインセチアの赤色を表しています。
そこで今回はポインセチアの育て方を知り長く楽しむ5つのコツや美しい赤色を発色させるためのポイントをお伝えします。
ポインセチアの育て方を
知り長く楽しむ5つのコツ
生育適温は20℃~30℃!
メキシコ原産の植物であることは先ほどお伝えしましたが、旺盛に生育するのは20℃から30℃と、日本でいえば晩春~夏の頃の気温が必要。ポインセチアの育て方で失敗してしまう理由の1つがこの温度管理。
温かい室温が必要だからといって、冷暖房の風を直風で当てないようにしましょう。実は冷暖房の風はポインセチアの葉っぱの水分をアッという間に奪ってしまうほど乾いていて、その乾き具合は「1日も経たないうちに葉っぱがカリカリに干からびて落ちてしまう」ほどの威力。
室温が10℃を下回ると葉っぱが傷んで落ちはじめます。そして5℃以下になると生育できなくなり、0℃で完全に立ち枯れ状態に。温かい場所でも霜にあたると枯れてしまいますので、なるべく1日のうちでも気温変動が少ない室内の場所、冷気が来る窓やドアから遠いところ置いてあげてください。
水と肥料は生育期だけ
ポインセチアの育て方で冬場に失敗してしまう要因の1つが「水遣り」。冬になると水を吸い上げる力が弱くなるポインセチアは、鉢土の中に水分が残ったままで気温が下がると根腐れを起こして死んでしまいます。
当然、肥料などの栄養分も吸い上げられなくなるので土の養分や水分は寒くなる前に早めに少なくしておくのがベター。生育が活発になる5月~8月は、薄めた液肥を1か月に1回。水遣りは土の乾き具合を見て2~3日に1回程度、たっぷり与えるように。
気温が低くなる8月~10月は液肥ではなく固形肥料など緩効性のものを1か月に2回程度。10月以降の寒い時期は肥料は与えず、水も鉢底の土が乾いたのを確認して少量だけにしてください。水をあげる際は葉を手で寄せ、なるべく根元あるいは土だけに水が届くようにし、葉っぱにかからないようにしてあげることもお忘れなく。
太陽光はたっぷりと
花芽が付く前の生育期は特にたっぷりと日差しが必要になります。ポインセチアの花芽は枝先に出来ますので、たくさんの枝が茂っているほど花が多くなる傾向が。そのためには剪定しながら沢山の枝を出すことが必要。
5月~7月の生育期には戸外で「日差しがたっぷり当たる日向」においてあげましょう。日差しが強くなる7月中旬~9月中旬頃は直射日光で葉っぱが傷んでしまうため、「戸外の明るい日陰」に。10月~4月は屋内に取り込み、日当たりの良い場所に置いてください。
ポインセチアの育て方で気を付けなくてはいけないのが「盛夏の間は日向に置かない」こと。葉っぱが傷むことはお伝えしましたが、もうひとつ、「芽とび」という現象を起こすことがあるからです。
「芽とび」とは夏に脇芽が成長しなくなる現象で、暑すぎる場所に置くことで発生。春先4月~5月ごろに植え替えをする際、枝の剪定をして枝込みを調節することである程度防ぐことが可能ですので、なるべく剪定して若い枝が伸びやすくしておきましょう。
ポインセチアに触れるときは『必ず』手袋をはめて
ポインセチアの育て方で絶対に守ってほしいのが、ポインセチアに触れるときは「必ず手袋をはめて」作業すること。水やりでちょっと触れる程度であれば問題はありませんが、強めに触れると葉っぱや枝が折れ、白い汁が染み出します。
洋服の裾が当たるだけでも傷がついたり折れたりしますので、置き場所には注意してください。白い汁はポインセチアが自分の傷口をふさぐために出す液体なのですが、この汁が問題を引き起こす元。
実はポインセチアの白い汁に含まれるファルボールという成分には毒性があり、過去にはペットや子供が舐めて重体になった例があります。また、大人でも汁が皮膚につくとただれたりかぶれたりしますので、万が一にも触ってしまわないよう、手袋をはめて作業するようにしてくださいね。
ポインセチアを赤くするには日照の調整を
最後に、ポインセチアの育て方で一番手間がかかるといわれる「短日処理」について。短日処理とは簡単に言うと「光が当たる時間を強制的に短くすること」。
ポインセチアの花というのは赤い葉っぱの中心(先端)にある黄色っぽく丸い部分。周囲の赤い葉っぱは「苞(ほう)」と呼ばれる部分で花ではなく葉っぱ。そして、この「苞」が色付いて初めて花が咲く準備が整うしくみなのです。
苞が色付く条件は『12時間以上暗い状態が2ヶ月以上続くこと』。苞が完全に色づくまで続けますが、1日でも処理を忘れると色付かないほど繊細な作業です。
一般的には17時ころから翌朝8時位まで段ボールをかぶせて暗くして。この段ボールも、隙間を完全にふさいで真っ暗闇にしないと苞が色付かないので、必ず自分が覗いてみて、明かりが漏れないことを確認してからポインセチアにかぶせましょう。
いかがでしたか。ポインセチアの育て方のコツについてお伝えしてきました。一番手間のかかる短日処理は、完全に真っ暗な状態が維持できるのであれば段ボールをかぶせなくても色づきますがやはり市販されているポインセチアのように濃い赤色にはなりませんので、美しさという点では少し劣ってしまうでしょう。
ポインセチアの育て方を読んでみたけど、やっぱり心配という方は、(冬の寒さで枯れてしまうので)勿体無いですがひと冬だけの使い捨てと割り切ってクリスマス時期だけ楽しむという考え方に切り替えるのもおすすめです。
最近ではポインセチアにも様々な品種が生まれていて、サンデリアナ系と呼ばれる品種は比較的寒さに強いと人気が出てきました。ぜひ来年のクリスマスは「今年から育てたMyポインセチア」でクリスマスを迎えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ポインセチアを冬越しさせるには
・生育適温は20℃~30℃を保つ
・生育期以外は水も肥料も控える
・太陽光はたっぷりと当てる
・触れるときは『必ず』手袋をはめる
・赤く色付かせるには日照の調整をする