花の名前、可愛い花を道端で見つけて気になったことはありませんか?フラワーショップには美しい花がたくさん置いてありますが、ふとした場所に咲いている野の花にも、美しい花がたくさんあります。
それらはわざわざ野原や公園などに行って探す必要はありません。毎日歩いている通勤・通学路の脇や道路の分離帯、建物の影などにひっそりと咲いています。土と水と日光があれば、野の花はどこでもたくましく育つのです。
ここではその中でも特に美しい、5つの野の花々の花の名前をお伝えします。摘んできて器に活けたり、可能ならば植木鉢に植えて育てても良いほどの美しい花たち。花の名前が気になっていた方もいるかもしれません。
季節ごとに、これらの花がひっそりと私たちの身の周りに咲いています。花の名前を覚えて生活の潤いにしてみませんか?
花の名前が気になる☆
ひっそりと咲く美しい野の花
スッキリと愛らしい「ネジバナ」
【芝生や分離帯で見る、愛らしい花の名前は、ネジバナ】
・開花時期は5~7月、そして9~10月頃です。
・まっすぐ上に伸びた茎が特徴的です。
・ピンクや白の小さな花をらせん状に咲かせます。
ラン科の多年草で、芝生や分離帯などに生えます。草丈は小さめですが、形が珍しいので見たことがある方も多いことでしょう。このネジバナは、またの花の名前を「モジズリ」といいます。
【ネジバナのもうひとつの花の名前「モジズリ」】
・福島県の信夫地方で作られていた型染め「信夫捩摺(しのぶもじずり)」の捩じれた模様に、このネジバナの花の様子が似ているので名づけられたもの。
余談ですが「信夫捩摺」は小倉百人一首にも収録されている歌「陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに 乱れそめにし われならなくに」(河原左大臣・14番)にも詠まれていて、歴史の深さを感じさせます。
【ネジバナの育て方】
・ネジバナは芝生によく生えることもあり、雑草として刈り込まれてしまうことも多いのですが、花の美しさから「山野草」として鉢で育てられることもあります。
ただし栽培はとても難しく、野にあってこそ生き生きと咲く花なのかもしれません。
別の花の名前は、胡蝶花「シャガ」
【人家近くの湿地で見る花の名前は「シャガ」】
・シャガは3~5月にかけて咲きます。
・アヤメ科の常緑多年草です。
・まさにアヤメを小ぶりにしたような、白っぽい紫の花を咲かせます。
人家近くの森林周辺のやや湿った日陰に群生し、次々に花を咲かせます。しかし種はできず、根茎や匍匐枝(ランナー)で増えていきます。
【シャガの歴史】
・シャガは中国原産で、古い時代に渡来した帰化植物です。
。その遺伝子は日本中同一で、種ができないので日本各地に人為的に増えていったと言われています(人家近くの森林周辺に育っているというのはそのためです)。
【シャガの花の名前の由来】
・シャガは漢字で「射干」と書き、ヒオウギアヤメの漢名でした。
・シャガをヒオウギアヤメと見誤り、そのまま定着してしまったと考えられています。
実はシャガのまたの名は「胡蝶花」。花が蝶が舞う姿に似ているのでこの名前がつけられました。優雅さを感じさせるシャガにはピッタリの名前です。
朱色が緑に映える「ナガミヒナゲシ」
【朱色の小さな花の名前は「ナガミヒナゲシ」】
・4~5月の春時期が開花時期の、ケシ科の植物です。
・まさにポピーを小さくしたような花姿が特徴的。
・朱色の花を咲かせます。
【ナガミヒナゲシの歴史】
・もともとナガミヒナゲシは地中海沿岸やヨーロッパ中部が原産で、日本で初めて発見されたのは1961年、東京都世田谷区でのことです。
【ナガミヒナゲシを見掛ける区域】
・都市周辺の道路際や中央分離帯。
・空き地によく咲いています。
