胡蝶蘭はたいへん華やかで気品があり、お祝いの場面でもお悔やみの場面でも使われるギフトです。贈り物として人気の高い胡蝶蘭ですが、育てるのは難しいと思われる方も多いのではないでしょうか。特別な日のギフトとしていただいた胡蝶蘭を長持ちさせるためには、いくつかのコツが必要です。
胡蝶蘭の特徴として、寒さに弱いという点が挙げられます。胡蝶蘭の自生地は、フィリピンやスマトラなど東南アジアが中心です。自生地が熱帯、もしくは亜熱帯地方ですので、越冬させようと思うと冬場の温度が15℃以上必要になります。
冬越しのほかにも長持ちさせるための手入れのポイントがありますので、正しい知識を知っておくようにしましょう。
今回は胡蝶蘭をギフトとしていただいた場合に、どのように手入れをすればよいのかをお伝えします。胡蝶蘭はきちんと手入れをすれば花持ちもよく、二番花が楽しめる品種もあります。ぜひ大切に育ててみてください。
胡蝶蘭をもらったら☆
長持ちさせる手入れのポイント
開花中は暖かい場所に置こう
一年中出回っている胡蝶蘭ですが、高温性の植物ですので室温には注意が必要です。特に冬場に鉢をいただいた場合には、室内でもできるだけ暖かい場所を探して置くようにします。
【胡蝶蘭の室温調整】
・明るい窓辺が理想的です。
・冬の夜間は冷えますので、大きな段ボールなどで覆います。
・さらに上から毛布をかけるなどの工夫をしましょう。
暖かいからといってエアコンや暖房機器の温風が直接当たる場所には置かないようにしてください。胡蝶蘭が脱水状態になり、しぼんだり枯れたりする恐れがあります。
レースのカーテン越し程度の日を当てよう
開花中の胡蝶蘭の鉢は、春から秋にはレースのカーテン越し程度の日当たりの場所が適しています。胡蝶蘭の自生地は熱帯から亜熱帯地方のジャングルです。日光が少なめでやや暗い場所の樹上に着生しています。木漏れ日の挿しこむ程度の明るさです。
【胡蝶蘭の日差しの調整】
・室内の明るい場所が最適です。
・一日中光が差し込まないところに置かないこと。
(花持ちが極端に悪くなります。)
・冬場には直射日光くらいの明るさがちょうどよい。
十分な日光が入らない部屋では、蛍光灯で光を補うなどの工夫が必要です。
水を与え過ぎないようにしよう
密林に自生している胡蝶蘭は、木の幹や枝に根を付着させて育つため、根がむき出しになっています。そのため根が濡れたままの状態には弱い傾向があります。むしろ花茎が伸びる時期には風通しのよい場所に置くと、よく育ちます。
【胡蝶蘭の水の調整】
・根元がずっと濡れた状態では根腐れを起こします。
・水は一度与えたら、鉢の中が乾くまで次の水やりをしないのがコツ。
数日間水やりを忘れたとしても、すぐに枯れることはないので心配はいりません。
二度咲きを楽しもう
胡蝶蘭は他の洋らんと比べても、花の寿命が長いという特徴があります。環境がよい場合にはおよそ二ヶ月の間花を楽しむことができるでしょう。また花が終わりかけてきた頃に手を入れると、二度咲きを楽しむこともできます。
【胡蝶蘭の二度咲きを楽しむ】
・根元に近い部分から半分ほどしおれてきたら、手入れ時です。
・茎の下から3つ目の節の上で切り戻しをします。
・そうすると、2~3ヶ月後に再び花を咲かせることがあります。これを二番花と言います。
「切り戻し」とは、株を再生するために、延びすぎた部分を切り詰めることです。通常、胡蝶蘭は一本の茎にたくさんの花をつけ、根元に近い方から順にしおれていきます。
花を長持ちさせる室温を知ろう
約二ヶ月という長い期間に渡って胡蝶蘭を咲かせるためには、理想的な温度帯があります。最低温度が12℃以上であり、最高気温が25℃以下というのが花持ちさせるための条件です。これはちょうど、日本の晩春や初秋くらいの気温にあたります。
【胡蝶蘭の室温調整の工夫】
★温室がない場合には冬の夜間の保温が問題になります★
・段ボールと毛布で覆ってみましょう。
・ホットカーペットの上に置いてみる。
暖房のきいた部屋では空気が乾きやすいので、霧吹きで葉や株にスプレーするとよいでしょう。
一株ずつ植え替えをしよう
ギフトなどで大株仕立てにしてある胡蝶蘭は、複数の株を一つの鉢に寄せ植えしたものです。花が咲き終わったら一株ずつに分けて植え替えるという作業が必要です。そのままにしていると根が過湿になりやすいためです。
【大株仕立ての胡蝶蘭の手入れ法】
★花が終わってからも継続して栽培するために★
①一株ずつに分けて小さめの鉢に植えつけるようにします。
②根元はできるだけ崩さないようにしましょう。
③傷んだ水ごけだけを取ります。
④新しい水ごけに包んで植え替えます。
⑤新しい鉢は過湿にならないよう素焼きのものがベストです。
肥料の施し方を知ろう
胡蝶蘭の成長期にはチッ素、リン酸、カリが均等に配合されている肥料を与えます。この肥料は葉を大きく成長させる働きをするとともに、充実した株を育てるために必要です。それ以外に、10月頃になると花芽が出来始めるので、リン酸の多い肥料を施すと花芽の成長を促します。
【胡蝶蘭の肥料作りの注意点】
・液体肥料は標準倍率の2倍に希釈して施すことをおすすめします。
(これは施し過ぎによる害を防ぐためです。)
・置き肥の場合には無機質の緩効性化成肥料をおすすめします。
・鉢サイズに合った量を守りましょう。
胡蝶蘭を長持ちさせるポイントはいかがでしたか。胡蝶蘭が好む生育環境を知り、それに近づけることで、長い期間に渡って美しい花を楽しむことができます。お伝えした育て方のコツを参考にして、いただきものの胡蝶蘭を長持ちさせてみてください。
胡蝶蘭が生育するためのサイクルは、温度によって左右されます。寒い時期に最低温度が低くなってしまうと、成長にも影響を与えるので注意しましょう。また花芽をつけるためには暖かかった気温が18℃まで下がる必要があります。
花芽ができた後も18℃以上をキープすることで開花します。無加温の状態ならば最低気温が下がるため、12月から3月くらいまでは成長が停滞します。春になると再び花茎が伸びて春に開花します。
このようなサイクルを知っておくことで、花が終わってからも栽培することができます。ミディやミニサイズの胡蝶蘭はノーマルサイズよりも寒さに強いと言われているので、越冬しやすいでしょう。
まとめ
胡蝶蘭を長持ちさせる手入れのポイントとは
・ダンボールや毛布でくるんで温度調整を
・胡蝶蘭は室内のやや明るい日差しが最適
・根腐れを防ぐため、ほどほどの水やりを
・切り戻しをすれば、二度咲きを楽しめる
・長持ちさせるには、冬の夜の保温がコツ
・大株仕立ては、一株ずつに植え替えて
・成長期には最適な肥料を作ってみよう