アイビーというと、ちょっと昔なら小さな喫茶店の窓辺に必ず飾られていた、おなじみの観葉植物ですよね。最近は属名のヘデラで呼ばれることも多くなりました。
アイビーの育て方は窓越しの日光に当てて水と肥料をやるだけで、殆ど世話に手間が掛からない植物です。
種類によっては壁面の装飾やグラウンドカバーに使えますし、鉢植えに仕立てた場合でも、掌を広げたように見える葉は緑色だけではなく、白や黄色の斑入り、青や黄色味を帯びたものと外観も豊富で、自分が気に入った色や形の葉を選ぶ楽しみがあります。
また、非常に丈夫で育てやすい観葉植物ですので、初めて部屋にグリーンを置きたいと思っている方にも失敗の少ないオススメの植物です。そこで今回は、初心者でも簡単なアイビーの育て方を解説します。では、ご覧下さい。
アイビーの故郷と性質
アイビーの原産地はヨーロッパや北アフリカ、西アジアです。薄陽の当たる湿潤な森の中で、茎から気根を出しながら大木に貼り付いて高く伸びていき、成長すると葉っぱは10センチメートル、茎は20~30メートルまで大きくなります。
耐陰性と耐寒性が高く、非常に丈夫なので、基本的にアイビーの育て方は難しいものではありません。ただ、栽培下では光線不足や肥料の与えすぎで、斑が消えたり単調な緑色の葉になりやすいので注意が必要です。
アイビーの育て方のポイント
アイビーを室内に置く場合、日光が当たるところに置きます。夏に屋外に出す場合は、いきなり直射日光に当てず徐々に慣らしながら行いますが、光線不足の場合、茎が徒長したり葉の色が悪くなったりしますので、アイビーの育て方の注意として、必ず充分な日光に当ててください。
水やりは、春から秋にかけては表面の土が乾いたら鉢底から水が流れるまでたっぷり与えてください。また、蒸れや根腐れを防ぐ為、鉢皿に残った水は必ず捨てます。
冬の水やりは、やや控えめに行いますが、回数を減らしても一度に与える水の量は普段通りに鉢底から流れる量を心がけてください。また、葉や茎にかけるだけでは鉢土全体に水が浸透しない恐れがありますので、茎を避けて根元近くの土に水をかけるようにします。
ちなみに、この水のやり方はアイビーの育て方だけではなく、鉢に植えた植物の水やり全てに共通します。
肥料は春に緩効性肥料を与え、春から夏にかけての生育期は2週間に1度を目安に既定の2倍程に薄めた液肥を水やりと一緒に行います。
アイビーの育て方に限らず小さい鉢で育てている観葉植物に液肥を与える場合は、液肥を既定の2倍程度に薄め、回数を多く与える方が肥料焼けなどのトラブルを回避できるので安心です。
病害虫の心配は殆どありませんが、風通しの悪い環境ではカイガラムシが発生することがあります。水やりの際に植物の状態をチェックする習慣を身に付け、なるべく発生初期にティッシュペーパーや綿棒を使って駆除して下さい。
また、薬剤を使う場合は、まずどんな病気や害虫が発生したのかを特定してから、その病害虫に効果的な薬剤を使用するようにします。スプレータイプは病害虫に直接散布する即効性で、室内に薬剤を飛ばしたくない場合は大きなビニール袋に鉢を入れて行います。
その後袋の口を縛ってしばらく置いておくと効果的です。固形タイプは緩効性ですが、株元に撒いておくだけで効果があり、肥料成分がプラスされたものは非常に便利です。
剪定と植え替えでワンランク上を目指す
ここまでで、何だかアイビーの育て方って難しそうと思われた方もいるかもしれませんが、アイビーは非常に丈夫なので基本的には日光に当て、水をやり、たまに肥料を与えていれば元気に育ってくれます。
ただ、アイビーが元気に育ってくれるということは、つまり株が大きくなるということで、株が大きくなれば当然、最初に植えられていた鉢は狭くなります。また、茎が伸び過ぎて垂れ下がると、鉢全体がだらしない印象になってしまいます。
植物が鉢の中一杯に根を張り巡らした状態を「根詰まり」と言い、生育が悪くなりますので植え替えます。この際、伸び過ぎた茎も剪定してバランスを整えましょう。
まず、伸び過ぎた茎を鉢縁から少し枝垂れるくらいの位置で切り戻します。次に鉢から株を抜き、下部分の根を軽く崩します。更に土の付いた部分を叩いて古い土を軽く落とします。
鉢底穴を鉢ネットで塞ぎ、大粒のゴロ土を少量入れてから用土を敷きます。用土は観葉植物専用のものが売られていますので、最初はそれを使うのがオススメです。
なお、庭土や古い土は病害虫の心配がある上に、観葉植物の生育には適さない場合が多いので、必ず新しい土を使いましょう。
用土を敷いた鉢の中央に株を置き、更に用土を足していきます。根を傷付けないように注意しながら割り箸などを差して前後に鉢を揺すりながら隙間無く用土を詰めます。その後、鉢底から水がたっぷり流れ出るまで水を与え、新芽が出るまでは直射日光の当たらない場所で管理します。
アイビーを殖やしてみる
ここまで来れば、既にアイビーの育て方もすっかりマスターして、例え最初は鉢で買ってきたアイビーでも愛着が湧くのではないでしょうか。最後にアイビーの魅力を存分に楽しむ為、殖やし方をマスターしましょう。
アイビーの殖やし方は非常に簡単です。伸び過ぎた茎を7~8センチメートル程に切って下葉を落とし、30分ほど水を入れたコップで吸水させてから、湿らせた挿し芽用の用土に割り箸などで開けた穴に挿します。直接挿すと茎を痛めるので注意して下さい。周囲の土を軽く抑えれば完成です。
風通しの良い半日陰に置いて、土が乾かないように管理して下さい。約1ヶ月で新芽が出て来たら発根したサインですので、根を傷付けないように掘り上げて園芸ポットに植え替えます。
伸び過ぎた茎をあらかじめ用意した小さな鉢の用土表面にU字ワイヤーで止め、発根を待つ「取り木」という方法もあります。
このようにアイビーの育て方は初心者にも非常に簡単です。基本的には日当たりの良い場所に置いて水と肥料を欠かさなければ、病害虫の心配も殆ど無いまま元気に育ちます。
また、挿し芽や取り木で簡単に殖やすことも出来ますので、動物を飼うことは出来ないけれど、せめて植物を部屋に置いて、その生命を感じていたいという人には非常にオススメの観葉植物と言えます。
植物だって大事に育てれば育てるほど生き生きと大きく育ち、その姿で場を和ませるだけでなく生命そのもののパワーを発して、日常に疲れ気味のあなたを元気にしてくれるはずです。
大事に育てたアイビーが見事に枝と葉を広げて大きく育った頃には、きっと、その魅力に夢中になっていることでしょう。
【まとめ】
初心者でも簡単なアイビーの育て方のポイントは
・室内では日光の当たる場所に置く。
・水やりの際は鉢底から水が流れるまで与え、鉢皿の水は捨てる。
・肥料は春から夏にかけて、薄めの液肥を水代わりに与える。
・病害虫の心配は殆ど無いが、風通しが悪いとカイガラムシが発生する事がある。
・挿し芽や取り木で簡単に増やせる。