フェンネルは、地中海周辺からアジアを原産とするハーブで、中国では「臭みなどいやな匂いを取り、良い香りを復活させる」という意味から「茴香(ウイキョウ)」と呼ばれ、日本には平安時代に中国から伝わってきました。
フェンネルは、葉から種まで余すところなく多くの使い道がある便利なハーブ。
長くまっすぐに伸びた茎に、ふわふわした羽根のような葉が密集して付いていて、この柔らかく香りのよい葉は、料理の香りづけや飾りにも使われ、種はカレーなどエスニック料理のスパイスに良く使われています。
また、胃腸薬「太田胃散」の原料としても使われているので、香りを嗅ぐとピンと来る人も多いかもしれません。スパイスにも健康にも役立つならば、ぜひ使いこなしたいですよね。
そこで今回は、このフェンネルの使い方・楽しみ方を、詳しく解説します。本記事を参考にしながら、フェンネルを葉から種まで、活用しちゃいましょう!
フェンネルで優雅に☆
葉から種まで、嬉しい7つの使い道
魚料理のハーブとして
フェンネルの葉の一番多い使い方は、やはり魚料理の風味付け。フェンネルの甘く清涼感もある香りは、魚の生臭い匂いを消してくれる「魚料理のハーブ」として重宝されています。
【 フェンネルを魚料理に 】
★ 網のように細く枝分かれして、ふさふさした葉は、熱を加えても、また生でも付け合わせや飾りとしても使えます。
・ カルパッチョやマリネ、ホイル焼きやムニエルなどに加えたり、ソースやマヨネーズに刻んで混ぜるなど、幅広い調理法で使われます。
スープ、オーブン料理にも
フェンネルは、スープやサラダなどの料理の具材としても使われます。
【 フェンネルのスープやサラダ料理 】
・ スープの浮き身やサラダに使われるのは、黄緑色が鮮やかな葉の部分。
・ 具にはフェンネルの茎の根元「鱗茎(フィノッキオ)」が使われます。
この鱗茎は、カブのようなかたちに膨らんだかたまりになっているので、この部分を薄切りにしてスープやオーブン料理の具として、相性のいい魚介や鶏肉などとともに使用します。
スパイスに使われるフェンネルシード
「フェンネルシード」と呼ばれる7mmほどの楕円形の硬い種は、正確にはフェンネルの果実で、種はその果実の中にあります。同じセリ科のキャラウエイとは果実の形状が多少似ていますが、フェンネルの果実のほうが大きく白っぽい色合いをしています。
【 フェンネルシードの使い方 】
★ 乾燥させたフェンネルシードを挽いて、カレー粉などの材料に!
・ その他、ソテーやパスタを作る際に、そのままでスパイスとして使用します。
まず、フェンネルシードをオリーブオイルなどと一緒にフライパンで熱すると、香りが良く立ちます。
フェンネルシードは口臭予防や健胃にも
砂糖でコーティングしたフェンネルシードは「ソーンフ(ヒンディー語でフェンネルの意)」と呼ばれ、インド料理店などでは、口直しとして常備されていることもあります。
【 フェンネルシードで口臭予防 】
★ 油っぽい料理や辛い料理を食べた後、フェンネルシード少量をそのまま噛むと、口の中に清涼感が広がり、口臭も予防してくれます。
またフェンネルシードは胃腸の調子を整えて消化を促してくれるので、刺激の強い料理を食べた時にはとくにおすすめです。
葉や茎でハーブ染め
フェンネルはハーブ染などの染色材料にも使われます。
【 フェンネルのハーブ染め 】
★ 茎や葉などを粗く刻んで煮出して作った染液に、布や糸を浸けて染めます。
・ 染色中はフェンネルの香りに包まれ、とても贅沢な気分になれちゃいます。
生でも乾燥したものでも染色できますが、乾燥フェンネルのほうが濃い目の色に染まり、柔らかいベージュ系の自然な色を楽しむことが出来ます。
ハーブティーで薬効を利用
フェンネルには、抗炎症、利尿作用、血液循環作用などの薬効があります。
【 フェンネルのハーブティー 】
★ フェンネル5gにカップ1杯の熱湯を注いで良く蒸らし、ハーブティーとして飲用!
・ 気管支炎や咳の鎮静効果、むくみや冷えの改善効果、消化不良などにも効果があります。
1日に3回が適量で、飲み過ぎには注意、また妊娠中・授乳中の方は服用を避けてください。
アロマオイルで女子力アップ
フェンネルの精油はアネトールという成分が80%を占めています。これは、女性ホルモンに似た働きをする成分なので、月経不順や更年期障害など、女性特有の症状に効果を発揮します。
【 フェンネルで、ダイエット? 】
★ 古くからフェンネルには痩身効果もあると言われ、セルライト防止やむくみ改善、便秘にも効果的です。
スキンケアやアロマバスなどでの利用がおすすめですが、妊娠中や授乳中、てんかんの方は使用を避けてください。
幅広く楽しめるフェンネルの使い方は、いかがでしたでしょうか。日本では中国と同様に「ウイキョウ」の名で呼ばれ、長野・岩手・富山の各県で栽培されているほか、沖縄では「イーチョーバー」という島野菜として珍重されています。
これは漢字で書くと「胃腸葉」。その名の通り、胃腸にいい薬草としての効果が、知られ根付いているのです。フェンネルは勇気をもたらす植物とも言われ、花言葉は「精神の強さ」といいます。
フェンネルにはからだへの薬効の他に、ほんのり甘くスパイシーな香りで落ち込んだ心に働きかけ、元気にしてくれる効果もあるのもまた、嬉しい魅力。食べても良し、香りもまた良く、うれしい効果たくさんのフェンネル。
本記事をきっかけに、毎日の生活にぜひ役立てて、料理にダイエットに、そして心に、毎日のお供にしてください!
まとめ
フェンネルの効能と使い道
・おいしい魚料理と相性が良い
・生でも煮てもいい香りになる
・カレーやエスニックのスパイスにおすすめ
・フェンネルシードを噛めば、お口のケアにも
・葉や茎は、優しい色合いハーブ染になる
・薬効いっぱいハーブティーで、むくみや冷えも改善!
・美容に嬉しいフェンネルオイル、セルライト予防も