「ユリの女王」といわれるカサブランカ。その凛とした姿や漂う気品、かぐわしい芳香で、結婚式から葬儀までのあらゆるシーンで重宝され、愛されていますよね。
大輪の白いカサブランカの花はもちろんのこと、黄色やピンクの品種はダイナミックさがより際立ち、そのゴージャスさから思わずため息が漏れるほど。
そんなカサブランカの鉢植えを貰ったら。もしくは、球根を買って育ててみたら。その苗が花を咲かせた後、一度きりで終わってしまうことをもったいないと思いませんか。どうせなら来年も綺麗に咲かせたい事でしょう。
ですので、ちょっと手間をかけて、来年も綺麗な花を咲かせてみることにトライしてみましょう。そこで今日はカサブランカの花を来年も綺麗に咲かせるための7つの工夫についてお伝えします。ではご覧ください。
花が咲いた直後にすること
カサブランカの花は、本当に見事です。せっかく咲かせたカサブランカですから、しばらくはその姿を眺めていたいものかと思います。
もちろん、それも構いませんが、来年のことを考えると、ざっくりと切り落としてしまった方が球根は育ち、綺麗な花を咲かせてくれます。
カサブランカは切り花にしても長持ちする花なので、思い切って玄関やリビング、寝室に飾ってしまいましょう。その際に、茎は半分以上残しておくことを心掛けてください。
根元からバッサリと切ってしまったら、球根が育たなくなってしまいます。 どうしても、鉢植えや地植えのカサブランカを楽しみたい場合は、花が萎れてきたら即座に摘み取ることを忘れないようにするといいでしょう。
葉を育てる=来年の花の大きさ
カサブランカの花が終わったら、株を大きくしなければなりません。花をつけて栄養をたくさん使ってしまったカサブランカに、お疲れ様、の意味を込めて、肥料をあげましょう。
しっかりとした葉を育てることで、次の花芽になる部分が球根内で育ち、球根を大きくすることができます。 肥料は地植えなら固形肥料か粉末タイプの肥料を、鉢植えなら液体肥料を2週間に1回あげましょう。
葉がつやつやとした濃い緑色で肉厚なら成功している証拠で、細く頼りない茎と、ペラペラの葉の状態なら生育がうまくいっていない証拠です。水やりや肥料のやり方を見直してみましょう。
病気・害虫にいち早く対応しよう
カサブランカは病気や害虫に強い植物とはいえません。特に、4月以降に発生するアブラムシが媒介するモザイク病に注意しましょう。アブラムシを発見したら、すぐに駆除します。
有効なのは、芽が出てきた後にオルトラン粒剤をまいて防除することです。また、梅雨時期の長雨にも注意が必要です。長雨による過湿や、雨によって跳ね返った土から病気を貰う可能性があるからです。
鉢植えの場合は雨の当たらない場所へ避難させ、地植えの場合は腐葉土やわら、バークチップといったものでマルチングを行うと良いでしょう。もちろん、鉢植えでマルチングを行ってもかまいません。むしろ、マルチングは乾燥を防いでくれるので、一石二鳥となります。
カサブランカには2種類の根が張る
実は、カサブランカの球根には、「上根」と「下根」というものがあります。上根とはその名のとおり球根の上、つまり、球根から地表までの間の茎から伸びた根のことです。
この上根の役割は、水分や栄養分を吸収することで、上根が育たなければ、花を咲かせることも、葉が育つこともできません。つまり、綺麗な大輪のカサブランカを育てるためには、発芽後にこまめに肥料を与え、上根をしっかりと大きくさせることが重要だといえます。
下根は株を支える土台の役割を担っています。カサブランカは縦に大きく育つため、上根だけでは支えることができません。そこで、より地中の深いところでその重さをしっかりと支えるために下根が存在します。
また、植え替え時に下根の張り具合を見ることで、その球根がどれだけ育成されたかを判断するバロメーター代わりにもなります。
球根花は植え替えが必須
地植えの場合は2~3年は大丈夫といわれていますが、基本的に毎年植え替えを行った方が良いでしょう。植え替えを行う理由をざっくりというと、病気を防ぐためです。
カサブランカに限らず、球根花はそのほとんどが連作障害のある植物です。連作障害とは、同じ場所に植えることで病気にかかりやすくなることを指します。
植え替えの時期は9月から11月までで、葉が黄色くなってきたら植え替えのサインです。もし、11月になっても葉が黄色くならなかった場合は、気付いた時点で植え替えましょう。
植え替えの方法は、まず、優しく丁寧に球根を掘り上げます。次に、茎の部分を手でひねりながら球根から引き抜きます。下根はそのままにしておきましょう。
そして取り出した球根は、オーソサイド液などに数十分漬け込み、殺菌することで病気から守ることができます。新しい鉢植えに、球根の大きさの2~3倍の深さの穴を掘り、そこに殺菌後すぐのカサブランカの球根を植えます。
植え替え後も、乾燥が進むと球根がダメになってしまうので、適度に水をあげながら乾燥に気を付けて気長に発芽を待ちましょう。
半日陰が好きで、西日には弱い
発芽し、葉も出てきたら置き場所を見直してみましょう。ユリの仲間は日当たりの良いところが大好きなものが多いのですが、カサブランカは違います。
理想的なのは、午前中は明るく、午後からは日陰になるような半日陰の場所です。直射日光や、夏の強い光では育成が思うようにいかない場合があります。特に西日は苦手で、株が弱ってしまいます。
また、乾燥にも弱いため、土の表面が乾いていたらたっぷりと水をあげましょう。とはいえ、ひっきりなしにあげても良くありません。過湿が原因で病気になってしまう可能性が多大にあるからです。水はけの良い土で、乾いてきたらたっぷりと、を念頭に置いておきましょう。
支柱で株を支えよう
先ほどカサブランカの下根には、株全体を支える役目があるとお伝えしました。しかし、大輪のカサブランカの花がいくつかついてしまうと、どんなに立派な下根でも倒れてしまう危険性があり、そうなったらせっかく育てたカサブランカの花が無駄になってしまいます。
それを防ぐためにも支柱を立てることをおすすめします。支柱を立てる際に注意すべきは、上根を傷つけないようにそっと慎重に行うことです。上根に傷がついてしまうと、そこから病気が入ってきやすく、また株自体を弱らせてしまう可能性があるからです。
支柱を立てたら、茎を数か所固定させましょう。そうすることで、まっすぐとした直線の茎の上に安定してカサブランカのつぼみが付きます。
以上、カサブランカの花を来年も咲かせる為のコツをお伝えしました。そんなに難しくはなく、一手間かければ取り組めそうですよね。踏まなければならないステップはいくつかあり、ミントやバジルなどのハーブと比べると、病気や害虫にも気を配らなければなりません。しかし、カサブランカはエディブルフラワーではないので、食べることはありません。したがって、薬を使うことのデメリットがないのです。つまり、安心して病気や害虫を薬によって予防することができます。
こう考えると、実のなる植物よりも簡単に育てることができると思いませんか。では、早速実践して大輪のカサブランカの花、女王の名にふさわしいユリの花を2年連続で咲かせてください。
まとめ
カサブランカの花を来年も咲かせるには
・花が萎れてきたら即座に摘み取る
・葉を育てる=来年の花の大きさ
・病気・害虫にいち早く対応しよう
・カサブランカには2種類の根が張る
・球根花は植え替えが必須
・半日陰が好きで、西日には弱い
・支柱で株を支えよう