それぞれの季節には、それぞれの美しい花が咲きます。季節を代表するような花や、ひっそりと可憐に咲く花、心を和ませてくれる花など、その美しさも多種多様です。そんな花の名前を、生まれてくる赤ちゃんの名付けに取り入れてみませんか?
花の名前はその昔から名前として愛されてきました。人々の身近に寄り添う花々は、さくらやすみれなど、それぞれに人間と同じように、印象があります。将来自分の子どもに、こんな人になって欲しいという願いを込めて、イメージに見合った花の名前を名付ける両親は多いです。
ただし花の名前を子どもに付ける時に、気をつけたい事が、花言葉やその花にまつわる言い伝えや伝説の数々です。その花姿に可愛く名付けたら、「花の名前を付けてから、人に言われて気付いた!」と言う体験談も少なくありません。
そこで本記事では、名付けにおすすめの花の名前を、7つご提案します。どれもが古くから人々に愛され、親しまれてきました。もちろん縁起の良い花や、花言葉の面からみても申し分のない花、そして花の名前自体が語感的にも良い花を選んであります。
もしも名付けに迷ったら、赤ちゃんの名前にも使える、素敵な7つの花々を参考にしてみてください。
花の名前で可愛く名付け☆
季節のおすすめの7つの花々
春の花① 可愛らしい印象の桃(もも)
桃は3月上旬から4月上旬頃、枝にまさに桃色の花をたくさん咲かせます。雛祭りを彩る花として有名ですね。花を楽しむ桃は、園芸種の「ハナモモ」という種類の植物です。
【桃にまつわる言い伝え】
★ 古来から桃は「邪気を払い、生命力を与える植物」とされてきました。
中国では不老長寿の力があると言われ、慶事には桃の実をかたどった「桃饅頭」を食べる習慣があります。
また、日本でも魔除けの力があると言われ、このことから雛祭りに飾られるようになりました。雛祭りの桃の花、女の子に付けたい花の名前におすすめですね。
【桃の花言葉】
★ 「天下無敵」「比類なき素質」という力強い花言葉。
★ 「チャーミング」「気立ての良さ」といった女性らしい花言葉。
可愛さと強さの両方を兼ね備えており、これから人生を歩み始める女の子の名前にピッタリです。
★ 名付けには「桃」という漢字をそのまま使うほか「百」の字をあててもよいでしょう。
春の花② 奥ゆかしい印象の菫(すみれ)
菫は3~5月にかけて咲く花です。その種類は日本国内でみられるものや外国種を合わせると、約450種あると言われています。パンジーやビオラは、菫の園芸種です。
菫の花は派手さはなく、ひっそりとした奥ゆかしさを漂わせていますが、古来から各国で親しまれてきた花の一つです。「菫、すみれ」の花の名前の名付けもまた、昔から親しまれています。奥ゆかしく芯のある、一歩引いた昔ながらの日本人らしい人を連想させます。
【菫にまつわる言い伝え】
★ 西洋ではバラ(美)・ユリ(威厳)・スミレ(謙虚・誠実)の3つを兼ね備えた女性が、理想と言われているほどです。
【菫の花言葉】
★ 「謙虚」「誠実」「思慮深い」「小さな幸せ」など。
やはり慎ましさのあるものばかり。品格のある女性に育つことを願って、この花の名前で名付けをしてみてはいかがでしょうか。
菫の花の名前を、名付ける時には「菫」をそのまま使えますが、ひらがな表記の「すみれ」にしてもかわいいですね。「澄礼」などの漢字をあててもよいでしょう。
夏の花① 胸の奥に芯のある印象、葵(あおい)
葵はひとつの花を指すのではなく、アオイ科の様々な花を指します。「あおい」という花の名前は、葉が常に太陽の方向を向く性質が「仰ぐ(あおぐ)日」と呼ばれていたことから始まったとされていますが、この「あおい」とは実はフユアオイのことです。
しかしアオイ科の植物はタチアオイ、フヨウ、ムクゲなど、夏に一重の美しい花を咲かせる種類が豊富であることから、今では夏の季語にもなっているため、花の名前を名付ける人々も多いのです。
【葵の花言葉】
★ 6~7月に咲くタチアオイは「大望」「気高く威厳に満ちた美」
★ 7~10月に咲くフヨウは「繊細な美」
★ 6~10月に咲くムクゲは「信念」「新しい美」など。いずれも美に関わるものばかりです。
なお「葵」という名前は、2014年まで女の子の名付けの1位の座を3年も保っているほど、人気の高い名前です。「花の名前を付けて、人とかぶるのはちょっと…。」と思う方なら、「あおい」のひらがな表記や、「藍」「碧」などの字をある方法も一案です。
夏の花② 朗らかな笑顔の印象、茉莉花(まつりか)
茉莉花とは、ジャスミンの和名です。名付けに使うとしたら「茉莉」の部分を「まり」と呼んで使うのが一般的です。
「茉莉」はサンスクリット語でジャスミンを指す「マリカー(mallika)」からとられたもので、そもそもサンスクリット語を漢字に直した中国では「茉莉」を「モゥリ(moli)」と読みます。
