トマト栽培、失敗しないポイント


夏野菜の中でもトマトの栽培は特に人気で、実が徐々に大きくなって赤く色付いていく様子を観察するのは大人になっても楽しいですよね。トマトを育てるために家庭菜園を始める人も多く、夏野菜の中でも色鮮やかで艶のある丸い実は子どもから大人まで人気です。

栄養もたっぷりあって、サラダから煮込み料理まで収穫した後の使い道が豊富なのも魅力的。さて、このようにトマトは栽培する魅力がたくさんあって家庭菜園の初心者でもチャレンジし易いのですが害虫被害や病気などのトラブルで失敗してしまうことも少なくありません。

特にトマトは収穫出来る実の大きさが大きいほどデリケートで栽培が難しくなります。難しいと聞くとチャレンジしにくくなりますが、トマトの栽培で大事なポイントをきちんと押さえて実践することでたとえトマトが大玉でも病害虫に侵されにくい環境を作ることが可能。そこで今回はトマト栽培、失敗しないポイントについてお伝えします。

植え付け時に一手間かけてトマトの病気を防ぐ

根の生育が盛んなトマトは、一つの苗に大体15L以上の土が必要になるため出来るだけ深く大きなプランターで育てることが大切です。野菜用のプランターがおすすめですが、トマトは連作障害が起きるので青枯病や萎ちょう病などの病気を防ぐためにも、土とプランターの使い回しはせずに必ず新しい土と綺麗に洗って消毒したプランターで育てます。

更に、連作障害に耐性のある接木苗を選ぶことで連作障害を発生しにくくすることが可能です。連作障害対策の他にも根張りや実付きが良いというメリットも得られるので、失敗を出来る限り避けたいなら育てる苗は接木苗を選びましょう。

植え付け作業は4月の中旬以降で気温がしっかり上がってから天気の良い日に行います。トマトの栽培で多湿は禁物なので水はけの良い土に浅めに植え付け、日当たりと風通しが良く雨の当たらない場所で育てて下さい。土を入れた後はプランターの移動が大変になるので予め育てる場所にプランターを置いてから植え付けると良いですよ。

害虫予防が出来る防虫ネットやマルチは薬剤を使わずトマトを栽培したいなら欠かせないアイテムですから、植え付けや支柱を立てるのと一緒に施しておきます。支柱に関しては苗の本葉が10枚以下なら仮支柱、10枚以上になったら本支柱を立てて下さい。

 

脇芽をひたすら摘んで病害虫対策

トマトの栽培全般に言えることですが脇芽かきをすることで病害虫対策が出来ます。本葉の付け根から生える芽を脇芽と呼び、これを放っておくとあっという間に伸びて葉が混み合い、蒸れて病害虫の発生の原因になるので、風通しを良くするためにも脇芽は5cm以上伸びてしまう前に全て摘み取って。

脇芽は小さいうちなら手で簡単に摘み取れるので、感染症予防のためにも刃物は使わず手で取ります。また、摘み取った後の切り口から雑菌が入るのを防ぐために切り口が乾きやすい晴れた日に作業をするのも欠かせないポイント。トマトの栽培で脇芽かきは病害虫予防と美味しい実を作るために欠かせない作業ですから、こまめに行ってトマトの栽培を成功に導いて下さいね。

 

水やり加減をばっちり覚えて美味しいトマトに

トマトは乾かし気味に育てることで甘みが増すため、完全に水切れしない程度に水やりを控えることが美味しいトマトを育てるポイントなのですが、この水やり加減がトマトの栽培の中でも難しくて失敗してしまう人が多いので、水やりのポイントを覚えておく必要があります。

まず、植え付けから実がつくまでは株がぐんぐん育つ期間なので、水切れで枯れてしまうのを防ぐためにも水を極端に控える必要はありません。とはいえ、土が水を十分含んでいる状態でどんどん水を与えていると根腐れしてしまいますから、土の表面が乾いてきたと思ったらたっぷり与える程度にしておいて。

特に梅雨の時期は湿度が高く土も乾きにくいので、根を腐らせてしまい易い時期でもありますから土の乾き具合をしっかり確認して下さい。雨に直接当たる場所に置いている場合は、病気や雨による余計な水分が入るのを防ぐため支柱に雨除けのカバーをかけておくことが重要です。

