胡蝶蘭の育て方に必要な5つのポイント


胡蝶蘭は豪華な見た目や「幸福が飛んでくる」という花言葉を持つため、開店祝いなど祝いごとに贈られることが多いですよね。そもそも、あまり手に入れる機会が少なく、胡蝶蘭の育て方をご存知ない方も多いはず。

ちなみに日本では、蝶が舞う姿に似ていることから胡蝶蘭と名付けられましたが、学術名はギリシャ語の「ファレノプシス」と言い、「蛾のような」という意味を持ちます。なぜ蛾を選んだのでしょうか。まず胡蝶蘭の生態ですが、胡蝶蘭は熱帯の植物で寒さに弱い植物です。

しかし、温室を利用すれば1年中楽しめますし、管理を徹底すれば数十年と長生きさせることも可能です。せっかくいただいたものの、胡蝶蘭の育て方をご存知ない方のために、今回は胡蝶蘭の育て方に必要な5つのポイントについてお伝えします。

 

胡蝶蘭の育て方に

必要な5つのポイント

 

ポイント1:置き場所の確認

胡蝶蘭をいただいた場合、その鉢は綺麗にラッピングされている場合がほとんどです。せっかく丁寧にラッピングされているのだからと、ラッピングをしたまま飾りたくなる気持ちはわかりますが、蒸れて根腐れの原因になってしまいますからラッピングは外してください。

胡蝶蘭の育て方で最も重要とも言えるのが、置き場です。直射日光ではなく、レースのカーテン越しの柔らかい陽射しを当てるようにします。扇風機やエアコンの風が直接当たらず、最低でも10℃、理想は15℃~25℃の寒すぎず暑すぎない、通気性の良い場所に置いてください

 

ポイント2:水やりと肥料

胡蝶蘭が枯れる原因で最も多いのが、水をあげすぎて根腐れを起こすことにあります。水のあげすぎには十分注意が必要です。生育期の夏場は根が水をたくさん吸うので、7~10日に一度、根元にコップ一杯の水を与えます

一方冬場は、10日~2週間に一度、同じように水を与えます。水の温度は室温に近くして、受け皿に残った水は捨ててください。肥料ですが、生育期に10日~2週間の割合で、薄めた液体肥料を水代わりに与えます。冬場の肥料は与えないようにしましょう

 

ポイント3:適切に剪定する

胡蝶蘭の育て方には二つの剪定法があります。まず、来年も花を咲かせるために、茎の花が半分ほど終わったら根元から3~5㎝を残してバッサリと切ってしまう方法。もうひとつは、二番花を狙って下から4節ほどを残して上をカットする方法です。

この場合、切ったすぐ下の節から新しい花芽が出てきて、二番花が咲きます。なお、二番花が咲くまでは3~5カ月かかります。来年も花を咲かせたい際は二番花が終わったら茎を根元から切ります。

花を咲かせるには大変なエネルギーを消耗します。このため、来年への余力を残したいために、花が咲いている途中で剪定してしまう人もいるくらいです。二番花を咲かせて体力を消耗してしまったために、翌年花が咲かないこともあり得ます。

 

ポイント4:植え替え

形良く見せるために寄せ植え(3本立て、5本立て)して出荷されているものがほとんどなので、花が終わったら一株ごとに分けて植え替えます。また、2年以上植え替えていない鉢も、コンディションを良くするために植え替えをします。植え替えに適した時期は4月ですが、病気等で植え替えが必要な場合はその限りではありません。

なるべく、冬や夏を避けてください。胡蝶蘭は着生植物ですから水苔やバークチップに植えてあります。水苔自体が腐ったりカビたりするので、やはり2年に1回は植え替えが必要となります。水苔の場合、根についた水苔や痛んだ根を切り落とし、湿らせた水苔で掌くらいのボールを作り、その上に広げた胡蝶蘭の根を被せます。

さらに根を水苔で覆い、底に軽石を敷いた鉢に入れて水苔で隙間を埋めます。バークチップの場合は、鉢の1/3にバークチップを入れて、胡蝶蘭を鉢の中心に据えます。さらにその上からバークチップを敷き詰めれば完成です。

 

ポイント5:病気と害虫

ここでは、胡蝶蘭の育て方において比較的目にする機会が多い病気や害虫についてご説明します。

【軟腐病】
葉に濡れたような斑点ができ、全体に広がって淡褐色に腐敗して悪臭を放ちます。やがて、内容物が流出して紙状に乾固します。斑点を見つけたら大きめに切り取り、抗生物質のストレプトマイシンを塗布しますが、助けられないことも多いです。

【炭疽病】
カビが原因で、葉に黒っぽい斑点が広がって、穴が開いたり葉の先から枯れていきます。斑点を見つけたら大きめに切り取り、炭疽病予防の薬剤をと塗布します。

【葉焼け】
強すぎる日光が原因で、葉の表面が白、または黒く変色します。軟腐病に移行する可能性もありますから変色した部位を早めに切り取ります。

【カイガラムシ】
カイガラムシは種類が多く、よく見られるものでは白い棉状のフワフワしたものが付くのがコナカイガラムシです。見つけたらただちにティッシュなどで優しくこすり落とし、2000倍に薄めた中性洗剤で株全体を洗います。

【ハダニ】
葉の裏がベトベトして艶がなくなります。ダニ用の薬剤が効きますが、ハダニは薬剤抵抗性もつきやすいため、一度で駆除するか、数種類の薬剤を交代で使用します。

 

いかがでしたでしょうか。胡蝶蘭の育て方に必要なポイントについてお伝えしました。実は胡蝶蘭は、一般流通する植物で最も高価な花とされています。理由は、整った環境維持のために大量の重油、電力が必要なこと、種から育てて花を咲かせるまでに5年ほどかかることや、高級花であるが故、質の悪い株を処分するロスが多いことが挙げられます。

胡蝶蘭の育て方は、なかなか簡単ではありませが、ポイントとコツを掴んで上手く育てれば50年以上も花を咲かせることができると言われています。長い年月、育て続けた胡蝶蘭は、我が子のように可愛いものです。

病気や害虫は上に挙げた以外にもありますから、早期発見できるように日々観察してあげてください。管理が難しいからこそ、花が咲いた時の喜びはひとしおでしょう。ぜひ胡蝶蘭にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

胡蝶蘭の育て方に必要なポイント

・直射日光が当たらず、扇風機、エアコンの風を直接あてない
・水の与えすぎで根腐れしないように注意する
・茎の花が半分ほど終わったら根元3~5㎝で切る
・花が終わったら一株ごとに分ける
・病気や害虫に気をつける


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