藤の花を楽しむ☆豆知識と観賞できる7つのポイント

藤の花を楽しむ☆豆知識と観賞できる7つのポイント

日本の伝統美を表現する花のひとつに藤の花があります。藤はマメ科のつる性植物であり、日本の固有種としてノダフジとヤマフジが知られています。ノダフジとヤマフジではつるの巻き方が違っており、花が垂れさがる長さも異なっています

藤の花が垂れ下がっていくつも咲いている様子はたいへん優美で、気品を感じさせます。華やかでありながらも慎ましい雰囲気を持つ藤の花は古くから歌に詠まれ、絵画などにも描かれてきました。

万葉集をはじめ、金槐和歌集、枕草子など多くの文献の中に、藤の花への想いが残されています。このように古来から人の心を魅了してきた藤の花は、現代の私たちにとっても趣を感じさせる魅力的な花です。全国各地に藤の名所があり、多くの観光客が咲き誇る藤の花を観賞しに集まってきます。

そこで今回は藤の花にまつわる豆知識と、観賞できるおすすめのスポットをお伝えします。藤の花のことを知ってより親しんでいただくとともに、ぜひ名所に見事な藤の花を見に出かけましょう。

 

藤の花を楽しむ☆
豆知識と観賞できる7つのポイント

 

藤花園の「牛島の藤」を見に行こう

☆ 藤花園の「牛島の藤」

埼玉県春日部市の藤花園には、樹齢1200年あまりと言われる藤の名木があります。

国の特別天然記念物に指定されている古木の藤の花が、長い花房をたくさんつけている様は見ごたえがあります。この1株だけで1万個以上の藤の花をつけると言われています。

藤花園の藤棚の面積は約700平方メートルで、同じものが3か所あります。小さな藤も約50本ほどあり、開花時期の園内には甘くすがすがしい藤の香りが漂っています。詩人の三好達治も牛島の藤の美しさを詩に残しています。

 

あしかがフラワーパークの藤を見に行こう

☆ あしかがフラワーパークの藤の花

栃木県足利市にあるあしかがフラワーパークでは、毎年行われる大藤フェスティバルが有名です。

東京ドーム7個分あるあしかがフラワーパークには、4月中旬頃から5月中旬頃にかけて、見事な藤の花がたくさん咲き乱れます。

広さにして600畳近くもある藤棚や、枝垂れ桜のような庭木づくりの藤など300本以上の藤が育てられています。薄紫、紫、白、黄色といった様々な色の藤が見られるのもあしかがフラワーパークの特徴です。夜にライトアップされた白藤のトンネルも幻想的です。

 

長泉寺の「骨波田の藤」を見に行こう

☆ 長泉寺の「骨波田の藤」の藤の花

埼玉県本庄市にある長泉寺には「骨波田(こつはた)の藤」と呼ばれる樹齢650年とも推定される藤の木があります。ムラサキナガフジという種類の藤です。

骨波田という地名は、坂上田村麻呂が蝦夷平定のために東北を目指した際、大蛇を退治してその骨を埋めた土地にちなみ名付けられました。

長泉寺では骨波田の藤のほか、白、ピンク、薄紫、濃い紫など5種類の藤の花が楽しめます。花房がいくつも枝垂れている様子はたいへん優美です。夜には美しくライトアップした藤を見ることができます。

 

五万石藤まつりを見に行こう

☆ 岡崎公園の藤の花は「五万石ふじ」

愛知県岡崎市岡崎公園の藤の花は「五万石ふじ」と呼ばれています。岡崎公園の南側、乙川堤防沿いの藤棚は、昭和38年に市指定の天然記念物になっています。

平成3年にはふるさとの名木にも選ばれました。藤棚には推定樹齢120年以上の古木をはじめ、17本の藤が植えられています。

岡崎市の花でもある藤の花は4月下旬頃から5月上旬頃にかけて、鮮やかな紫色と甘い香りを漂わせています。開花時期に合わせて五万石藤まつりが開催され、大勢の観光客でにぎわいます。

 

平等院の藤を見に行こう

☆ 平等院の藤の花

世界遺産として知られる京都府宇治市の平等院には、樹齢およそ200年と推定される藤の古木があります。

極楽往生を願って建てられた平等院の中でも、池の中島に建てられた鳳凰堂は極楽の池に浮かぶ宮殿のように見事な佇まいです。

平等院の藤の花はこの池の北側にあり、4月下旬から5月上旬頃に優雅な花房をいくつもつけて人々を魅了しています。約1万ほどの藤の花が、1mもの長さの花房になって垂れ下がり、鳳凰堂の朱色とのコントラストが鮮やかです。

 

春日大社の藤を見に行こう

☆ 春日大社の藤の花「砂ずりの藤」

奈良県奈良市の春日大社には「砂ずりの藤」と呼ばれる樹齢800年の藤の古木があります。

花房が地面につくほど長いことからその名がついたと言われています。

藤原家の氏神である春日大社は、その名にふさわしく数多くの藤が自生しています。春日大社本殿の北西には萬葉植物園があります。

☆ この萬葉植物園には『万葉集』ゆかりの植物が約270種植えられています。

萬葉植物園の一角にある藤の園には藤の木が約20種200本あまり育てられています。紫だけでなく、ピンクや白の藤の花も見ることができます。

 

大歳神社の「千年藤」を見に行こう

☆ 大歳神社の藤の花「千年藤」

兵庫県宍粟(しそう)市の大歳神社には「千年藤」と呼ばれている藤の古木があります。

樹齢は1000年を超えると推定されているノダフジで、天徳4年(西暦960年)に地元の与右衛門という人物によって植えられたと言われているそうです。

千年藤の藤棚の面積は420平方メートルあり、幹まわりが3.8メートル、高さが2.75メートルにも及びます。花房は1メートルほど垂れ下がり、藤の開花時期には境内が藤紫色に包まれます。このサイズの藤は国内有数で、県の天然記念物にも指定されています。

 

藤の花の豆知識や名所はいかがでしたか。全国各地に藤の花を観賞できるスポットがあるので、開花時期に足を運んでみてください。

藤の花の花言葉は「優しさ」「歓迎」「恋に酔う」などが知られています。慎ましくて優美な魅力を持つ藤にぴったりの花言葉ばかりです。日本に自生する藤にはノダフジとヤマフジの2種類があり、上から見て右巻きにつるを巻くのがノダフジ、左巻きにつるを巻くのがヤマフジです。

ノダフジは花が小さいけれども花穂が長く、ヤマフジは反対に花が大きくて花穂は短いという特徴があります。古くから藤は縁起物の木として親しまれてきましたが、藤棚を作って鑑賞するようになったのは江戸時代になってからだそうです。

藤の木は樹齢が長く、名所には樹齢数百年と言われる藤もあります。中には1000年を超えるような藤の木も存在します。藤の名木を眺めながら遠くいにしえに想いを馳せるのもロマンがあります。

 

まとめ

藤の花が観賞できる名所なら

・藤花園の樹齢1200年の古木「牛島の藤」を愛でる
・あしかがフラワーパークの大藤フェスティバル
・長泉寺のカラフルな5種類の藤の花「骨波田の藤」
・ふるさとの名木、天然記念物の五万石藤まつり
・1万ほどの藤と鳳凰堂とのコントラスト、平等院
・『万葉集』ゆかりの藤の花と植物、春日大社
・国内有数の大きな天然記念物、大歳神社の「千年藤」


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