植え付け時にマルチを施しておけば土の跳ね返りとそれによる病気の発生も防ぐことが出来ますから雨に当たりそうな心配がある場所でトマトの栽培をする時は必ず雨対策をしておきましょう。株がしっかり育ち実が付いた後は実を甘くするため水やりにメリハリを付けます。

慣れないうちは心配になりますが、土が乾いて葉が少ししおれるまでは水やりを控えるのがコツ。土の中に指を第一関節まで入れて、土がしっとりしているようであればまだ水やりをしなくて大丈夫ですが、土がしっかり乾いたら底から水が流れるまでたっぷり与えます。多少しおれたぐらいではトマトは枯れませんが、気温が急に高くなる日は無理に控えなくても構いません。

 

トマトに肥料を与えるタイミングを覚える

トマトの栽培では追肥を2回行います。1度目は最初に咲いた花が実をつけてピンポン玉程度に大きくなった頃に与え、2度めは3段目の実がピンポン玉程度になった頃に与えますが、もし5段目まで育てている場合は5段目の実が同じようにピンポン玉大になったらもう一度だけ追肥を与えて下さい。

その際、葉が大きく育ち過ぎていたり主枝が太くなりすぎている場合は肥料の量を控えるか、肥料を与えるタイミングを遅らせることで土の中の養分の量を調整します。肥料を与えすぎると害虫が発生しやすくなりトマトの病気の原因になるので適量を守りましょう。

 

美味しいトマトを収穫するために

トマトの実が大きくなると重さによって枝が折れてしまうことがあるので、きちんと支柱を立てておくこともトマトの栽培で欠かせないポイントです。気温が高くなるに連れてトマトの枝はぐんぐん伸びていくので、こまめに主枝を支柱に誘引しておかなければいけません。

主枝が支柱の高さまで育ったら、花房の上の葉を2〜3枚残して摘芯します。家庭菜園では収穫もしやすく病気が発生しにくい4、5段目で摘芯しておくのがベター。早めに摘芯しておくと株の成長に栄養が使われない分、トマトの実に栄養が使われ大きく美味しいトマトになるので、土の量が限られるプランター栽培ほど摘芯のタイミングを早めにしておいたほうが良いと言えます。

また、一つの房にたくさんの実が付いた場合は3つか4つ程育ちの良い実を残して、大きくなりにくい先の方の実や小さな実を摘み取って下さい。せっかく出来た実を取るのは勿体無いですが、摘果と呼ばれるこの作業をすることで残ったトマトに養分が運ばれ美味しくなるのです。

そしてトマトの栽培で忘れてはいけない裂果トラブルは乾燥しているところに一気に多量の水分が入ると起きてしまいます。大きく育ち赤くなった実が大雨に当たっても割れてしまうので、収穫時期が来たら天気予報に注意しながら、雨が降るようであれば早めに摘み取るか雨除けで裂果を回避して下さい。

トマトは常温で追熟させることが可能ですから、雨に当たるぐらいなら房の部分まで赤くなっていなくても収穫してしまいましょう。ちなみに、摘果したトマトも追熟させることが出来ます。ただ、青い実は追熟させても味に青臭さが残るのでトマトソースにしたり漬物にすると良いですよ。

 

さて、トマトの栽培で心配になる病害虫は植え付け時に一手間かけることである程度予防が出来ますし、栽培中も今回お伝えした脇芽かきや水やり加減、追肥のポイントを押さえて実践していれば失敗する確率もぐんと減らせます。

しかし、トマトの栽培は病害虫の予防よりも美味しい実を作る方が難しく、実が付くまで病害虫の被害を受けず乗り切れても納得のいくトマトが収穫出来るかどうかはその後の水やり加減にかかっています!

万一急な暑さで株がしなびれても諦めず水やりをすれば復活する可能性が高いので、水やりの失敗を怖がらないで出来るだけ水やりを控える努力をしてみて。家庭菜園でも手塩にかけて育てれば、立派で美味しいトマトが出来ますから頑張って育ててみて下さい。また、家庭菜園で育てられるトマトの品種も今は豊富にありますから、苗を選ぶ段階で色々な苗を吟味するのもおすすめですよ。


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