★ 「まりか」の花の名前は、意外と国際的な名前です。
茉莉花=ジャスミンは、お香やお茶としても有名です。また、アロマテラピーで用いるジャスミンの精油は、リラックスと一緒に活力をもたらしてくれる効果があります。また、マタニティーブルーを改善してくれるなど、女性の味方をしてくれる心強い花でもあります。
【茉莉花の花言葉】
★ 「あなたは朗らかで気品がある」「優美」「愛らしさ」などです。
人を分け隔てせず、明るく朗らかなコミュニケーションをする、愛らしい人、茉莉花(まつりか)の花の名前を持つ人には、そんなイメージが多いです。
秋の花① 昔ながらの気品溢れる印象、菊(きく)
菊は言わずと知れた、日本を代表する秋の花です。その意匠である「菊花紋章」は皇室の御紋にもなっているほどですから、日本には欠かせない花とも言えるでしょう。しかし日本原産ではなく、中国から薬効のある植物として入ってきたと言われています。
【菊にまつわる菊の話】
★ 中国では、菊は不老長寿の花として大変有名です。
陰暦の9月9日の「重陽の節句」には菊花酒を飲み、長寿の祈願をする習慣があります。
【菊の花言葉】
★ 「高貴」「高潔」「高尚」と、気品にあふれています。
菊自体には高貴で気品溢れる印象があります。しかし花の名前の語感には、かわいらしさがあるので「小菊」「菊乃」「菊花(きっか)」など、女の子の名前に好んで用いられます。
秋の花② 思慮深い穏やかな印象、萩(はぎ)
萩は秋の七草のひとつで、7~10月にかけて咲き、いち早く秋の到来を教えてくれる花です。「万葉集」の中では142首と、最も多く句に読まれている花でもあり、古くから人々に愛されてきた花だとわかります。
萩の枝や葉は家畜の飼料や、屋根を葺く時の材料にもなりました。また枝を束ねてほうきとして使ったり、根を煎じてめまいの薬として使ったりと、人々の生活に常に寄り添ってきた花でもあったのです。
【萩の花言葉】
★ 「思案」「清楚」「柔軟な精神」など。
【萩の花の名前を名付けるなら】
★ 名前に使うとしたら「小萩(こはぎ)」などが考えられます。
★ 「しゅう」とも読めるので、読みをアレンジしても良いです。
例えば、「萩佳(しゅうか)」などにアレンジしてみてはいかがでしょうか。古風で愛らしい名前になります。
冬の花 聡明で穏やかな印象の柊(ひいらぎ)
柊は、花よりも葉のイメージの方が強いかもしれませんね。しかしモクセイ科の花であるため、10~12月の開花時期には、同じ科のキンモクセイに似た、甘くやさしい花の香りを漂わせます。
なお、クリスマスリースなどに使われるセイヨウヒイラギは、柊とは別の種(モチノキ科)です。
【柊の言い伝え】
★ 柊は古くから「邪鬼の侵入を防ぐ」として、庭に植えられてきました。
庭の北東(表鬼門)に柊、南西(裏鬼門)にナンテンの木を植えることは「鬼門除け」と言われています。
【柊の花言葉】
★ 「用心深さ」「先見の明」など。
やはり慎重な響きを持つ言葉になっています。
柊の花の名前を名付けに使うとしたら、「ひいらぎ」よりも「しゅう」の読みを使うと、バリエーションが広がります。
以上、7つの花々にまつわるお話はいかがでしたか。多くの人々が、産まれた季節の花の名前を子どもに名付けて、毎年その季節を祝います。昔は長生きすること自体がお目出度いことなので、またその季節が巡ってきたことを、祝っていたとも。
このように昔ならではの花の名前の名付け方法で、春に生まれたので春の花、夏に生まれたので夏の花…、という名付け方もひとつです。また季節のことは脇に置き、未来の健康や幸福を祈るにふさわしい花の名前や花言葉から、ヒントをもらって名付けをするのも素敵です。
花は世界中で古くから多くの人々に愛され、その喜びや悲しみに寄り添ってきました。そんな花の名前を子どもに名付けることで、「人々に愛され親しまれますように。」と言う両親の願いを込めることもできます。海外でも同じように花の名前を名付けています。
今回お伝えした花以外にも、私たちの身の回りには多くの素晴らしい花が咲いています。ぜひ我が子の名付けのヒントのひとつとして、花の名前に目を向けて見てはいかがでしょうか。
まとめ
花の名前で可愛く名付け☆季節のおすすめの7つの花々
・可愛らしくも力強い花言葉を持つ、桃(もも)
・奥ゆかしく思慮深い、小さな幸せを喜ぶ 菫(すみれ)
・名付けで人気の葵(あおい)は、信念のある繊細な美しさ
・茉莉花(まつりか)の花の名付けは、国際的で社交的
・可憐で可愛らしい菊(きく)の花言葉は、気品溢れている
・萩(はぎ)の花言葉は、清楚や柔軟な精神性
・柊(ひいらぎ)を名前に入れる事で、聡明さを願う