小さくて素朴ながら美しい花を咲かせる菫の花は、古くから人々に愛されてきました。スミレ属の花には園芸品種のパンジーやビオラなどもありますが、野辺に咲く菫のさりげない美しさはまた格別です。
菫は温帯地域を中心に世界中に広く分布していますが、その品種は450種以上もあると言われています。
ギリシャ神話では次のようなエピソードがあります。天界の王ゼウスが美しい娘イオを見そめて逢瀬を楽しんでいると、妃のヘラが怪しんだため、イオを牝牛の姿に変えてしまいました。
イオをヘラの目から隠そうとしたのです。しかしヘラはイオの正体を見抜いており、牝牛になったイオの苦難が始まります。イオを不憫に思ったゼウスは、牝牛の食料として菫の葉を作ったと言い伝えられています。花はイオの美しい瞳の色をしているのだそうです。
このように菫には古くからさまざまなエピソードがあり、文学や絵画のモチーフにもなっています。
今回は菫の花言葉を紹介しながら、大切な人へ贈り物をする方法を提案してみたいと思います。愛らしく小さな菫の花に想いを託して、気のきいた贈り物をしてみましょう。
菫の花言葉を使って
大切な人に贈り物をする7つの方法
「誠実」という花言葉で
菫には「誠実」という花言葉があります。菫は華麗な花を咲かせるバラやユリなどとは対照的に、ひかえめで慎み深い雰囲気があります。
花が小さくて色も紫や白といった落ち着いた色調のものが多いので、誠実というイメージにつながったのでしょう。
菫の花の誠実なイメージにあなたの誠実な想いを重ねて贈ってみましょう。手作りの押し花を栞にしたり、額縁に入れて贈ってみてはいかがですか。
「菫の花をメインに押し花の額を作ってみました。菫の花言葉は『誠実』です。私の想いを菫に託して。」
「謙虚」という花言葉で
奥ゆかしい雰囲気を持った菫の花には「謙虚」という花言葉もあります。
つつましく無垢な乙女をイメージさせる菫は、女性へのプレゼントにぴったりのモチーフです。
大切な女性に、アクセサリーや小物などに菫がかたどられているものを贈ってみましょう。最近では菫の押し花をレジン加工して、花をそのまま閉じ込めたようなかわいいネックレスやピアスがあり、おすすめです。
「奥ゆかしいあなたのイメージにぴったりな菫の花のネックレスを贈ります。菫の花言葉は『謙虚』です。」
「愛」という花言葉で
紫色の菫の花言葉は「愛」です。
フランス王妃マリー・アントワネットやオーストリア皇妃エリザベートは、菫を愛した貴婦人として有名です。
特にエリザベートは菫の砂糖漬けを好んでいました。ウィーンの老舗菓子店DEMELでは、クラシックなデザインの容器に入った菫の砂糖漬けが販売されています。庭先や山野で摘んだ菫を溶いた卵白につけて、グラニュー糖をまぶして乾燥させると、自家製の菫の砂糖漬けを作ることもできます。
「紫の菫の花言葉は『愛』です。愛情を込めて、菫の砂糖漬けをプレゼントします。菫の香りと甘さを楽しんでくださいね。」
「無邪気な恋」という花言葉で
白い菫の花言葉は「無邪気な恋」です。
大人になると無邪気に恋をすることはなかなか難しいかもしれません。
けれども白い菫の清純な愛らしい花を眺めていると、わずらわしい複雑な想いから解き放たれて、ピュアな気持ちを取り戻せそうな気がします。また、無邪気な愛らしさを持った人にプレゼントしても素敵です。大切な人には白い菫の花言葉を添えて、鉢植えを贈ってみましょう。
「白い菫には『無邪気な恋』という花言葉があるそうです。白い菫の花を眺めて、無邪気なあなたらしさを忘れずにいてください。」
「思慮深い」という花言葉で
菫には「思慮深い」という花言葉もあります。
思慮深い人とは物事を注意深く考える、慎重なタイプの人です。
そんなタイプの相手には、菫の香りのカクテルを作ってあげてはいかがですか。菫の花の香りと色をイメージしたクレーム・ド・バイオレットというリキュールがあります。このリキュールにレモンジュース、砂糖、ソーダを加えてシェイクするとバイオレットフィズというお酒ができます。レモンの風味をきかせた、さわやかなカクテルです。
「菫の花言葉は『思慮深い』だそうです。思慮深いあなたに菫のカクテル、バイオレットフィズを贈ります」
「秘密の恋」という花言葉で
菫の中には「匂菫(ニオイスミレ)」という品種があり、文字通り香りのよいのが特徴です。
ケーキやサラダに香草として用いられるほか、香水の原料としても珍重されています。
匂菫の花言葉は「秘密の恋」です。秘めた想いを菫の香りに託して届けてみませんか。様々な香水ブランドから菫の香水が出ており、生花に近い香りのものから、生花にはあまり似ていないけれども菫をイメージさせる香りのものまであります。店頭で試香して、お好みのものを探すと良いでしょう。
「あなたに菫の香水を贈ります。匂菫の花言葉は『秘密の恋』。私の秘めた想いを託して。」
「小さな幸せ」という花言葉で
菫には「小さな幸せ」という花言葉もあります。
松尾芭蕉の有名な句に『山路来て何やらゆかしすみれ草』という句があります。山道を歩いてくたびれた旅人の目にも、菫の花の可憐な姿は心惹かれるものがあるのでしょう。
まさに菫は小さな幸せですね。大切な人に菫の柄の描かれたティーカップを贈って、喜ばせてみてはいかがですか。有名な陶器ブランドからも、菫模様のカップ&ソーサーが出ています。
「菫の花言葉は『小さな幸せ』だそうです。菫の柄のカップ&ソーサーが、あなたに小さな幸せを運んできますように。」
いかがでしたか。
菫の花言葉には、大切な人に届けたいメッセージがいくつもあります。あなたが選んだとっておきのプレゼントに花言葉を添えて、贈ってみてくださいね。
シェイクスピアは『ハムレット』の中で、オフィーリアの兄に、「願わくはその美しく潔い肉より、菫の生えんこと」と言わせています。
悲劇の死を遂げたオフィーリアの清らかな美しさは、紫色の可憐な菫の花の姿と重なるのでしょう。
たくさんの芸術家にも愛された、つつましく清らかな菫の花は、あなたの心からのメッセージを相手に届けてくれます。
まとめ
菫の花言葉を使って大切な人に贈り物をする7つの方法
・「誠実」という花言葉で
・「謙虚」という花言葉で
・「愛」という花言葉で
・「無邪気な恋」という花言葉で
・「思慮深い」という花言葉で
・「秘密の恋」という花言葉で
・「小さな幸せ」という花言葉で