実りの秋が終わり、冬が到来すると、花の季節もしばしお休みといった雰囲気になりますね。しかし、寒い中でも花を咲かせ、私たちの目を楽しませてくれる花々があります。
ここでは、女性におすすめする冬の花々を、ストーリーと共にご紹介します。フラワーショップに足を運ばずとも、通勤途中やショッピング中、また散歩中に出会える花もあります。寒空に元気に咲く花々は、きっとあなたの心に温かさやパワーを与えてくれることでしょう。
冬の花といえば?
冬に咲く女性おススメの花々7選
クリスマスといえばこの花「ポインセチア」
この花が街を彩り始めると、クリスマスが待ち遠しくなりますね。ポインセチアは、明治時代の中期に日本に入ってきました。特徴的な「赤い花」の花びらに見える部分は、実は苞葉と呼ばれる花を守るための葉で、茎の先にある粒状の白い部分が花です。
原産国はメキシコで、現地では「ノーチェ・ブエナ(聖夜)」と呼ばれています。これはポインセチアの苞葉の赤が「キリストの流した血」に例えられることによると伝えられています。
また、常緑の葉も「永遠の命・愛」、白い樹液は「純潔」と、それぞれのクリスマスカラーに例えられています。まさに、クリスマスにふさわしい植物と言えます。しかし実際は熱帯性の植物であり、0℃を下回るところに放置すると、苞葉が落ちることがあるので注意が必要です。
冬の鉢植えの代表格「シクラメン」
シクラメンも冬の花としてはたいへん有名ですね。この植物はサクラソウ科シクラメン属に属する多年草です。原産は地中海地方で、属名でもある「シクラメン(Cyclamen)」は、ギリシア語で「らせん」を表す「キクロス(Kiklos)」が基になっています。これは、受粉後に茎がらせん状に丸まることにちなんでいます。
そのシクラメンには、こんな伝説があります。古代イスラエルの王、ソロモン王は草花を愛していました。ある時、王は王冠に花のデザインを用いようとし、花々と交渉をしましたが、ことごとく断られてしまいました。その中で唯一承諾したのがシクラメン。王がシクラメンに感謝の意を表すと、シクラメンは恥ずかしさと嬉しさでうつむき、今の花の形になりました。
その影響か、シクラメン全般の花言葉は「遠慮」「気おくれ」「内気」「はにかみ」など。何とも愛らしいお話です。
早春に咲く花「フクジュソウ」
フクジュソウ(福寿草)は、北海道から九州にかけて分布している植物で、主に山林の落葉樹の下で育ちます。江戸時代から人々に愛され、多数の園芸品種が作られました。
この花は早春にいち早く咲く花なので「元日草(ガンジツソウ)」や「朔日草(サクジツソウ)」という呼び方もあります。しかしこれは旧暦のお正月のことを指し、現在の太陽暦のお正月頃に咲く訳ではありません。にも拘わらず、年の瀬にこの花の鉢植えが売り出されるのは、促成栽培によるものなのです。
主に黄色のかわいらしい花をつけますが、近年は乱獲により数を減らしつつあります。いつまでもこの花を愛でることが出来るよう、みんなで護っていきたい花ですね。
奥ゆかしく美しい「ウメ」
その昔、お花見といえばサクラではなく、ウメ(梅)の花を愛でることでした。今でもウメが咲く季節になると、日本各地からウメの名所の開花状況のニュースが届きますね。すっかり和花としてのイメージが強くなっていますが、原産は中国。日本では万葉集が編纂されたころに白梅が、平安時代には紅梅が大流行しました。
花はサクラと比べると地味な印象がありますが、独特の良い香りがします。この香りは50種ほどの香りの成分で構成され、主な成分である「ベンズアルデヒド」には鎮静効果や痛みを軽減する効果があります。残念ながら、アロマテラピーに用いる精油(エッセンシャルオイル)の抽出は現在のところ実現していませんが、生花の香りでゆったりとリラックスが出来そうですね。
甘い香りと黄色い花が印象的な「ロウバイ」
ロウバイ(蝋梅)はロウバイ科ロウバイ属の落葉低木。「梅」の字がつきますが、ウメは「バラ科サクラ属」であり、全く違う種の植物です。1月から2月にかけて、ロウ細工のような黄色い花をつけます。これが花の名の基になったという説と、陰暦12月(蝋月)に咲く梅に似た花、なので「蝋梅」になったという説があります。こちらも原産は中国のため「唐梅(カラウメ)」や「南京梅(ナンキンウメ)」といった別名もあります。
黄色い花は青空に映えて美しいものですが、もうひとつの大きな特徴は甘い香り。その香りには鎮静作用や精神安定作用があると言われています。そんなロウバイの英名は「ウインター・スイート」。ロウバイの香りはどんなに寒くても、春が近いことを知らせる香りと言えるのかもしれませんね。
冬枯れの大地でも花を咲かせる「クリスマスローズ」
「クリスマスローズ」は正式には「ヘレボルス」と言います。キンポウゲ科クリスマスローズ属に分類される植物のうち、イギリスのクリスマスの頃に開花する「ヘレボルス・ニゲル」という種のみが「クリスマスローズ」を指していましたが、日本においてはその他の「ヘレボルス・オリエンタリス」なども含めて「クリスマスローズ」と称するようになりました。ですから、クリスマスの時期にはまだあまりお目にかかれないのです。
この花々の別名は「雪おこし」。寒さに強く、冬枯れの荒涼とした大地からでも、蕾を持ち上げて花を咲かせることにちなみます。この花はイギリスではバラに次いで、ガーデニングにおいて人気のある花です。上品なイメージと、比較的育てやすい花であることが、人々に支持される理由でしょう。
春を告げる花「スイセン」
スイセン(水仙)の原産は主に地中海沿岸です。ギリシャ神話においては、呪いにより水面に映る自らの姿に恋焦がれた美少年ナルキッソスが、ついに憔悴しきって命を落とした後、水面に向かいうつむいて咲くこの花となった、というお話が有名です。この神話の「ナルキッソス」は「ナルシスト」の語源となりました。そのこともあり、西洋においてのスイセン全般の花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」「報われぬ恋」など、あまりよくありません。
しかし、中国においては違います。スイセンという名前は、中国語の花名「水仙」を音読みしたものですが、この語源は、「仙人は天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」が由来となっています。
日本におけるニホンズイセンは、室町時代以前に中国を経由して渡来したと言われています。
自らを愛し抜いた美少年と仙人。あなたはどちらのストーリーが、この花に合っていると思いますか?
いかがでしょうか。他にもこの時期には、パンジーやビオラなどが、明るい色の花をつけながら冬を越します。また、春に向かってまだ堅い蕾を準備する花々(サクラなど)、葉をぴったりと地面につけて、少しでも寒さから身を守ろうとする草花の姿(タンポポなど)を見ることが出来るのもこの時期。
冬至を過ぎて日が延びてくると、ヒヤシンスやムスカリ、チューリップなども次々と発芽します。暖かくなることは誰にとっても待ち遠しいことですが、この季節ならではの花々の姿を、ぜひお楽しみくださいね。
まとめ
冬の花といえば?冬に咲く女性おススメの花々7選
・クリスマスといえばこの花「ポインセチア」
・冬の鉢植えの代表格「シクラメン」
・早春に咲く花「フクジュソウ」
・奥ゆかしく美しい「ウメ」
・甘い香りと黄色い花が印象的な「ロウバイ」
・冬枯れの大地でも花を咲かせる「クリスマスローズ」
・春を告げる花「スイセン」