あなたの身体はワックスを持っています、と言われたらあまりピンと来ないかもしれませんよね。でも人間の細胞には液状のワックスが含まれていて、植物で唯一それを持っているのが、ホホバオイルの採れるホホバです。
ホホバは米国南部からメキシコ北部にかけて自生していた常緑の灌木でこの地域は気温が40度以上、雨も年間100mm程度の極端に乾燥した土地で、先住民はホホバの種子を潰して搾ったホホバオイルを肌や髪につけて、強い太陽光から肌を保護していました。
ホホバオイルは日本では最初アロマテラピーの精油の希釈用としての利用が主で、オイル美容はそれほど関心を持たれていませんでした。日本人はさらっとした感触を好む人が多く、湿度も高いため欧米ほどオイルの必需性がなかったからです。
しかし、医療や美容の分野で研究が進み、健康や美肌のためにはオイル成分が欠かせないことが認知されたため、オイル美容が注目されるようになり、中でもホホバオイルは別格の人気を誇っています。そこで今回はホホバオイルの効能が見逃せないホホバオイルの特徴についてお伝えします。
ホホバオイルの効能が
見逃せない5つの特徴
重要な働きを持っている「皮脂」に近いホホバオイル
皮脂を構成する成分は、ワックスエステル(約25%)、スクアレン(約12%)、トリグリセライド(約60%)、その他に脂肪酸などです。皮脂は、皮膚の他に唇や頬などの粘膜や角膜も乾燥から守っています。
例えば、瞼の内側にあるマイボーム腺から皮脂が分泌されているからこそ、角膜が日光にさらされていても大丈夫なのです。ただ、私たちの細胞の皮脂中に含まれるオイルは、分解されやすいものとそうでないものがあります。
皮脂の大部分を占めるトリグリセライドは皮膚の常在菌に分解されて毛穴を詰まらせ、それが炎症を起こしてニキビなどの肌トラブルを生んでいます。その中で、スクアレンとワックスエステルは常在菌に分解されないためオイルの良い面だけが際立つことになります。約4割を占めるワックスエステルを補うにはホホバオイルが最適だということになります。
加齢と共に失われていくワックスエステル
別名の天然のクリームという言葉も浸透してきた私たちの皮脂ですが、一度洗い流すと再形成されるまでには4時間くらいかかります。年齢が上がるにつれてこの時間は長くなるため年を取ると乾燥肌になるのです。しかも、この皮脂バランスは誰でも同じではありません。
そこで足りないものを美容オイルで補いましょう!となるのですが、オイルといっても多種多様です。主要な美容オイルは、すべて先にお伝えしたトリグリセライドを多く含みます。
肌のコンディションに合わせて足りないオイル分を適切に選ばないと、余計なものまで与えてしまいその結果今度は皮脂の分泌のバランスが狂うということになりかねません。ワックスエステルがほとんどのホホバオイルにはトリグリセライドの心配はありません。その意味で「誰にでも合う」オイルだといえます。
酸化しにくい便利なホホバオイル
大抵のオイルには、酸化が大敵です。スキンケアでオイルが昔嫌われていたのは、酸化したオイルを使用して起こる油焼けのせいでした。特に朝や日中オイルを使ったことで紫外線に当り肌の上で酸化を起こしてトラブルを生んでしまったのです。
ブームの美容オイルの中でも特にローズヒップオイルやグレープシードオイルは酸化の速度が早く、使用期限も短く保管にも気を使います。ホホバオイルは酸化が非常に遅く、他のオイルに比べて2倍も長持ちします。お風呂場などの湿気のあるところではカビに気を付ける心配がありますが、保管に気を使わなくていい面では扱いの楽なオイルです。
シンプルなスキンケアを望むならホホバオイルを
肌の調子が悪い、乾燥している時には水分だけでは足りないというスキンケアの常識はかなり浸透してきました。ケアの基本は、皮脂膜の不足を補うこと。乳液やクリームは、肌が必要としている皮脂成分をより安定した形で楽に角質層に送りこむために作られています。
オーガニック思考の方が増えているので、スキンケアもよりシンプルにしたい、その思いが美容オイルブームを生んでいますが、極端に言えば良質の水と非精製のホホバオイルだけでも保湿は可能です。やり方は洗顔後に精製水をつけ、そのすぐ後にホホバオイルを薄く伸ばしなじませるだけです。
塩素の入っていない精製水で水分を補給し、即座にホホバオイルで蓋をすることで水分の蒸発を防ぐのです。必ずセットで行うようにしましょう。季節の変わり目などで肌が敏感になっている時などにはかえって美容液なども浸透しにくいので、これで肌が落ち着きます。
脱臭などの処理をしていないホホバオイルは高い抗酸化力もあり、ビタミン類も残っているので十分スキンケアになります。また、角栓取りにホホバオイルが役立つということもあり人気ですが、角栓取りは毛穴を傷つけないように慎重に行ってください。
髪のためにもホホバオイルを
ホホバオイルはヘアケアにも役立ちます。頭皮から出た皮脂は、キューティクルの一番外側にある18-MEAを通して毛先まで運ばれることによって髪の保湿やツヤを出す働きをしています。
この18-MEAと呼ばれる部分は、一度なくなってしまうと自力再生は不可能で、ヘアカラーを行えばほぼなくなってしまうものです。そのせいでヘアカラーをしている髪はパサついてしまいがちで、必ずトリートメントをするように勧められるわけです。
シャンプー後、髪に水分が残っているうちに髪にホホバオイルをなじませてから乾かすと、ドライヤーの熱からも髪を守り、しっとりとさせられます。つけすぎると髪が重くなるので、少しずつ毛先を中心に試してみて下さい。
いかがでしたでしょうか。ホホバオイルは食用にはならないものの、美容オイルの分野では肌に髪に、他のオイルを引き離しているくらいの効能があります。手頃な価格なのも魅力です。
ホホバオイルの生産は、広大な土地を持ち工業地帯が少なく公害があまりないオーストラリアで主に行われており、オーストラリアのお土産にホホバオイルを選ぶケースも多いです。
ネットなどで購入する場合も、オーストラリア産で低温圧搾法されたものはゴールデン・ホホバオイルと呼ばれていて別格扱いされています。ホホバオイルは非精製のものには独特の香ばしいような香りがあります。
それが気になる場合は、好みの香りの精油をブレンドしてマッサージなどに使うことをおすすめします。妊娠線ができにくかったという人も多いくらいオイルマッサージは効果的です。後は、肌に水分があるうちにオイルを薄く伸ばすことでべたつきは防げます。ぜひホホバオイルを上手に使って、ナチュラルケアに役立てて下さいね。
まとめ
ホホバオイルが見逃せない特徴は
・皮脂の1/4を占めるワックスエステルを含む唯一の美容オイル
・ワックスエステルは加齢とともに失われてゆく
・酸化しにくく長持ちし保管も簡単
・究極のシンプルスキンケアに精製水+ホホバオイル
・ダメージを受けた髪にシャンプー後のホホバオイルが効果的