ユリ科によくある内側の模様や斑点がなく、真っ白なのが特徴的なカサブランカ。その様子から「白い家」という由来があります。カサブランカなどのユリ科がオリエンタル系と言われるのは、東洋原産のユリを基本に交配してできたため。
東洋の植物ということで日本との相性も良く、育てるのもそこまで難しくないお花です。明治維新直後には日本の輸出品の13%がユリの球根だったことも。
ユリの中で最も大きな花を咲かせ、6月~8月の開花期には香り高い優雅な芳香を漂わるカサブランカ。その姿はまさにユリの女王と言われるのに相応しく、日本のように大きな花のユリが無かったヨーロッパにとって、東洋のユリは衝撃的だったようです。
鉢植えでも庭植えでも、ちゃんとお世話をしてあげると毎年花を咲かせてくれるので、コツを覚えて見事なお花を育てましょう。
カサブランカの花を
キレイなまま長持ちさせる7つのコツ☆
良い球根を選ぶ
当たり前のようで大切な球根選びも、キレイな花を咲かせるために必要なコツの一つです。良い球根を選べば病気に負けない丈夫で立派な花を咲かせてくれますが、逆に良くない球根を選んでしまうと花の見栄えだけでなくトラブルも起こしやすくなります。
まず球根選びで注目してほしいのは球根の重さと大きさです。重さがあり大きいものほど栄養が充実していて、大きな花を咲かせてくれる球根になります。
更に、鱗片の隙間がなく締まっているもの、芽が一つのものが理想的です。鱗片にしおれた部分や傷がなく、腐りやカビ、シミがないものも良い球根です。
乾燥しているものは球根の保存や管理状況があまり良くないものなので避けましょう。全体的に球根が白く、下根が多いものは健康な球根の証です。
これらのことを踏まえて、球根を選ぶ際はよくチェックして購入することがキレイな花を長持ちさせるための第一歩とも言えます。
植えつけ
カサブランカを球根で購入した場合は植えつけも大切な作業の一つになります。ユリの球根には乾燥を防ぐための表皮がないため、購入したら乾燥して傷めないように、できるだけ早く植えつけをしてあげましょう。
もしすぐに植えつけができない場合は、湿った砂を入れたポリ袋に球根を入れて保管をします。植えつけの適期は10月~11月ですが、できれば10月前後に終わらせることが理想的。
1月上旬まではギリギリ植えつけ可能ですが、適した時期に新鮮な状態で植えつけをするのが望ましいです。カサブランカは下から伸びる根で体を支え、土の中で伸びた茎から出た根で養分を吸収します。
なので鉢の場合は球根1つ分、庭植えの場合は球根3つ分と深植えをすることがキレイで立派な花を咲かせるポイントになります。
球根を複数植える場合は球根2~3個分の間隔を開け、大きめの鉢でゆったりと根を広げるように植えると元気よく育ちます。6号鉢に1つ、8号鉢に3つの球根が目安になります。
水やり
ユリの球根は乾燥に弱いので、土が乾いたら鉢底から水が流れ出すまでたっぷりの水を与えます。受け皿がある場合は水を溜めたままにしておくと根腐れを起こしますので、その都度必ず捨てるようにしましょう。
夏場の開花時は特に水を多く必要とします。蒸発も激しいので朝と夕の2回、乾く前に水やりをして土を乾かさないようにしましょう。
注意してほしいのは昼間の水やりです。暑さ厳しい昼間に水を与えると、土の中の水が沸騰してしまうことに。根にダメージを与えてしまいますので、暑すぎる時間帯は避けて水やりをしましょう。
鉢で育てている場合は、葉が無い時期でも球根を乾かさない程度に水やりをして水切れに注意します。庭植えの場合、葉の枯れる時期は晴れの日が長く続かない限りは水やりをしなくても大丈夫です。
管理場所
ユリは一般的には日光を好む植物ですが、カサブランカは直射日光を浴びすぎると傷みやすいので半日蔭を好みます。半日蔭とは一日のうちの半日しか日が当たらない場所のこと。
