小花や花びらなどで作った押し花は、いつ見ても可愛いですよね。押し花の作り方には、幾通りかの方法があるのを知っていますか。どの押し花の作り方も簡単で、かつ綺麗に出来上がるものばかりです。そして押さえておきたいポイントがあります。作った押し花は、様々な用途で楽しむことができます。
昔は押し花と言えば、本に挟んで作るしおりや押し花アートを思い浮かべることが多かったと思いますが、最近では用途の幅がぐっと広がり、押し花を使った商品として、樹脂に閉じ込めたネイルアートやスマートフォンケース、またアクセサリーとしても、とても人気があります。
初めて出会う草花の色、愛らしさ、そして美しさをいつまでも手元で楽しみたい。そんな想いから生まれた、愛らしい押し花。是非あなたも、自分だけのオリジナルな押し花を、手軽に作って楽しんでみませんか。そこで今回は押し花の作り方をマスターできる5つの手順についてお伝えします。
押し花の作り方が
マスターできる5つの手順
押し花に向いている花を選ぶ
世の中には様々な花がありますが、一番押し花に向いている花は、乾燥しやすい花です。薄い花弁で、花弁同士が重なりあっていないものが簡単に作れます。初心者の方は、桜、スミレ、ビオラ、マーガレット、そのほか春の野草やハーブなどがおすすめです。
また道端に咲く野草は、押し花に適したものが沢山あります。例えば1月7日におかゆに入れる“春の七草”は、押し花にぴったりです。セリ(花は夏に咲きます)、ナズナ(ぺんぺん草)、ゴギョウ(母子草)、ハコベ、ホトケノザ(たびらこ)、スズナの花(蕪)、スズシロの花(大根)などは、押し花にしやすい典型的な花の形で、仕上がりも可愛らしいものです。
春先の散歩道で、公園で、押し花の材料を探すのもとても楽しいですよ。同じ春の野草でも、タンポポ、福寿草などは、立体的なためにひと工夫が必要です。次の章の押し花の作り方を参考に、ぜひ押し花に挑戦してみてください。
立体的な花の処理について
押し花の作り方の中で、次にぜひ取り組んでもらいたいのは、主に立体的な花、分厚く大きな花を押し花にする時の処理の方法です。上で挙げたタンポポをはじめ、例えばバラやガーベラなどの花は、とても愛らしい反面、小さな花と同じようにそのまま押し花にすると、凹凸がうまく抑えられません。
このような花を押し花にするには、額の裏側にナイフを入れることです。茎を残したまま押し花にしたい場合は、額の裏側を切り開き中のワタを取って、茎と花弁が平坦になるよう整えてください。押された時のことを考えて、できるだけ薄くするのが上手に作るコツです。また、花だけを押し花にしたい場合は、裏側を平らに切り取ってしまうこともおすすめです。
押し花は花の表側がメインで裏側は見せないため、表面に変化が起きない程度に大胆に切ることもおすすめです。ただし花の形が崩れないよう、深く切り過ぎないように注意してください。このひと手間を行うことで、厚めの花の押し花は、仕上がりが大きく変わってきます。
本の間に挟む時の手順
この押し花の作り方は、大抵の方は挑戦したことがあるはず。新聞や雑誌、本などのページ上に花や葉を綺麗に並べ、そっとページを閉じて重しをし、一週間ほど動かさずに放置します。
手間がかからずとても楽に押し花を作れます。挟む本を選ぶポイントは、紙にコーティングが施されていないものを選んでください。紙が花の水分を吸収するためです。一方で、この押し花の作り方の弱点はひとつ。
それは出来上がりが褪色しやすいという点です。押し花になってからも生花の色を保つには、水分をいかに早く飛ばすかによって決まります。つまり、本に挟んでのプレス乾燥ではゆっくりと水分が抜けるため、セピア色の押し花になりやすいのです。
そのことから、この押し花の作り方に適した草花は、色が抜けても差し支えないものや、色褪せが目立たない濃い色の花が適しています。ゆっくり気長にプレスするのがおすすめです。
