秋の七草って面白い!意外と知らない子どもと楽しむ豆知識


秋の七草は、意外と広く知られてはいませんよね。1月7日に食べる「七草粥」で有名な「春の七草」は、皆が知っている七草ですが、その対になっている七草が秋の七草です。

この秋の七草は、ハギ・キキョウ・クズ・フジバカマ・オミナエシ・ススキ・ナデシコの7種類の植物を差しています。ですが、七草粥用のセットが正月にスーパーに並ぶ春の七草と比べ、街で意識的に見かけることはほとんどありません

そんなマイナーな存在である秋の七草ですが、知ってみると意外と面白い豆知識が盛りだくさんにあるのです。そもそも、日本の古くからの風習にも関係することが多いので、知っておいて損はありません。

そこで今回は、子どもから大人まで楽しめる、秋の七草の豆知識についてお伝えします。

秋の七草の由来

「秋の七草」というものが最初に文献に登場するのは、万葉集です。奈良時代の歌人である山上憶良が、次のような歌を詠んでいたことが始まりと言われています。

【 秋の七草の句 】

秋の野に 咲きたる花を 指折りて かき数ふれば 七種(ななくさ)の花

萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(おみなえし) また藤袴 朝貌の花

この2つの歌のうち、2首目に出てくる植物が、それぞれ秋の七草を指しています。尾花というのはススキのことで、「朝貌」というのは現代でいう朝顔のことではなく、キキョウの花のことだとするのが通説です。

この歌からもわかるように、食用にされる春の七草とは違い、秋の七草は観賞用の野の花を指すものだったのです。

 

秋の七草の覚え方

そんな秋の七草は、植物に馴染みのない方には知らない名前も多いのではないでしょうか。

仮に「秋の七草」という存在は知っていたとしても、春の七草のようにそれぞれの名前までは覚えていない方も多い傾向にあります。けれども、この秋の七草の覚え方が面白いと、youtubeなどでは少し話題にもなりました。

【 秋の七草の覚え方① 】

★ まずは一般的な覚え方として、「五・七・五・七・七」の歌のリズムで覚えてしまうやり方をお伝えします。

・ 「ハギ・キキョウ クズ・フジバカマ オミナエシ ススキ・ナデシコ」

このリズムは、春の七草を覚える時のリズムである「セリ・ナズナ ゴギョウ・ハコベラ ホトケノザ スズナ・スズシロ」とも共通しているので、春の七草を覚えている方は対で覚えやすいのではないでしょうか。

ただ、「リズムだけじゃ覚えられない!」、もしくは「面白い覚え方で覚えたい!」と言う方には、2つ目の覚え方である語呂合わせをおススメします。

【 秋の七草の覚え方② 】

★ 語呂は有名なものがいくつかありますが、その中で最もメジャーなものが「お好きな服は?」という覚え方です。

…オミナエシ

…ススキ

…キキョウ

…ナデシコ

…フジバカマ

…クズ

…ハギ

と覚えていきます。

他にも面白い語呂合わせがいくつか存在しているので、ぜひご自分にとって覚えやすいものを探してみてはいかがでしょうか。

 

薬にもなる秋の七草

秋の七草は元々観賞用の花を挙げたもので、食用にはなりません

それなら、自分の生活にはあまり関係ないな…と感じられた方も多いかもしれませんが、実は、秋の七草の多くは古くから生薬・漢方薬として利用され、生活の中に溶け込んで、現代まできました。

【 薬として活躍する、秋の七草 】

★ 例えば…

① クズ(葛)

・ 「葛根湯(かっこんとう)」の主要な成分として有名。葛の根には発汗を促す作用や鎮痛作用があり、風邪に対して効果的です。

② キキョウ(桔梗)

・ 抗炎症作用や鎮咳作用があり、葛と同じく風邪に効きます。のど飴のパッケージをよく見ると、キキョウのイラストが描かれているものがあります。

③ オミナエシ(女郎花)

・ 解熱・解毒作用のある生薬として用いられます。

このように漢方薬を利用しているという方以外にも、秋の七草はのど飴やお茶の薬効成分として、身近な商品に含まれていることも多いので、知らぬ間にお世話になっているかもしれません。

薬局に立ち寄った際には、のど飴などの成分表に注目してみるのも面白くておすすめです。

 

ハギとおはぎの意外な関係

秋の七草の1つに数えられるハギ(萩)ですが、花の姿が浮かぶ人はあまりいないように、萩の花は山野に自生する低木で、切り花に向かないため、花屋などでも見かけることはまずありません。

このようにあまり印象に残らない萩の花ですが、古くから季節の風物詩として数えられてきたことがよく分かるエピソードの1つが、お彼岸にお供えする「おはぎ」です。

【 秋の七草、ハギとおはぎ 】

★ お彼岸は春と秋の2回あり、それぞれお米をあんこで包んだお菓子をお供えします。

・ このお菓子のうち、春の風物詩である牡丹が咲くころのお彼岸にお供えするものは「ぼた(=牡丹)もち」、秋の風物詩である萩が咲くころのものは「おはぎ(=萩)」と呼ぶようになったんです。

ちなみに、ぼたもちはこしあん、おはぎはつぶあんが多いのは、収穫したてで皮が軟らかい小豆を使える秋には皮ごとあんこにし、皮が硬くなった春の小豆は皮をこして使っていたため…、現代の感覚では気付きにくい豆知識です。

 

さて、馴染みのない存在だと思っていた秋の七草だったかもしれませんが、調べてみると意外な生活との関わりが見えてきたりして面白かったのではないでしょうか。

こんな風に色々な知識を得たうえで秋の野に出かけてみると、地味に感じていた秋の花が急に身近に感じられるようになることも多いです。

また、オミナエシやススキ、ナデシコなどは、秋の花屋の店頭にも並ぶ秋の七草です。現代では秋の七草のシックな色味を生かした、大人っぽい秋色アレンジメントもフラワーショップでは増えてきました。

そう考えると、アレンジメントを飾ってみるなどしてご自宅で楽しむのも、風流で素敵かもしれません。

今回お伝えした豆知識は、大人でも知らないような情報を盛りだくさんにお伝えしました。秋の七草の面白さを周りの大人やお子様にも教えてあげて、今年の秋の行楽日和にはぜひ、家族や友人と秋の七草探しに出かけてみてください。

まとめ

秋の七草の面白い豆知識

・山上憶良が万葉集に詠んだ歌が発祥
・歌のリズムや語呂合わせで覚えられる
・生薬や漢方薬として利用されるものが多い
・お菓子のおはぎの語源は秋の七草の「萩」


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