水仙の花言葉「ナルシスト」。その由来と本当の意味は?

すっと伸びた茎にラッパ型の花びらが美しい水仙の花。日本でよく流通している水仙は、中国から渡来した「ニホンズイセン」と呼ばれるものです。この水仙は小ぶりの花が房のように咲くのが特徴です。ニホンズイセンより花が大きく、茎1本にひとつの花をつける「ラッパズイセン」もあります。

水仙の原産地はヨーロッパや地中海沿岸で、特にヨーロッパでは品種改良の歴史が長くあります。ラッパズイセンや房咲き水仙のほかにも、カップ咲きや八重咲き、スプリット咲きなど約12系統に分類することができます。園芸品種の数は2万種にも及ぶと言われています。

水仙の花言葉として有名なのが「ナルシスト」です。美しくて品のある水仙がなぜこのような花言葉になったのでしょうか。それにはギリシャ神話のエピソードが深く関係しています。今回は水仙の花言葉の由来をはじめ、水仙にまつわる様々なエピソードをご紹介します。水仙の花について詳しく知ることで、神秘的で美しいこの花にもっと親しんでいただけたらと思います。

 

水仙の花言葉「ナルシスト」。
その由来と本当の意味は?

 

水仙の花言葉を知ろう

水仙の花言葉として最も有名なのは「ナルシスト」や「自己愛」です。この花言葉の由来はギリシャ神話のナルキッソスの物語です。ナルキッソスの物語を由来とする水仙の花言葉には、「私は美しい」「うぬぼれ」「自尊心」というものもあります。これらの花言葉は「ナルシスト」という花言葉のバリエーションと考えることができるでしょう。

清楚で美しい水仙の花が、このような意味を持っていることに驚かれる方もいるかもしれません。花束を贈ろうとしてこの花言葉を知り、ためらってしまうこともあるかもしれません。次の項ではナルキッソスのエピソードについて詳しく見ていきます。

 

ナルキッソスの神話を知ろう

美貌の少年ナルキッソスはたくさんの女性たちに想いを寄せられますが、女性にまったくなびかずにいつも冷淡な態度をとっていました。ナルキッソスに想いを寄せたアメイニアスという女性は、ナルキッソスに冷たくあしらわれて絶望し、自ら命を絶ってしまいました。また、森の妖精であったエーコーもナルキッソスに恋をしますが、相手にされませんでした。悲しみと屈辱のあまり、エーコーはやせ衰えて声だけの存在になってしまいます。

これを知った女神メネシスは激怒し、ナルキッソスに自分だけしか愛せない呪いをかけます。彼は水鏡に映った自分の姿に恋をして、水を飲むことも忘れ、やがてやせ細って死んでしまいました。彼のいたところに咲いたのが水仙の花です。

 

水仙の毒について知ろう

水仙はギリシャ神話で「ナルキッソス」と呼ばれます。これはギリシャ神話に登場する美少年の名前でもありますが、水仙が毒を持つ花であることに由来するという説もあります。

水仙は有毒性の植物で、特に鱗茎(りんけい)という部分にリコリンなどの毒成分を多く含むと言われています。水仙の切り口からは、粘り気のある液体が出ます。切り花にする時には、切り口をよく洗ってから扱うようにしてください。水仙はすべての部位に毒がありますが、口にしなければ大丈夫です。ギリシャ神話の「ナルケー」という言葉には「昏睡、死、無気力」「麻痺させる」などの意味があると言われています。

 

水仙という名前の由来を知ろう

ギリシャ神話における水仙のエピソードをご紹介してきましたが、ここでは和名の水仙という名前の由来に触れてみたいと思います。水仙は中国を経由して日本に入ってきた花で、中国名の「水仙」がそのまま使われています。清々しく美しい姿や香りから、仙人を思わせる花ということでこの名が付けられました。

中国の古典に次のような言葉があるそうです。『仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙という』。幽玄な美しさを感じさせる言葉ですね。水仙は別名「雪中花」や「金盞銀台」(銀の台に金杯をのせたような姿)とも呼ばれるそうです。いずれも美しい名前が付けられています。

 

黄水仙にまつわる神話を知ろう

黄色い水仙には「もう一度愛してほしい」「私のもとへ帰って」などの花言葉があります。黄水仙には先ほどご紹介したものとは別のギリシャ神話のエピソードが言い伝えられています。

冥界の王ハーデスは女神アフロディーテの策により、息子のエロスに恋の矢を打たれて、デメテルの娘ペルセポネに恋をします。野で花を摘んでいたペルセポネはハーデスにさらわれ、冥界に連れ去られてしまいます。この時、ペルセポネの手から落ちた水仙が黄水仙に変わったと言われています。ペルセポネの母であったデメテルは激怒し、ゼウスに抗議します。しかしゼウスはこれをはねつけてしまい、デメテルは姿を隠してしまいます。冥界に連れ去られ得たペルセポネは、その後もハーデスのアプローチに応じることがなかったそうです。

 

水仙のよい意味の花言葉を知ろう

水仙といえば「ナルシスト」というイメージが強いかもしれませんが、水仙にもいくつかのよい意味の花言葉もあります。「気高さ」や「神秘」といった花言葉は、水仙の凛とした美しさにぴったりです。すっと伸びた茎の先で可憐に咲く水仙は気高さを感じさせますし、水辺にたたずむ姿はどこかこの世のものとは思えない神秘的な美しさです。

先ほどご紹介した黄水仙の「もう一度愛してほしい」という花言葉は、別れた相手へのメッセージを込めて贈りたい花言葉です。またラッパズイセンには「尊敬」という花言葉があります。尊敬する人へのギフトとして使ってみてください。

 

いかがでしたか。ここまで、水仙の花言葉の由来をはじめ水仙にまつわる様々なエピソードをご紹介してきました。「ナルシスト」というイメージが強く、人に贈りにくいと思っている方も、よい意味の花言葉を知ることで水仙の別の側面が見えてきたのではないでしょうか。

水仙は12月から1月の寒い季節に流通することが多く、お正月のお花として和風にアレンジされます。一方で、バラやストロベリーキャンドルなどと組み合わせて洋風のアレンジを楽しむこともできます。

水仙の花は高貴な印象とは対照的に、その育て方はとても簡単。基本的には植えっぱなしでも元気に育ってくれるので、ガーデニングにもおススメです。美しい水仙の花をあなたらしくアレンジして、生活シーンに取り入れてみてくださいね。

 

まとめ

水仙の花言葉「ナルシスト」。その由来と本当の意味は?

・水仙の花言葉を知ろう
・ナルキッソスの神話を知ろう
・水仙の毒について知ろう
・水仙という名前の由来を知ろう
・黄水仙にまつわる神話を知ろう
・水仙のよい意味の花言葉を知ろう


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