家庭菜園で採れたての野菜を食卓に乗せられたら素敵ですよね。売っている野菜のように形が整っていなくても、大きくなる過程を知っていると美味しさが違います。最近はコンビニでも「育てるサラダ」のような野菜栽培用のキットが手に入るほど、誰でもいつでも気軽に家庭菜園を始められるようになっています。
家庭菜園だと自由にいろいろな野菜を少しずつ植えることができるのも魅力。でも自由にできるからこそ、初心者はどんな野菜から始めれば良いのかわからないことも多いはず。
ホームセンターなどではたくさんの「初心者向け」野菜苗が並んでいますが、野菜は草花に比べればやはり手間がかかります。できるだけ栽培期間が短くて、病気や虫のつくヒマがない野菜を選ぶことから始めませんか。そこで今回は家庭菜園初心者でも育てやすい野菜についてお伝えします。
家庭菜園初心者でも
育てやすい5つの野菜
ルールなしで栽培OKなベビーリーフ
ベビーリーフは生長し始めたばかりの若葉をまとめてそう呼んでいる野菜で、柔らかくアクや苦味もないのでとても人気があります。ただ柔らかい葉が傷みやすく、輸送途中で黄色くなってしまうこともあるので、すべてが新鮮な状態ではないことが多いものです。
そんな時こそ家庭菜園。ベビーリーフの種として水菜・ルッコラ・マーシュ・サニーレタス・カラシ菜などアクのない野菜が数種類ミックスされた状態で、1袋100円以下で売られています。
野菜を栽培するときに「つまみ菜」として間引き苗をよく食べますが、1種類ごと別々に種まきするのが普通。でもベビーリーフだと数種類の野菜がミックスされているので、それぞれが持つ優れた栄養素をまとめて摂れるのがメリットです。
作り方もイチゴパックなど適当なプラ容器を洗って十数個穴を開け、土にパラパラと種をまいて水をやるだけ。1週間~10日程度で余程寒い時以外はいつでも新鮮なベビーリーフが手に入ります。
レタスは巻かないタイプを
ベビーリーフも良いけれど、もう少しまとまった量の葉物野菜が欲しいという時に便利なのが、葉の上の部分が重なり合っていないリーフレタスの仲間たち。普通のレタスやキャベツなど丸くなる野菜に対して、非結球(ひけっきゅう)と呼ばれているグリーンリーフ、サニーレタス、ごくゆるやかに巻いているサラダ菜もほぼこの中に入ります。
結球するレタスは改良されて生まれたもので、野性のレタスはもともと葉を巻き込んでいませんでした。葉を巻き込ませ丸くすることで箱に詰めやすく輸送中傷みにくくなったというわけ。でもこの結球の過程は複雑で、気候条件によってはうまく巻き込まないことも。
それならむしろ最初から結球しないリーフレタスは葉っぱをはがしやすいし、家庭菜園で作っているなら1~2株だけであっても内側の少し葉を残して切り取って、何回も収穫もできるので便利。リーフレタスの中でも、サニーレタスは普通のレタスに比べてビタミンCやカリウムは2倍以上、βカロテンは8倍以上と栄養面でも優秀です。
薬味に健康維持に大活躍のショウガ
酢ショウガが血管年齢を若返らせることでも有名になったショウガは、殺菌作用や身体を温める作用の他にも薬効がいっぱいの野菜。ショウガも家庭菜園でたくさん作ることができます。
水で洗っていない、土付きで売られているものならスーパーで売っているショウガをプランターに植え付けるだけで、最低気温が15度以上あれば発芽して若いうちなら葉ショウガ、置いておけば根ショウガと両方作れてとっても便利。
葉ショウガは酢味噌などでおつまみに、根ショウガは薬味以外にも、自家製ジンジャーエールなどが作れるところも魅力です。ショウガは高温多湿が大好きなので、家庭菜園初心者が水やりの加減がつかめずに多く水をやりすぎて、過湿になりがちなのをあまり気にしなくて良いところも嬉しいポイント。
家庭菜園の隠れた優等生、オクラ
実物野菜を作りたいと思った時におすすめなのがオクラです。オクラは粘膜を保護するので胃を守る働きがある他、鉄やビタミン類、カルシウムも含むので夏バテの予防にも効果的。
原産地がアフリカなので乾燥にも強く、春に苗を植え付けてから1ケ月半ほどで収穫が開始できるし、秋まで次々に実がつきます。ハイビスカスに良く似た薄い黄色の花もきれいで、刻んで食べると歯触りがサクサクして美味しい。星型をした普通のオクラの他にも、赤いオクラや丸オクラなど珍しいオクラもあるので、違う種類を栽培するのもおすすめ。
ミニトマトをたくさん食べたいなら
家庭菜園をやるなら一度はトライしたいのがトマト。つやつやの完熟トマトにかぶりつくシーンをTVで見たりすると、「食べたいっ!」となりませんか。でも、トマトはミニトマトでさえも草丈が2m近くまでになる大物。
支柱が絶対必要だし、どんどん伸びてくるわき芽を取らないと栄養が届かずに実が付きにくいし、実が腐ったり割れたりすることで経験がないと挫折してしまうことも多いのです。初心者はミニトマトの中でも矮性(わいせい=丈が大きくならない)品種から始めるのが安心です。
「ドワーフトマト」のような矮性ミニトマト苗は草丈が低く、また低い位置に実が付くために支柱も必要なく、鈴なりのミニトマトを収穫できます。苗の価格は安いトマト苗の3倍以上ですが、その実の数の多さで安い苗の何十倍もの満足感が得られるはず。
いかがでしたでしょうか。初心者が家庭菜園をしようと思ったら、草丈が1m以下であまり大きくならず、1ケ月程度で収穫を始められそうな野菜を選ぶことが成功する秘訣です。
高く伸びる野菜は葉を茂らせ茎を太らせるだけでも1ケ月以上、その間に虫や病気に出会う確率も高くなります。そして実を付ける野菜はさらにそこから十分に葉が茂って栄養を蓄えてからでないと花が咲きません。
実が付いてからも油断できず、大きくならない心配もあります。根菜は根菜で地面の中を見るわけにはいかないので、大きくなっているか・ちゃんとした形になっているかどうかも初心者には判断がつきにくいでしょう。
家庭菜園はこまめに野菜の様子をじっくり観察することが大切。世話をする期間の短い野菜で日当たりや水やりの違いを学んでから新しい野菜にチャレンジすることで、野菜が何を欲しがっているかがわかってくると、家庭菜園作りは一段と楽しくなりますよ。
まとめ
家庭菜園初心者でも簡単に育てられる野菜
・種をばらまくだけでいいベビーリーフ
・切らしたくないサラダ菜やレタス
・花も食べられ、連続して収穫可能なオクラ
・葉ショウガと根ショウガで一石二鳥のショウガ
・コンパクトサイズの品種でミニトマト