建物の東側がベストで、西側は西日の影響で乾燥しやすくなりますので避けるようにします。風通しと水はけを良くし、半日陰の戸外か日当たりの良い室内がカサブランカに適した場所になります。
暑すぎる場所や直射日光が強すぎる場所ではうまく花が育たないことも。また、ユリは夏の高温感応期を経た後は休眠に入り、冬の低温感応期を経て休眠から目覚めて発芽へと移行していきます。
なので冬は2月頃までは暖かすぎない日陰で低温感応させることが必要になります。3月になったら日当たりの良い場所へ移動させます。
庭植えの場合は2月頃までは低温感応でき、3月頃には日当たりが良くなる場所を前もって計算しておきましょう。
花後の管理
翌年の開花に大きく関わるのが花後のお手入れです。次の花の妨げにならないように、花が咲き終わったらすぐに花がらを摘み取りましょう。その際に、めしべの下にある膨らみも完全に取り除くことを忘れないでください。
残したままにしておくとこの場所に養分をため込もうとしてしまい、球根に栄養が回らなくなってしまいます。葉は切らず、枯れ落ちていくまでそのままにしておきます。
花後、球根は分球して小さな球根を作りますので、花が終わり葉が枯れるまでの間も水と緩効性の肥料を十分に与える必要があります。球根は葉から養分を蓄えるので、このようなお世話をすることで球根を十分に太らせることができます。
この時に蓄えた養分が、次の時期の開花のためにとても大切な栄養となります。
植え替え
より大きく立派なカサブランカを育てるためには、植え替え作業が大切になります。一回り大きな鉢に球根2個分の深さまで掘り下げて植え替えることで、カサブランカものびのび育つことができます。
庭植えの場合は球根3個分の深さまで掘り下げて植えつけます。鉢植えは毎年、庭植えは3年に一度を目安に植え替えを行い、適期は10月~11月の葉が枯れる時期。
庭植えは連作を嫌いますので、出来るだけ前にあった場所とは違う場所に植え替えましょう。植え替える際は、球根を消毒してあげると害虫予防にも効果的。
球根を取り出したら上根の部分で切り取り、水洗いをして日陰でよく乾かします。薄めたチウラム・チオファネートメチル水和剤に30分ほど漬け、再度日陰で数時間乾かすことで消毒は完了です。
元気な花を咲かせるためにも、秋になったら植え替えをすると覚えておいてください。
病害虫予防
カサブランカがかかりやすい病気には葉枯れ病、根腐り病、立ち枯れ病、さび病などがあります。病気の原因は湿気によるものがほとんどなので、水はけの良い土と風通しの良い環境で病気の予防をしましょう。
病気と同様に厄介なのは害虫によるトラブルです。特にアブラムシが付きやすく、ウイルス病を媒介することもあります。ウイルス病はユリ全体を侵す病気で、球根や木子を通じて次の世代にまで伝染していきます。
一旦感染してしまうと治療法がなく、株を抜き取って廃棄することになってしまうため、ユリを育てる上では最も厄介な病気になります。発芽して葉が枯れるまでの間は、株の周囲に殺虫剤や消毒剤を定期的に散布するようにしましょう。
また、病気になった株を手入れしたハサミなどで他の株の手入れをしてしまうと、病気の汁液がついて健康な株にも伝染してしまう恐れがあります。作業の度にハサミを消毒するなど、普段から注意をしておくと安心です。
いかがでしたでしょうか。
少しの手間をかけてあげるだけで、それに応えるかのように毎年立派な花を咲かせてくれるカサブランカ。その香りと佇まいに魅了されている方も多く、一本あるだけで家の中を彩ってくれるとても素敵なお花です。
良い球根を選び、環境と病害虫に注意すれば難しいことは特にありません。何年も続けて咲かせることができたら、そんな素敵なことはありませんよね。
まとめ
カサブランカの花をキレイなまま長持ちさせる7つのコツ☆
・まずは球根選びから
・植えつけは早めに
・たっぷりの水やりと少しの注意
・カサブランカは半日蔭が好き
・その後に関わる大事な花後のお手入れ
・元気に育てるための植え替え
・病害虫を予防する