香道ってなに?淑女の為のお香マナーガイド


優雅な香りを楽しめる、お香の作法を身に着け、上品な毎日を演出する事が出来たら、とても素敵ですよね。

日本古来の文化として知られる「香道」は、室町時代に確立したと言われている、歴史あるお香の作法です。「茶道や華道のマナーなら、聞いた事があるけれど、香道については、実際にどのような事をするのか知らないな…」と、感じるのではないでしょうか。

香道では、お香の香りを楽しむ際、「香りを嗅ぐ」と言うのではなく、「香りを聞く」と言っています。とても風流で、素敵な表現ですよね。そのような作法がある点も、独特ながら、興味が湧くのではないでしょうか。

そこで今回は、日本の香道についてクローズアップし、どのようにお香を楽しむ文化であるのか、詳しくお伝えします。

「聞香(もんこう)」と「組香(くみこう)」の2つの要素から成っている

香道は、茶道や華道と並んで、室町時代に確立したと言われる、日本の文化です。お香の使い方・楽しみ方が、流派によってそれぞれ異なっており、作法を学びながら、嗅覚や表現力を培う事が出来ます。

香道の内容としては、主に「聞香(もんこう)」と、「組香(くみこう)」の2つがあります。

 

聞香とは、お香の匂いを説明するもの

聞香とは、炊かれたお香の匂いを嗅いで鑑賞し、その香りがどのようなものかを説明するものです。

香道においては、全て六国五味(りっこくごみ)という分類の仕方が使われています。六国とは香木の種類のことで、伽羅(きゃら)、羅国(らこく)、真南蛮(まなばん)、真奈伽(まなか)、佐曽羅(さそら)、寸門多羅(すもんたら)の六つの事を指します。

また、五味とは、「甘・辛・苦・酸・鹹(しおからい)」の五つの味の表現の事です。「匂いを嗅いで、説明するなんて難しそう…!」と思われるかもしれませんが、香道は、説明の良し悪しよりも、集中して香木の匂いを楽しむ事で、余計な雑念や雑踏から逃れる事を重要視している文化です。精神の集中や、リラックス効果にも繋がりそうですよね!

 

組香とは、炊かれた香木の種類をあてるもの

組香とは、いわゆる「香り当てクイズ」のようなものです。何種類かの香木のかけらを、香包と呼ばれる紙に包み、ランダムの順番で炊いていきます。そして、どの順番にどのお香を炊いたのか、香りを嗅ぎながら当てるというものです。

最後に答え合わせがありますが、組香において重要な点は、解答が合っているかどうかや、正答率の優劣を他者と競う事ではなく、静寂の中で香りを楽しむ事だとされています。

 

香道では、香りの楽しみ方の作法が定められている

香道においては、お香の匂いを楽しむ際、「香りを嗅ぐ」とは言わず、「香りを聞く」と言う事がマナーとされています。

香道では、現代のように、お香に直接火をつけるのではなく、香炉と呼ばれる道具に灰と炭を入れ、その上に雲母の板を置き、小さく切った香木を乗せて熱する事によって、香りを楽しみます。

雲母の板を灰の上で押す事により、伝わる熱をコントロールし、お香の発散具合を調整するというやり方です。

香炉が廻ってきたら、反時計回りに回して、「聞き筋」と呼ばれる部分を、自分とは反対の側へ向けます。左手で水平に持ち、右手で軽く上の部分を押さえたら、そのまま傾けずに、親指と人差し指の間から匂いを聞きます。深く匂いを吸い込み、軽く脇へ逃がす事を、三回繰り返します。

この作法は、香道の用語で「三息(さんそく)」と呼ばれており、最後の人まで香りを保つ為に、必ず守るべきマナーとされています。三息が終わったら、すばやく次の人に香炉を渡します。香道における匂いの聞き方は、このように行われています。

 

香木には精神の安定や、リラックス効果があると言われている

香道で使われる香木には、いくつかの種類があり、私たちの心や身体に良い影響を与えてくれると言われています。例えば、沈香は、古来より儀式に使われたと言われている香木で、精神の安定や、疲労回復の効果があると言われています。

また、お線香の香りとしても人気が高い白檀には、興奮や緊張感を軽減し、リラックス効果をもたらしてくれる効能があるとされており、近年では匂い袋の中身や、扇子の材料としても使われ、上品な香りを放っています。

昔話でも有名な「一休さん」こと、一休宗純は、このような香木の効果を「香の十徳」とし、「穢れを取り除き、心を和ませる」などといった内容の漢詩を書いています。

香道は、茶道や華道ほどメジャーではないイメージを持たれる傾向がありますが、風流なマナーを学べるだけでなく、私たちの精神に安らぎを与える、香木の香りを楽しめる機会でもあるのです。

 

今回は、日本の香道にクローズアップし、どのようにお香を楽しむ文化であるのかについてお伝えしました。香道という名前は知っていながらも、「どのような内容と作法が定められているのだろう。」と疑問に思っていましたよね。

香道では、しっかりとしたマナーを身に付けるだけでなく、精神を集中させ、静寂の中で「香りを聞く」という行為をする事で、香木の上品な香りを楽しむ事が出来るのです。

疲労回復や、精神の安定を助けてくれると言われている、香木の効能を感じる事が出来る点も、香道の魅力のひとつでもあります。今回の記事を読み、「香道って面白そう!」と感じた方は、ぜひ詳しく調べたり、体験レッスンを受けて、実際に日本古来の文化に触れてみてはいかがでしょうか。


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