段ボールに挟み、電子レンジでチン!する時の手順
続いて手間がかからない押し花の作り方として、段ボールと電子レンジを使う方法があります。これは、押し花にしたい草花を画用紙などの紙で挟み、その上からそれらを段ボールで、サンドイッチ状に挟みます。
この際に気をつけたいポイントは、段ボールの大きさを電子レンジの入り口から寝かせて入る大きさにカットすることです。段ボールの大きさが決まったら、押し花の紙をサンドイッチ状に挟み、上から格子状に輪ゴムで留めてください。
電子レンジに入れてまず1分ほど温めてみましょう。薄い花びらの花であれば水気が飛び、綺麗な色の押し花になります。厚めの花びらや葉であれば、さらに様子を見てレンジにかけてください。この方法であれば、一度に沢山の押し花を作ることができます。
押し花を画用紙から外す時には、形が壊れないように注意して外してください。その際に、ピンセットを使うと型崩れを防げます。綺麗に仕上がった押し花は、使うその時まで型崩れしない紙や押し花専用の乾燥シートなどに挟んで、平坦な場所に保管しておくのがおすすめです。専用の密閉容器で乾燥剤をいれて保存するのも便利ですよ。
アイロンでプレスする時の手順
次にお伝えするのは、アイロンを使う押し花の作り方です。この方法は、少量の押し花を手早く作りたい時に適しています。新聞紙の上に押し花を広げ、その上にティッシュペーパーをかぶせます。
その後、ティッシュペーパーの上から低温に設定したアイロンを30秒ほど当ててみてください。その後さらに、焦がさないように10秒ほどアイロンをあて、乾燥するまでそれを繰り返してください。驚くほど簡単に押し花ができます。
このアイロンを使う方法では、簡単に押し花ができるため新鮮な色が保ちやすくなります。一方で、押し花特有のセピア色も、なかなか味わい深いですよね。押し花の作り方をマスターしたら、本に挟む方法とアイロンでプレスする方法をミックスで使用すると、深い独特の色合いが楽しめますよ。
おすすめはカトレアなどの濃い色の花で、初めに本に挟んで数日プレスし、最後にアイロンで仕上げます。花弁の芯に近い部分にわずかなセピア色を残し、鮮やかな色も同時に楽しめると言うことも。ぜひ挑戦してみてください。
いかがでしたでしょうか。押し花の世界はとても魅力的で、押し花の作り方をマスターすると、身の回りの色んな花で押し花に挑戦してみたくなりますよね。小さな花は形のままに、大きな花は花弁のみを押し花にするなど、様々なバリエーションで作ってみてください。
最近では、注文でウェディングブーケを押し花にする工房も存在しています。大きく複雑な花を綺麗な押し花に再現するには、特別な技術と設備が要りますが、そういった工房での事業も含めて押し花とは、その時の一番美しい花の姿を永遠にとどめておきたいという、常に変わらぬ人の願いの顕れに違いありません。
花の色は人の目と日々の生活に安らぎを与えます。また心を明るくし、思い出を残します。ある花を見たとき、「以前この花を飾っていた時、こんなことをしていたな」と記憶が思い浮かぶことはありませんか。
美しい記憶と共に思い出される花があるならば、それはきっと“あなたの花”に違いありません。どうぞこの押し花の作り方を読んで、“あなたの花”を身近に飾り、そして押し花にしてください。きっとあなたの心はより一層潤い、あなた自身の中に、花のような美しさを再確認できるに違いありません。
まとめ
押し花を作るときに気を付けるポイントは
・初めての押し花づくりは野草を参考に薄い花弁の平面的な花を選ぶ
・立体的な花は裏側にナイフを入れて、平面的になるようならす
・本に挟む時はコーティングされていないページの本を選んで、綺麗に挟む
・押し花を挟む外側の段ボールは、電子レンジに入る大きさにカットする
・アイロンがけは低温設定で、花が焦げ付かぬよう10秒ごとに様子を見る