カモミールティーが注目されている5つの理由


カモミールティーはカフェのメニューでもハーブティーの中には必ず入っている、定番のハーブティーですよね。キク科のハーブであるカモミールから作られるカモミールティーは、ハーブティーとしてすっかりおなじみですが、特に、小菊のような可愛らしい花がひとつふたつカップに浮いていたりすると、とても優雅な飲み物を飲んでいるような気分にさせられるものです。

スーッとした香りを持つものが多いハーブの中では珍しく、フルーティーなリンゴを思わせる甘い香りのカモミールはヨーロッパで古くから薬草として親しまれ、ピーターラビットの童話にも「お腹を壊したピーターにお母さんウサギがカモミールティーを作ってあげる」シーンがあるほどです。

このように生活の知恵として薬のように用いられていたカモミールティーは、研究によってその成分にさまざまな効能があることがわかってきました。そこで今回はカモミールティーが注目されている理由についてお伝えします

炎症を抑えるカモミールティー

通常ハーブティーとして私たちがよく飲んでいるリンゴのような香りのティーは、ジャーマンカモミールの花を乾燥させたものです。このジャーマンカモミールには「カマズレン」という成分が多く含まれていて、優れた抗炎症作用を持っています。うがい薬や喉スプレーなどには「アズレン」という成分が含まれていていますがこれはカマズレンに由来しています。

カモミールティーはそのため風邪の引き始めに効果的で、炎症を鎮めて喉の痛みを和らげ、身体が温まり発汗を促します。特にハチミツを入れて飲むとハチミツの抗炎症作用も加わるので、さらに効果がアップします。

風邪は安静にして休むのが一番の薬ですから、仕事や勉強、家事を一旦忘れてぐっすり眠ることが何より。カモミールティーを飲んで早いうちに汗をかいて着替えて良く眠ることで、初期の風邪なら撃退できてしまいます

 

包み込まれるような癒しを与えてくれる

カモミールはヨーロッパでは古くからヒステリーや神経症の薬としても用いられてきた歴史があり、 今でも病気療養中の患者さんのための夜のお茶として、病院でカモミールティーを配っているところがある程です。

カモミールに含まれるα-ビサボロール、アピゲニンは神経の興奮の伝達をコントロールする働きがあるため、イライラした時や気分が優れない時にカモミールティーを飲むことで、ふんわりと優しい香りが緊張を解き、神経を鎮めリラックスさせてくれます

持ちが落ち着かず眠れない時には、ミルクを入れたカモミールティーもおすすめ。牛乳に含まれるトリプトファンも神経を落ち着かせるので、相乗効果で良い眠りを促してくれます。カモミールのリンゴのような香りはミルクととても相性が良いので、ハーブティーを飲みつけない人でもアップルミルクティーのような感覚で飲むことができます。

 

胃腸の調子を整えるカモミールティー

カモミールティーはまずその香りが身体の緊張を和らげるのですが、カモミールに含まれるアピゲニンには痙攣を鎮める作用があり、そのため胃痙攣、ストレス性の下痢などを解消する働きがあります。

胃腸はストレスを最初に感じやすい臓器ですから、神経の興奮を鎮めることはとても重要になってきます。抗炎症作用のあるカマズレンも胃腸の粘膜の修復や再生に一役買っていて、そこへ身体を温める効果があるおかげで胃腸の様々な不快な症状を抑えてくれるのです。

 

女性特有の不快症状や病気への効果の期待が高まる

女性の不調は冷えから来る血行不良から来るものが非常に多いものですが、カモミールティーで身体を温めることでかなり緩和されます。そこへ、筋肉の痙攣を抑えるアピゲニンが加わることで子宮の強い収縮による生理痛の改善、イライラや冷えのぼせ、偏頭痛などの更年期症状の緩和にも役立ちます。

さらに、女性にとって特筆すべきなのはアピゲニンが乳がん細胞の増殖を遮断して、体内に広がるのを防ぐ働きがあるとの研究結果も発表されていることです。ガン予防や治療にこの成分がサプリメントとしても注目されていることからも、カモミールティーは女性の味方になってくれる頼もしいハーブティーであるといえます。

 

老化の大敵「糖化」を阻害する働き

活性酸素が細胞を傷付ける「酸化」が様々な病気の大きな原因の一つであるということが、世の中に広く浸透してきましたが、最近では、体内で「酸化」の状態になる前に、「糖化」という状態が発生し、様々な病気に繋がる危険があるとして、大きな注目を浴びています。

糖化は食べ物に含まれている「糖」が血管内に多い状況が長く続くと、細胞のタンパク質と結合して焦げのような物質「AGEs」を発生させ、その蓄積が様々なトラブルや重大な病気にも繋がると言いますが、現代の人間にとってはこれを避けるのはとても難しい状況です

美容・アンチエイジングの分野でもこの糖化を抑える成分の化粧品の開発には非常に力が入れられていますが、カモミールに含まれている「カマメロサイド」という物質に、強い抗糖化作用があることがわかりました

老化は細胞が炎症によって傷つくことからも引き起こされるため、カモミールの抗炎症作用との相乗効果も得るためにカモミールティーを取り入れることは非常に理にかなっています。今後はさらに研究が進み、カモミールティーの薬効が化学的に検証されていくことには大いに期待が持てるところです。

 

さて、ヨーロッパは植物の力を活用した自然療法が盛んですが、特にドイツではちょっとした身体の不調ならカモミールティーを飲むことが普通で、家庭の常備薬のように扱われています。薬草扱いなので味は良いに越したことはないといった認識です。

日本にハーブティーが入ってきた頃は一般に、ちょっとおしゃれなノンカフェインのお茶程度の認識でしたので、カモミールティーにも独特の乾燥による埃っぽさのような香りと味を好きになれないという方もたくさんいます。

また、カモミールはキク科のため、同じ科のブタクサやヨモギにアレルギーがある方は避けたほうが良く、妊婦の方も医師に相談されてから飲むことをおすすめします。カモミールティーを安心して美味しく飲むためにはまず、信頼できるメーカーのカモミールティーを選ぶこと、次に他のハーブとブレンドすることでずいぶん飲みやすくなります。

柑橘系の香りのレモングラスやレモンバーム、清涼感のあるミントとはとても相性がいい組み合わせです。リンゴジュースやリンゴジャムと合わせても香りが同じなので違和感が減ります。

夏場はオレンジジュースと合わせたアイスカモミールティーもおすすめ。氷を入れたグラスにオレンジジュース70%、濃く作ったカモミールティー30%を注ぎよく混ぜると、オレンジジュースの酸味でカモミールティーのクセが消え美味しく飲めます。今までは心に優しいハーブティーの印象が強かったカモミールティー。身体にも良い影響を及ぼすとなると、ますます放っておけないハーブティーですよ。

まとめ

カモミールティーの注目されている代表的な効能

・初期の風邪に喉の痛みを取り身体を温めるカモミールティーが効果的
・神経の興奮を鎮めリラックスさせてくれるのでぐっすりよく眠れる
・痙攣を抑える働きにより神経の過緊張から来る胃腸トラブルを解消する
・女性特有の不快症状に高い効果があり、がん予防も期待できる
・病気や老化を引き起こす「糖化」を抑える成分がある


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