ジャスミン茶はホットでもアイスでも1年中楽しめる香りの良いお茶ですよね。ジャスミン茶の効能と言えば、なんといってもそのふわっと広がる香りによるリラックス効果です。渋味の少ないお茶のフレッシュさを損なわないような、柔らかい花の香りが心を落ち着けてくれます。
モクセイ科ソケイ属のマツリカ(茉莉花)の花の香りを緑茶に吸着させたお茶がジャスミン茶で、中国語では「茉莉花茶(モーリーホアチャ)」や「香片茶(シャンピェンチャ)」と呼ばれています。沖縄の「さんぴん茶」は、シャンピェンチャが転じたもので、沖縄では緑茶や烏龍茶以上の人気を誇っています。
カテキンやビタミンを豊富に含む緑茶が身体に良いことは広く知られていますが、そこにジャスミンの香り成分が加わることで、ジャスミン茶は私たちに単なるリラックス効果にはとどまらない恩恵を与えてくれるのです。そこで今回はジャスミン茶に隠された5つの効能効果についてお伝えします。
ジャスミン茶に隠された
5つの効能効果とは
ジャスミン茶の複雑な香り成分
ジャスミン茶を作る時には、茶葉とジャスミンの花を何層にも重ねて数時間置いておくことで熱が発生し、それが空気と混ざることで緑茶の成分とジャスミンの花の香り成分が複雑に変化します。
こうして生まれたジャスミン茶に含まれる香りの主成分のベンゼルアセテート、リナロールなどが脳に直接伝わり、自律神経の緊張をほぐし脳のリラックスと集中力を高めてくれるのです。
さらに少量含まれるインドールは古くは媚薬に使われた成分でもあり、ジャスミン茶に爽やかさだけでは終わらない独特の甘さを添えています。また、緑茶に含まれるビタミンCやテアニンなどにもストレスを緩和する鎮静作用があり、それらが組み合わさっているおかげでジャスミン茶の最大の効能である、ホッと人をくつろがせる香りを生んでいます。
ジャスミン茶が中国料理に欠かせない理由
ペットボトルのジャスミン茶が出回る前は、中国料理店などでポットで提供されるジャスミン茶しか知らなかった方も多いことでしょう。中国料理はニンニクなどの香りの強い食材で油を多く使うため、口の中が脂っこくなりニンニクも身体の中で悪臭を出す原因になります。
そのため口の中を洗いさっぱりさせるお茶が欠かせません。ジャスミン茶の効能の一つである消臭効果によって口臭を防ぐと共に、料理の味を邪魔せず口の中に広がる爽やかな香りのおかげで、料理を美味しく味わうことができます。
ジャスミン茶にはさらに脂肪分解促進作用と脂質吸収抑制作用もあり、利尿作用によって塩分の過剰摂取を防ぎます。太りやすいと敬遠されがちな中国料理にジャスミン茶が添えられるのは、ジャスミン茶の効能を最大に生かしており実に理にかなっているのです。
リラックスと集中、バランスの取れた作用
ジャスミン茶には緑茶のカフェインが含まれているので、敏感に反応する体質の方は寝るすぐ前に飲むのは避けたほうが良いものですが、逆に、朝ジャスミン茶を飲むことでその効能を発揮します。自律神経を整えてくれるジャスミン茶は、脳のリラックスと覚醒を同時に行えるので寝覚めをすっきりさせてくれます。
朝にコーヒーを飲むと、強いカフェインが習慣性になりやすいものですが、ジャスミン茶のカフェインは含まれているタンニンによって吸収が緩やかで、習慣性になりにくいのです。しかもコーヒーよりもステインが歯に付きにくいのもジャスミン茶の見逃せない効能です。
女性ホルモンバランスを整えてくれるジャスミン茶
ジャスミン茶に含まれるリナロールとファルネソールは、黄体ホルモンの不足を補い女性ホルモンのバランスを調整する働きがあります。生理不順や更年期症状の緩和、産後の落ち込みやイライラの抑制に効果があります。妊婦はカフェインの摂取に気を使うものですが、ジャスミン茶は個人差はあるものの1日5杯前後ならあまり気にする必要はありません。
100ml約20mgのジャスミン茶のカフェインは緑茶や紅茶とほぼ同じで、妊婦が1日摂取して良いとされる量は200mg弱ですから、ホルモンバランスの調整作用によってむしろマタニティーブルーの解消にもつながります。ただし食事中に飲むのは、摂取した鉄分がお茶のタンニンと結びついて「タンニン鉄」となり、鉄分や葉酸の吸収を妨げるもとになりますので避けて下さい。
ジャスミン茶は料理にも活躍
ジャスミンライスとも呼ばれている香り米を、鶏スープで炊いた上に茹でた鶏肉を乗せた海南鶏飯(シンガポール・チキン・ライス)を手軽に作る方法として、ジャスミン茶でご飯を炊いてしまうというやり方があります。
炊飯器にといだお米を入れてジャスミン茶を注ぎ、塩味で鶏もも肉を乗せて炊くだけですが、本物に負けない出来上がりです。花の香りは消えて茶飯のようなライスになり、鶏の臭みが取れるのでとても楽でおすすめです。
ジャスミン茶はウーロンハイの代わりにジャスミン茶ハイにしたり、豚ブロックと共に煮詰めて紅茶煮のようにジャスミン茶煮としてアレンジすることもできて、幅広い用途で使用できます。これもまたジャスミン茶の効能ですね。茶葉がたくさんある時は飲む以外にもジャスミン茶を利用してみて下さい。
いかがでしたでしょうか。もともとは品質が落ちたお茶の味と香りをカバーするために生まれた花茶の一つであったジャスミン茶ですが、お茶の成分にジャスミンの香り成分が加わったことで、本来持っていたお茶の力をより高めることになった点でも、ジャスミン茶の効能は大きいものでした。
お茶を元にした健康飲料がたくさん市販されていますが、クセのあるお茶達の苦味や渋味、枯草のような香りなどがジャスミン茶をブレンドすることによって和らげられ、飲みやすくなることも立派なジャスミン茶の効能です。
ジャスミン茶の効能をもっとはっきりと感じたい場合はホットで飲むほうが、香りもたち多く有効成分が抽出されます。沸騰したお湯を少し冷ました程度の熱湯で淹れると5煎目くらいまで美味しく飲むことができます。
なお、高級ジャスミン茶の茶葉には烏龍茶や白茶を使っているものもあります。淹れている最中に変化する工芸茶の中にも使われているものも多いので、いろいろと楽しんで下さいね。
まとめ
ジャスミン茶の見逃せない効能
・ベンゼルアセテート、リナロールなどの香り成分が自律神経の緊張を緩和する
・ジャスミン茶の消臭効果と脂肪分解・吸収抑制効果は脂っこい料理に最適
・朝の目覚めをすっきりさせ習慣性が少ないジャスミン茶
・女性ホルモンバランスを整え女性特有の不調の解消にも役立つ
・クセのないジャスミン茶は違う飲み物とのアレンジや料理にも使える