栽培が簡単な野菜を育てる事に少し慣れてきたらキャベツのような大きな野菜も栽培してみたくなりますよね。ほうれん草や小松菜のように種蒔きから1〜2ヶ月程で収穫出来る野菜と違い、キャベツのように3〜4ヶ月程かけて大きくじっくり育てる野菜は難しそうですが、キャベツの栽培のコツさえ知っていれば長期間の栽培も乗り越えられます。
キャベツの栽培には丁寧なお世話が必要ですが、その分育てがいがあり収穫時の達成感も大きいですから、小松菜などの短期間で収穫出来る葉物野菜やトマトなど初心者向きの野菜の栽培が成功したなら是非チャレンジしてみて下さい。脇芽を摘んだり剪定する必要はないので枝分かれする野菜の栽培が苦手な人にもおすすめの野菜です。そこで今回はキャベツ栽培のコツと上手に育てる方法についてお伝えします。
失敗しにくいキャベツの栽培時期は
葉がギュッと詰まった重みのある美味しいキャベツを栽培するには下準備が大切。小松菜のような小さな葉物野菜は園芸用プランターで育てる事も可能ですが、キャベツを栽培するなら家庭菜園用の大きく深いプランターを用意して下さい。栄養のある新しい土をたっぷり使って育てる事で美味しいキャベツに育ちます。
さて、キャベツは2〜3月頃に種を蒔く春蒔き、7月中旬頃に蒔く夏蒔き、10月頃に蒔く秋蒔きと3回の蒔き時がありますが、キャベツはモンシロチョウの幼虫やヨトウムシ、ナメクジや根切虫などの害虫被害に遭い易く、暑さにも弱いので、初めてキャベツを育てる時は結球後の害虫被害や暑さによる病気とトラブルを最小限に出来る夏蒔きでの栽培がおすすめ。
葉が柔らかく生食でも美味しい「春キャベツ」を育てるなら秋蒔きすると良いのですが、秋蒔きキャベツはトウ立ちしやすいので収穫が遅れないように気をつけたり、トウ立ちしにくい品種を選ぶ必要があります。
蒔き時と品種が決まれば苗作りをしましょう。トレーや育苗ポットに種を蒔き、発芽までは土が乾かないように水やりをしながら本葉が2〜3枚になるまで育て、必要であればポットに移植して本葉が5〜6枚の頃には1つのポットに株が1本になるように良い苗を残して間引きます。
時期によってはキャベツの苗が入手出来る場合もあるので、1〜3株程度の少量の栽培であれば苗からの栽培が手軽です。ただし、苗の植え付け1ヶ月前から土の準備が必要になるので苗から育てる場合は注意して。種蒔きから初める場合は種を蒔く時期から土作りを始めて下さい。
立派なキャベツを育てる為の植え付け準備
キャベツを栽培する際、苗を植え付ける土は水はけの良い市販の培養土、もしくは赤玉土、腐葉土、バーミキュライトを7:2:1の割合でよく耕した土に石灰、堆肥、化成肥料を混ぜたものを底の深い家庭菜園用の大型プランターか60cm以上ある園芸プランターに7割程度入れて、植え付け1週間前に元肥を入れて耕しておきます。
植え付けまでは黒マルチを敷いて雑草や害虫の発生を防ぎましょう。また、キャベツは連作障害が起きる野菜ですから、1〜2年はカブや大根、小松菜、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜を育てていない場所で栽培して下さい。
植え付け可能な時期になったら排水を良くするために高さ10cm程の畝を作り、1株あたり30cmの間隔をとって植え付け、たっぷり水やりをします。苗を植え付けたら害虫対策の為にすぐにマルチと防虫ネットを施すのを忘れずに。キャベツは栽培中多くの害虫に狙われやすいので、植え付け時や植え付け前に害虫対策の為の薬剤を施しておくのもおすすめです。
キャベツを美味しくする追肥の施し方
美味しいキャベツを栽培するには追肥をきちんと与えなくてはいけません。追肥には窒素、リン酸、カリの比率のバランスが取れた化成肥料を使い、定植から約2週間後の本葉が10枚程度まで育った頃に1回目の追肥、結球が始まったタイミングで2回目の追肥を施します。
肥料は株にかからないように離れた場所に撒き、畝の肩を少し崩し肥料と土をよく混ぜてから株元に寄せて株を安定させましょう。株元に土を寄せて軽く固め、株を安定させるこの作業は「土寄せ」と呼び、キャベツの栽培で必ず行う大切な作業です。
キャベツの水やりのコツを覚えよう
キャベツは多湿に弱く根腐れや立枯病が起こりやすい野菜なので水はけの良い土で育てますが、日頃の水やりにも多湿にならないように栽培するコツが隠されているのです。植え付けから根付くまでは土が乾かないようにこまめに水やりをしますが、根付いてからは表面が乾いてからたっぷりと水を与えるようにします。
日差しが強く乾燥しやすい夏場は水やりの頻度を朝夕2回に増やして水切れしないようにして下さい。乾燥するとキャベツが結球しない場合があります。また、葉が丸まり結球し始めたら雨に注意が必要です。
結球後に土壌が多湿になると裂球しますから、結球が始まったら雨対策もしっかりしておいて。このようにキャベツの栽培における水やりのコツを覚えていれば多湿による病気や腐敗、乾燥による結球しないトラブルの予防、裂球対策が出来ますよ!
美味しいキャベツを収穫するために
キャベツは外葉を大きく育てる事で大玉で美味しいキャベツになります。その為にもきちんと追肥を施し、害虫対策をして下さい。特にキャベツは害虫が付きやすい野菜ですから、防虫ネットやマルチをしているからといって安心せずに、こまめに葉の裏に卵がないか、葉が食われていないか、土の上に糞が落ちていないかを確認して、害虫のサインを見つけたら害虫チェックを徹底的に行いましょう。
キャベツに付く害虫は一晩で育ったキャベツを丸ごと食い荒らしてしまう事もありますから早期発見が大切。そしてキャベツの植え付けから約100日〜150日程度経ち、程よい大きさになったら手で押さえてみて中が締まっている感触があれば採り頃。立派に育ったキャベツはトウ立ちや裂球しないよう収穫時期を迎えたら早めに収穫して下さい。
このように、キャベツの栽培は害虫対策と水やりの加減・追肥が重要です。特に、害虫対策は徹底しておかなければあっという間に被害を受けてしまいますから、少し面倒であってもマルチや防虫ネットを施したり害虫チェックをこまめに行って。
そして真夏の日差しと暑さもキャベツの栽培では害虫被害と同じぐらい気をつけておかなければいけないポイントです。気温が上がって土の乾きが早くなってきたと感じたら早めに日除けや寒冷紗、打ち水をして乗り越えましょう。
キャベツは初心者向きの野菜を育てた後にチャレンジするのがおすすめですが、初心者向きの野菜を育てた事がない人でもこまめなお世話が出来るなら栽培可能な野菜です。まずは比較的難易度の低い夏蒔きからチャレンジして、上手に栽培出来たら春キャベツや紫キャベツ等の変わった品種のキャベツの栽培にチャレンジしてみて下さいね。