ナガミヒナゲシが中央分離帯や空き地に多く咲いているのは、花の種が車に付着することで、あちこちに運ばれたことによります。今や日本全国で目にすることができるので、とても強くて繁殖力のある花ということがわかります。
これからまだまだ広がる可能性が高く、そのうち春のおなじみの花に仲間入りするかもしれませんね。
群生している野原はしあわせ色「ブタナ」
【タンポポに似た花の名前は「ブタナ」】
・ブタナは6~9月にかけて咲いています。
・タンポポに似た花を咲かせる、キク科の植物です。
しかしタンポポとは違い、30~80cmの細い茎の先に直径3㎝ほどの黄色い花をつける形です。茎には葉がないので、スッキリとした印象です。
【ブタナの歴史と特徴】
・原産はヨーロッパですが、現地ではハーブとして食用にもされています。
・「ブタナ」という花の名前は、この花がフランス語で「ブタのサラダ(Salade deporc)」と呼ばれているものを翻訳したものが、そのまま定着してしまいました。
そしてブタナの別の花の名前は「タンポポモドキ」。これでしたら「ブタナ」の花の名前の方が良い感じがしませんか。
ブタナの美しさは、単独で咲いている時よりも、野原で群生している時により発揮されます。まるで黄色いじゅうたんを広げたようなブタナの群生。花の名前はブタナやタンポポモドキですが、風に揺れてふわふわとしている様子は、幸福を感じさせます。
レースのような繊細な花「ノラニンジン」
最後にお伝えするのは、セリ科の花で花の名前が「ノラニンジン」。
【精油、キャロットシードが採れる花の名前は「ノラニンジン」】
・花期は7~9月です。
・ノラニンジンの別の花の名前は、「ワイルドキャロット」。
・ニンジンのような太った根茎はなく、食べることはできません。
この花の美しさは、何といっても繊細なレースのドイリーを広げたような、白く細かい花が集まって咲く様子です。英語の花の名前は「Queen Anne’s lace(アン女王のレース)」と呼ばれています。その美しさの認識は世界共通かもしれませんね。
・そしてノラニンジンの種子からは、アロマテラピーで用いられる「キャロットシード」の精油が採れます。
この精油は良い香りという訳ではなく、土っぽさに薬草の香りが合わさったようなものですが、消化器系や呼吸器系の不調を和らげる働きを持っています。美しいだけではなく、薬効があるところが素晴らしいですね。
目立たずとも道端に芝生に、ひっそりと咲く可愛らしい花の名前、いかがででしたか。これらの5つの花々以外にも、野の花には美しく、心を和ませてくれるものがたくさんあります。
室内で庭でガーデニングを楽しむ余裕がない時期でも、ちょっとした野花の知識や花の名前を知っていると、道端の花を目にしただけで、心安らぐ瞬間が訪れます。それが、花療法かもしれません。
もちろんこのような、花の名前もあまり知られていない野花たちは、花壇やプランターに植えられているものではありません。けれども、敷石の隙間に育って花を咲かせるものもあるくらい、たくましさがあるのが素晴らしいところです。
私たちは忙しい時、何も目に入らなくなってしまうことがありますね。学校にも会社にも行って帰ってくるだけなど…。しかしひとたび視点を変えれば、道路や空き地でもこれらの美しい花の名前も知らない草花が、季節ごとにひっそり、でも確実に咲いています。
少しだけ心を休めるためにも、このような美しい花々に目を向け、花の名前に意識を向けてみるのはいかがでしょう。気になるお花を見つけて、毎日の生活に楽しさに加えてください。
まとめ
道端でひっそりと咲く野花の名前を知って、暮らしに癒しを
・ピンクや白の愛らしい「ネジバナ」は芝生や分離帯に
・アヤメを小ぶりにしたような野花は、別名胡蝶花「シャガ」
・ポピーを小さくしたような朱色の花は「ナガミヒナゲシ」
・「ブタナ」が群生してふわふわしている様子に幸福感
・キャロットシードの精油の元「ノラニンジン」は繊細な魅力