蝶が舞っているように見えることから名前がついた「胡蝶蘭」。東南アジア原産のラン科の植物で、開花期は11月から3月です。
見た目がゴージャスで、長く楽しめるお花なので、高価な贈答花として人気がありますよね。開店のお祝いや個展のお祝いのほか、長寿のお祝いなどでも贈られています。
自分ではなかなか買えない憧れのお花ですが、いただく機会があったら大切に育てたいですよね。胡蝶蘭はきれいにラッピングされて届けられることが多いので、しばらくはそのまま飾りたい、と思われるかもしれません。
でも、ラッピングしたままですと鉢の中が蒸れてしまうので、お花のためには外した方がよいでしょう。
そしてお花を楽しんだ後はどうすればよいのでしょうか。そこで今日は胡蝶蘭の花後の育て方のコツについてお伝えします。
枯れてきたら花茎を切り落とす
長持ちする胡蝶蘭のお花も、だんだん枯れてきます。ふつうは、最初に咲いた花の根元に近いところから傷みはじめます。枯れてしまったお花は、ひとつひとつ取り除いたほうがよいでしょう。
花びらが傷んできたら、花茎を切り落とします。園芸用のハサミを用意し、花茎の付け根を切りましょう。そうすれば、株が健康に育ちます。また、元気な株なら2番花を咲かせることも可能です。
その際には、花茎は付け根から切るのではなく、株元から2~3節ほど残して切り落としてください。
元気な株なら2番花を咲かせてみよう
胡蝶蘭の株の状態が良ければ、ぜひ2番花を咲かせてみましょう。元気な株の見分け方は、葉がしっかりとしていて艶があり、枚数も多ければ安心です。
2番花を咲かせるためには、「その1」の最後でご紹介したように、株元から2~3節目の上で花茎を切り落としてください。その後の育て方は、温度管理が大切です。
あまり温度が高くなりすぎないように注意してくださいね。しばらくすると、新しい芽が伸びてきます。やがてつぼみとなり、また美しいお花を咲かせてくれます。
何度も咲かせるためには植え替えを
贈り物として胡蝶蘭をいただくと、ひとつの大きな鉢にいくつもの株が寄せ植えにされていることがあります。長く楽しむためには、新たな鉢に植え替えたほうがよいでしょう。植え替え作業は花後の5月から7月頃が最適です。
まず、寄せ植えになっている株元をひとつ持ち、株を傷めないように手でゆっくりと抜き出してください。それから、古くなっている水ゴケを落としたあと、傷んだ根をハサミで切り落としましょう。
新しい鉢を用意して、鉢底網を敷いてから、水ゴケを薄めに巻いて植え込んでください。
花茎を固定するために支柱を立てよう
胡蝶蘭は18度前後の気温に30日程度当てると花芽を作る習性があります。花芽ができると、花茎がどんどん伸びてくるので、倒れないように支柱を立てましょう。支柱は花茎の長さよりも短めに調整してください。
支柱の先端は、U字型に曲げて花茎を引っかける部分を作りましょう。葉の成長の邪魔にならない場所に支柱を立てたら、花茎を傷つけないよう注意しながら、支柱の先端に花茎をかけます。花茎が長い場合には、ビニタイなどでゆるめに結束しておくと安心です。
花を咲かせるための水やり
胡蝶蘭の株の成長期は春から夏にかけての間です。この期間は、しっかりと水やりをしてください。特に夏場は朝と夕方に、鉢底から水が流れるほどたっぷりと水をあたえましょう。
ただ、根腐れを防ぐ必要がありますので、完全に鉢の中が乾いたのを確認してから水やりをしてください。湿度が高い梅雨の時期は、室内で管理したほうがよいでしょう。秋から春にかけては、控えめに水やりをしてください。
また、乾燥している冬は、霧吹きで葉に水をかけてあげましょう。胡蝶蘭は根腐れに弱い植物なので、鉢を持ち上げて乾燥具合をよく確認してから水やりを行うようにして下さいね。
肥料をあげて、株を元気に
春から秋にかけての期間は、胡蝶蘭の生育期です。この時期には、水やりのたびに液肥をあげると株が元気に育ちます。また、置き肥も月に一度ほどあげるとよいでしょう。
肥料が不足してくると、葉の状態が悪くなってきます。艶やハリがなくなり、色も緑ではなく黄ばんでしまい、だらりと垂れさがった状態になります。
こんな風になる前に、きちんと管理しましょう。ただし、胡蝶蘭はあまり濃い肥料は好みません。適度な肥料で元気に育ててあげましょう。
置き場所に注意して管理
胡蝶蘭は明るく風通しの良い場所を好みます。春から秋にかけては、屋外で管理しましょう。風通しの良い場所ならOKですが、葉焼けをおこすので直射日光は避けてください。また、雨に当たらないように注意しましょう。
屋外で管理する夏場は、虫がつく恐れがありますので、適宜殺虫剤を使ってください。秋から冬にかけては、室内で管理します。日当たりのよい、暖かい窓辺がベストです。
毎日2~3時間は日に当ててください。夜は窓辺から暖かい部屋に移して管理しましょう。最低でも5度以上の温度で管理してください。ただ、乾燥しすぎるとよくないので、暖房が直接あたらない場所に置きましょう。
胡蝶蘭のお花は、長いものでは2か月近く咲き続けて、私たちの目を楽しませてくれます。花後もうまく管理すれば、さらに長い間、美しいお花を咲かせてくれます。
一般的に、胡蝶蘭の育て方は難しいと思われていますが、ご紹介した7つのポイントを押さえていただければ、花後も元気に育ちます。特に、温度管理と根腐れには注意して管理してください。
近年では、胡蝶蘭も新しい品種が次々に出てきています。白だけでなく、ピンクや黄色のお花や、大輪のタイプも小型の品種もあります。ぜひ素敵な胡蝶蘭を育ててみてくださいね。
まとめ
【胡蝶蘭の育て方】花後も花を咲かせるには
・枯れてきたら花茎を切り落とす
・元気な株なら2番花を咲かせてみよう
・何度も咲かせるためには植え替えを
・花茎を固定するために支柱を立てよう
・花を咲かせるための水やり
・肥料をあげて、株を元気に
・置き場所に注意して管理