ヒヤシンスを水栽培する時、気を付けたい5つのポイント


花壇や寄せ植えで見るヒヤシンスも素敵ですが、水栽培だと室内で間近に花が見られるのが嬉しいですよね。球根植物には他にも水栽培ができるものがありますが、中でも特にヒヤシンスは水栽培に適しています

それは、ヒヤシンスが球根の内部に十分な養分と花芽を持っているため。ヒヤシンスの球根はタマネギに似て、中心部には茎を出して花になるための芽が備わっています。また、水栽培では限られた容器の中に根を伸ばすため、広い範囲に根を張れないので茎が長いと頭でっかちで不安定。

ヒヤシンスは背が低く茎も太くて安定感に優れ、しかも1本で見ごたえのあるところが魅力的です。そんなヒヤシンスですが、土に植えるのと水栽培とでは少し育て方が違います。そこで今回はヒヤシンスを水栽培する時、気を付けたいポイントについてお伝えします

 

ヒヤシンスを水栽培する時、

気を付けたい5つのポイント

 

水栽培を始める時期

ヒヤシンスの球根は早ければ9月下旬から出回り、大体10月~11月頃が販売のピークです。人気の色や品種は早く売り切れてしまうので購入は早めに。12月頃になるとホームセンターや園芸店では球根のセールも始まりますが、その頃になるとコンディションの良い球根はあまり残っていないことの方が多いかもしれません。

ただし秋植えの球根は秋から冬にかけて根を張り、早春から春に花を咲かせて夏は地上部の葉や茎が枯れて休眠するというサイクルを持っています。そのため、球根が冷やされることが開花への第一歩。日中まだ暖かいと水が温まって根腐れを起こしやすく球根を台無しにしてしまうので、ヒヤシンスの水栽培も水温が10度以下になる11月頃が開始の目安です

 

球根の選び方

ヒヤシンスはローマン系(ローマン・ヒヤシンス)、ダッチ系(ダッチ・ヒヤシンス)の2種類ありますが、一般的にヒヤシンスと言えばダッチ系で、水栽培向きです。オランダで改良された品種で花が大きく、花穂が房状に密に咲くので豪華。大きな球根だと茎が2本出ることもあります。

新しく球根を購入する時は、重くて張りがあり根が出るお尻の部分が傷ついていないものを選びましょう。土で栽培した前年の球根があるとそれを使いたくなりますが、あまりおすすめできません。球根を掘り上げる時に傷がつきがちですし、きちんと乾燥させていないとカビが生え、また小さい球根では養分が足らず花が貧弱になってしまいます。

もし開始のタイミングを逃してしまったら、1月頃には花芽の出かかっている「芽出し球根」がポット苗で出回るので、これを使用するのも一つの方法です。ただしこの方法は一種の荒業で根を傷つけるリスクが高いので、バケツなどの中で土をほぐして水で優しく洗い流して下さい

 

秋から冬の温度環境を作る

ヒヤシンスの水栽培では、球根を寒さに当てる必要がありますが、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。“低温処理”という方法がありますが、これにもいろいろな方法があります。一番簡単なのが、10月頃に球根を購入したら新聞紙で球根を包んで冷蔵庫に入れるというもの

冷蔵庫内は大体8度前後なので1ケ月程度片隅に置いておきます。他にはカップケーキ型のような窪みのある容器に球根を置き、お尻が付かる程度の水を入れて様子を見ながら時々水を取り替えて発根させるなどの方法も。このように、ヒヤシンスの水栽培では球根に低温を経験させてあげることが重要なポイントとなります

 

使用する水とその管理

徳利のように首が細くなっている水栽培用の容器はヒヤシンス・ポットとも言いますが、その容器だと球根が安定するようになっています。針金などで輪を作り球根を真っ直ぐに固定させるようにひっかけられれば、グラスやドリンクカップなどの容器も使用できますよ

球根をセットする時は、水道水にミリオン圭酸塩白土(けいさんえんはくど)という根腐れ防止剤を入れ、球根がお尻の部分だけつかるように水の高さを調節して下さい。冷暗所に置くか、箱の中に入れるなどしてベランダに置くなどして暗く涼しい環境を作ります。徐々に根が伸びたら、根が水面から数センチ出るように水の量を減らします。

これは、根の出ている付け根の部分に空気を通すため。根には新鮮な酸素も必要なのです。根の動きが活発になってくると、水の減りも早くなります。通常は水を少し足してやる程度にしますが、1週間もすると水が汚れてくるので半分ほど水を捨て、根を傷つけないよう水を注いで水の交換を行いましょう。

 

根が伸びたと感じてから芽が出るまでが最大のガマン時

ヒヤシンスの水栽培を開始してから根が容器の中を埋めてきたなと感じるのが、大体2ケ月目を過ぎた頃でしょうか。根が伸びているのに芽が出る気配がさっぱりないと心配になるのもこの頃です

しかし、11月~12月にヒヤシンスの水栽培を始めたとしても2月頃は、本来土の中にいる球根はまだまだ寒さに耐えながら根をゆっくりと伸ばしている時期です。ですから芽が出ていなくても当たり前。そこから芽が出るのはさらに1ケ月ほど先になると思って、暖房などには当てないようにしながら明るい場所で、水を取り替えながら管理します。

 

いかがでしたでしょうか。ヒヤシンスの水栽培は幼稚園や小学校の観察教材としても多く使われているので簡単に思えても、始めてみると意外に難しいと感じるのはやはり冬の室内は暖かくしがちだから。学校のように夕方以降は電気も消え寒くなる場所と違って、普通の家の中で寒くて暗い場所というのは工夫しないとなかなかありませんよね。

また、始める時期の気候や球根の状態など、条件によって花の咲くタイミングは変わるので、心配になることも多いかもしれません。でも、球根を腐らせなければ寒さを感じさせることで必ず花は咲きます

咲いた花は玄関の下駄箱の上などにスペースがあれば、ほどよく外気が入るので暖かい室内よりは花が長持ちします。玄関に漂う甘い香りは、おもてなしにも最適です。さらにヒヤシンスの水栽培後に球根を来年も使いたいなと思うかもしれません。

方法はありますが、とても難しいと言われています。通常、土の中の球根を太らせるためには花を早く摘み取って葉が栄養を蓄えて球根に変化させます。しかし、水栽培向きのダッチ・ヒヤシンスはもともと分球(古い球根のそばに新しい球根ができること)しにくい品種。1回限りと割り切って、大きな花を楽しみましょう。

まとめ

ヒヤシンスの水栽培で大きな花を咲かせるため気を付けたいこと

・とりかかる時期は11月~12月初旬がベスト
・ダッチ系(水栽培向き)の球根で傷のない大きな球根を選ぶ
・低温に当てた球根のお尻だけが水につかるようにセット
・根が出るまでは暗く寒い場所に置き、根が出たら球根と根の間にすき間を作る
・根が伸びてからは明るく寒い場所で管理


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